「秋簾」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「秋簾」について
【表記】秋簾
【読み方】あきすだれ/あきす
【ローマ字読み】akisudare
子季語・関連季語・傍題・類語など
・簾の名残(すだれのなごり:sudarenonagori)
・簾外す(すだれはずす:sudarehazusu)
・簾納む(すだれおさむ:sudareosamu)
・簾の別れ(すだれのわかれ:sudarenowakare)
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季節による分類
・「あ」で始まる秋の季語
・「秋の生活」を表す季語
・「仲秋」に分類される季語
月ごとの分類
秋簾を含む俳句例
ここはしも山口巴秋簾/高浜虚子
秋簾五枚連ねて真宗寺/高澤良一
秋簾寝る児へ通す子守風/林昌華
燈せば肋あらはや秋簾/島谷征良
先斗町歌舞練場も秋簾/伊藤柏翠
土壁の家ぬち暗き秋簾/西村和子
畳替へて病に対ふ秋簾/相馬遷子
秋簾かけもし一番南蔵院/岸田稚
退屈でひらく聖書や秋簾/池田澄子
家裏の海に落ちこむ秋簾/綾部仁喜
秋簾はづして何か失ひし/成田芳枝
秋簾風に預けし夕景色/櫛原希伊子
秋簾立てて地卵売りに出す/松本旭
帯結ぶ肱にさはりて秋簾/高浜虚子
引っ越しの噂立つ家秋簾/高澤良一
秋簾悪事覆ふが如垂らす/末次雨城
次の間にいただく夕餉秋簾/瀧春一
大いなる秋の簾や寛永寺/細川加賀
一睡の夢のあとなる秋簾/外川飼虎
秋簾湯治暮しを隔てたる/谷口忠男
俳句例:21句目~
僧帰る足元が見え秋簾/蓬田紀枝子
逗留の瀬音さびしむ秋簾/西村和子
秋簾平家は序章より哀し/阿部正調
秋簾家事を忘るる齢あり/服部嵐翠
見当のつくこゑ過ぎぬ秋簾/高澤良一
誰も坐らぬ食卓見えて秋簾/寺井谷子
赤き花見えてゐるなり秋簾/高野素十
近江商人栄えし町の秋簾/相川やす志
陋居とは二枚かけたる秋簾/高浜虚子
ひそかなる音も祇園の秋簾/橋本榮治
一枚の秋の簾に主客かな/松本つや女
一枚の秋の簾を出でざりき/石田波郷
何もかも秋の簾も新しき/五十嵐播水
山の音来てゐる秋の簾かな/小林康治
一枚に日は照りつけて秋簾/川崎展宏
布のごと秋の簾の吹かれをり/上野泰
乃木旧邸守る暮らしの秋簾/和田知子
人の世に疲れし夜や秋簾/鷲谷七菜子
声かけてやさしき返事秋簾/川口咲子
灯して秋の簾をおろしけり/藤田耕雪
俳句例:41句目~
華厳寺秋の簾を吊りにけり/山本洋子
夜々の灯を重ねていつか秋簾/桂信子
鳰見むと秋の簾を上げにけり/辻桃子
実相院大秋簾なかば巻く/肥田埜勝美
巻いてある隣り垂れをり秋簾/上野泰
一枚に透けし一幹秋すだれ/皆吉爽雨
母屋の灯よぎる人影秋すだれ/桂信子
旅の細部思ひ出しをり秋簾/高澤良一
日が隅にありていつより秋簾/斎藤玄
木の香なほ残る日本間秋簾/稲畑汀子
波の照りひらひらと来て秋簾/中拓夫
秋簾すこし歪みて風通し/片山由美子
秋簾垂れしを今日の心とす/後藤夜半
秋簾夜は風のみ透しけり/蓬田紀枝子
秋簾布団の上に日のかけら/高澤良一
秋簾きりりとまいて静かかな/森岩雄
秋簾日のある草に水捨てる/北野平八
秋簾病いかにと阿闍梨訪ふ/山口笙堂
秋簾種ぬす人を見てゐたり/西村弘子
空に縞駆け上りゆく秋簾かな/上野泰
俳句例:61句目~
色褪せし一人住まひの秋簾/伊藤和子
退院をして来てをられ秋簾/深見けん二
秋簾かけてかくるる思ひあり/高濱虚子
秋簾訪ひ来し人の声をきく/橋本多佳子
あら雨を透かして秋の簾かな/石原舟月
月の透く秋の簾となりにけり/小川玉泉
吹き上げし秋の簾の軽さかな/高浜虚子
怪しげな秋の簾のかかりをり/長谷川櫂
胡粉絵の白ら~として秋簾/高久田瑞子
わざをぎと隣り住みたる秋簾/富安風生
一枚は巻き上げられて秋簾/北村かね子
声とどく距たりにゐて秋簾/鷲谷七菜子
外す気のもとよりなけれ秋簾/綾部仁喜
死にたるは他家の人なる秋簾/池田澄子
大いなる秋の簾も風のまま/波多野爽波
師に見せん一句一句よ秋簾/柴田白葉女
秋簾とろりたらりと懸りたり/星野立子
秋簾家のまぶたの如くあり/上田五千石
秋簾手の届くまで巻きあげる/福川悠子
蝉とまり鳴き出す秋の簾かな/長谷川櫂
俳句例:81句目~
秋簾拒みいるもの何ならむ/中村まゆみ
外す気のもとよりなけれ秋簾/綾部仁喜
一寸の風もとがむる秋すだれ/中村汀女
秋簾ひそかに生活渇きをり/鷲谷七菜子
秋簾素顔さやかに人とあふ/柴田白葉女
秋すだれ盲ひの母の耳さとく/沢木欣一
やゝ暗きことに落ちつき秋簾/今井つる女
秋簾巻けばちんどん屋の過ぐる/館岡沙緻
灯が洩れて秋の簾となりにけり/菖蒲あや
おのづから世を隔てけり秋簾/大場白水郎
その下の掃いてありたる秋簾/大木あまり
それらしき日差しとなりぬ秋簾/高澤良一
たちまちの雨のけぶりて秋簾/鷲谷七菜子
ひとりゐて秋簾とは鳴りやすき/内田美紗
巻き上げて明るくなりし秋簾/竹田はるを
おのづから秋の簾となりにけり/細川加賀
墨いろの運河へ垂らす秋すだれ/有馬籌子
秋簾透く日の筬にうるさからず/大野林火
うちとけて小粋な座敷秋すだれ/大野章子
伊勢の海見えゐる秋の簾巻く/大峯あきら