「菊膾」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「菊膾」について
【表記】菊膾
【読み方】きくなます
【ローマ字読み】kikunamasu
子季語・関連季語・傍題・類語など
–
季節による分類
・「き」で始まる秋の季語
・「秋の生活」を表す季語
・「晩秋」に分類される季語
月ごとの分類
菊膾を含む俳句例
菊膾還暦が座の最年少/川村紫陽
花の色残りて薫る菊膾/高木一水
晩年のはや箸捌き菊膾/高澤良一
内々の話にも触れ菊膾/高澤良一
菊膾腥物でなかりけり/野村喜舟
命日を髪結あそび菊膾/後藤綾子
献立のメモに加へる菊膾/川口洋
夢の世を霊柩車すぎ菊膾/穴井太
菊膾月の光の味したり/長谷川櫂
山の家の板敷広し菊膾/田中冬二
新内の泣き節語り菊膾/沢木欣一
新婚の二客迎へる菊膾/塩川祐子
簡単に出来て一皿菊膾/松本すみ子
一灯を継ぎて久しや菊膾/小林康治
菊膾老の尼ゼがこま~と/野村喜舟
障子して夜川音なし菊膾/石田波郷
八十の母が来て居り菊膾/向笠和子
前山の影のかぶさる菊膾/宮坂静生
即位礼心待ちしぬ菊膾/阿波野青畝
友情や舌に溶けゆく菊膾/栗生純夫
俳句例:21句目~
名の月のをはり吉野の菊膾/森澄雄
吾をまだ叱る母あり菊膾/石川文子
濁りすぐうち消す川や菊膾/上村占
鬼殻の髯の触るゝよ菊膾/林原耒井
菊膾津軽の海の冥きかな/佐川広治
饗宴の灯にとぶ虫や菊膾/飯田蛇笏
宿とれば旅の心に菊膾/青葉三角草
白もよし黄色もよし菊膾/山口青邨
酒注げば朗々と鳴る菊膾/高澤良一
菊膾電燈いまも暗かりき/長谷川櫂
山中に竹しなふ音菊膾/大木あまり
水音があれば母ゐて菊膾/古市絵未
忌を修す一時帰国や菊膾/河添妙子
菊膾三年さきの顔如何に/藤田湘子
はれ~と今日の紋付菊膾/木下洛水
菊膾菊大胆にほぐされて/小林正恵
牛飼と酌む菊膾房のまま/太田土男
うけこたへ簡にして優菊膾/西村和子
かにかくに明治は恋し菊膾/富安風生
二の膳も秀衡塗や菊なます/原子岱子
俳句例:41句目~
一ときの華やぎとせむ菊膾/村越化石
唇のつめたさうれし菊膾/松根東洋城
寺障子うす日さし来て菊膾/藤原照子
年ごとに李杜の身近く菊膾/橋田憲明
昼酒に少し酔ひたる菊膾/本間/尚子
杭打ちは男がすなる菊膾/神尾久美子
烟るごと老い給ふ母菊膾/山田みづえ
父を語り了へて箸とる菊膾/中村若沙
花びらの口にひろがる菊膾/須川洋子
玄関に帽子をあづけ菊膾/藤田あけ烏
祝宴のまづほろにがき菊膾/中嶋秀子
空は散るものに満ちたり菊膾/斎藤玄
紅のさす花びらもあり菊膾/竹内千花
草の戸の酢徳利ふるや菊膾/黒柳召波
菊膾のこる余生をどう使ふ/高澤良一
菊膾昼のあかりを点しけり/川崎展宏
菊膾淡き一夜の人なりし/佐藤惣之助
菊膾高処の村の音きこゆ/大峯あきら
菊膾湧井に沈みゐし彩ぞ/中戸川朝人
食積にみちのくぶりの菊膾/高本時子
俳句例:61句目~
菊なます風邪の夕餉を床のうヘ/及川貞
父に子のやさしき夜なり菊膾/細川恵子
菊膾さびしがりやの父であり/角川春樹
東京をふるさととして菊膾/鈴木真砂女
思い出てふ厄介なもの菊膾/栗林ひろゑ
菊膾喉もと過ぎてかをりけり/山口草堂
菊膾掌でうけて見る味加減/神田九思男
菊膾白磁の酒盃澄みにけり/甲斐すず江
少しばかり酒たしなむや菊膾/村上鬼城
菊膾波ゆつくりとひろがり来/斎藤梅子
坐してゐて遠きが見ゆる菊膾/河合照子
不眠の眸据ゑて色香も菊膾/稲垣きくの
云はるるまゝ膝を崩して菊膾/高澤良一
羽黒山より闇おりて来し菊膾/蟇目良雨
遠く焚く火の澄んでゐる菊膾/児玉輝代
聞き置くと云ふ言葉あり菊膾/中村汀女
晝のきぬぎぬ菊膾食ひちらし/塚本邦雄
ただ二字で呼ぶ妻のあり菊膾/亭畑静塔
星屑の冷めたさに似て菊膾/大木あまり
菊なます眉を逃げゆく山の音/巌谷小波
俳句例:81句目~
菊なます肺の一薬抜かれけり/巌谷小波
菊なます色をまじへて美しく/高濱年尾
菊なます鍋島は藍佳かりけり/草間時彦
二の箸の句にあそぶらし菊膾/赤松けい子
ふたあつはさびしき数や菊膾/鳥居美智子
ひとの嘘よく見ゆる日や菊膾/本庄登志彦
菊膾酔へば死の語をもてあそぶ/細川加賀
忌の過ぎて越後の国の菊なます/角川照子
菊なます愛憎つねに表裏なす/稲垣きくの
とぶとりの明日香にほへる菊膾/今瀬剛一
来し方はふりかへらざれ菊膾/鈴木真砂女
砂地だつたり岩場だつたり菊膾/田中裕明
だれよりも祖母似と言はれ菊膾/小林篤子
菊なます子に気を遣ふ母となり/片山由美子
酔へばふつと先師あらはる菊膾/つじ加代子
しのばねばならぬことなし菊膾/鈴木真砂女
しづかなる酒徒をもてをり菊膾/米田双葉子