「衣被」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「衣被」について
【表記】衣被
【読み方】きぬかつぎ
【ローマ字読み】kinukatsugi
子季語・関連季語・傍題・類語など
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季節による分類
・「き」で始まる秋の季語
・「秋の生活」を表す季語
・「仲秋」に分類される季語
月ごとの分類
衣被を含む俳句例
悉く全集にあり衣被/田中裕明
此の人の訛うつくし衣被/森竜南
衣被豊かに齢重ね合ひ/下鉢清子
衣被立正安國論蔵す/佐々木六戈
衣被むく敬老の日の父と/皆川白陀
居酒屋の凭れ柱や衣被/河西みつる
この秋の底浚ひてや衣被/長谷川櫂
衣被人の別離に相寄りて/館岡沙緻
懸案の一事果たしぬ衣被/高澤良一
衣被好み江戸つ子三代目/脇坂啓子
やがてさす月の光や衣被/長谷川櫂
今生のいまが倖せ衣被/鈴木真砂女
天窓の下は母の座衣被/広田恵美子
衣被李白を憶ふ杜甫の詩/長谷川櫂
洛中の風乾くなり衣被/藤田あけ烏
判り易く話す御仁や衣被/高澤良一
衣被焼べて炉話芳しき/藤原たかを
衣被遠ざかりゆく櫂の音/原田青児
善光寺宿の膳にも衣被/佐藤ともえ
破れたる大きな笊に衣被/長谷川櫂
俳句例:21句目~
衣被月を尋ねぬせり子もなし/露甘
船旅を終へし食卓衣被/稲畑廣太郎
衣被月を尋ねぬせり子もなし/露甘
婚の膳通夜の夜食に衣被/甘田正翠
初ものと言ふは不揃ひ衣被/藤浦昭代
山住みに馴れし夕餉の衣被/平岡保人
この頃のだまされ上手衣被/赤池周子
衣被酒の進みてより所望/稲畑廣太郎
蛇の衣被ぐ葎も枯れてけり/石塚友二
六兵衛の皿に盛られて衣被/青柳照葉
娘にもある痣が哀しや衣被/青木重行
指折りて老けたる月夜衣被/後藤夜半
衣脱がぬこやつはしこめ衣被/稲岡長
砧てふところのなまへ衣被/田中裕明
衣被三つほど母に供へけり/今泉貞鳳
綺麗事みんなつまらぬ衣被/高澤良一
衣被旅に誘はれゐたりけり/須川洋子
子にうつす故里なまり衣被/石橋秀野
衣被酔ふとつぶやく肥後訛/松本陽平
鍬の跡ざつくりとあり衣被/長谷川櫂
俳句例:41句目~
齢もて知るよろこびも衣被/岡田和子
古稀いまだ孫なき日々や衣被/青木重行
土佐沖のうねりまともや衣被/斎藤梅子
何となく独り身をかし衣被/山田みづえ
うつくしい人がゐました衣被/櫂未知子
生きのこるもの拙くて衣被/正木ゆう子
衣被優しきことを云はれをり/赤坂友子
衣被大伯父逝つてしまひけり/橋本榮治
衣被のつぺらぼうな顔がある/鈴木貞雄
衣被母がよく食べよく老いぬ/白川京子
衣被病む目いつまで遊ばしむ/小坂順子
かかる日のかかる思ひや衣被/角川春樹
遠き日のするりと逃げる衣被/長山あや
ほこ~と歯にやさしさや衣被/河野静雲
去来忌や塩を添へある衣被/山村美恵子
雨夜きて仏の前のきぬかつぎ/大野林火
朧月左右の木の間や衣かつぎ/椎本才麿
夜ふかしの口さみしさに衣被/片山鶏頭子
衣被だまつておいてゆきくれし/高澤良一
衣被嫁かずば故郷無きに似て/つじ加代子
俳句例:61句目~
衣被をとこにあまえられゐたり/大石悦子
衣被剥くにつけても不器用な/島田みつ子
衣被剥きつゝぼやく何のかんの/高澤良一
写真見る昔ふとりしきぬかつぎ/高浜虚子
我が妻はやつちゃば育ち衣被/大久保白村
母君の客よろこびてきぬかつぎ/星野立子
きぬかつぎつるり嘘つく夫の舌/熊谷愛子
たわいなく老いてつるりと衣被/北見さとる
きぬかつぎ指先立てて食うべけり/草間時彦
種芋を撰りたるあとのきぬかつぎ/柏崎夢香
衣被などもなつかしがられけり/黒米松青子
きぬかつぎ月より白したふべかり/村井四四三女
無事なものだけ食べてをりきぬかつぎ/中村伸郎