「天の川」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「天の川」について
【表記】天の川
【読み方】あまのかわ
【ローマ字読み】amanokawa
子季語・関連季語・傍題・類語など
・銀河(ぎんが:ginga)
・銀漢(ぎんかん:ginkan)
・雲漢(うんかん:unkan)
・天漢(てんかん:tenkan)
・河漢(かかん:kakan)
・星河(せいが:seiga)
・銀湾(ぎんわん:ginwan)
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季節による分類
・「あ」で始まる秋の季語
・「秋の天文」を表す季語
・「初秋」に分類される季語
月ごとの分類
天の川を含む俳句例
屋上に潦あり天の川/池田澄子
銀漢や齢の中に戦の日/岡本眸
銀漢や兄弟多き曲馬団/日原傳
心太さかしまに銀河三千尺/蕪村
月入て闇にもなさず銀河/炭太祇
菊河に公家衆泊めけり銀河/蕪村
荒海や佐渡に横たふ天の川/芭蕉
門前に高き楸や天の川/松瀬青々
銀漢をせきとめてをる庇かな/泰
齢氷き陰陽石や天の川/三橋敏雄
北国の庇は長し天の川/正岡子規
初秋や蚊屋に透き来る銀河/嘯山
山寺や畳の上の天の川/松瀬青々
うつくしや障子の穴の天の川/一茶
天の川はろばろと父還り来ぬ/原裕
湖心にて銀河に近む櫂の音/大串章
頂上は銀河に近し母に近し/西尾苑
大銀河生死は星の一瑣末/吉本和子
水芭蕉昼の銀河はみづいろに/林桂
別るるや夢一筋の天の川/夏目漱石
俳句例:21句目~
電力地帯煌々の灯に銀河懸く/林翔
梅干すや銀河も薄埃がちか/志摩聰
太古より銀河を支ふ円柱/品川鈴子
柊は銀河の砂の花こぼす/大木石子
朗朗と銀河を笑う漢かな/江里昭彦
女一人佇てり銀河を渉るべく/鷹女
更け行くや水田の上の天の河/惟然
雲漢の初夜すぎにけり磧/飯田蛇笏
誕生日昏き銀河へ機銃音/中島斌雄
甲板に寝て銀漢を胸の上/奈良文夫
中空に銀河放てり奥穂高/渡辺立男
天の川美し雲の出て遊ぶ/村越化石
銀漢や原子力発電所無音/奥坂まや
妻炊ぐ頭上に銀河島暮し/村松紅花
銀漢の銀の荒粒持ち帰る/伊藤敬子
仏法僧高速道は地の銀河/大木石子
女人にも戦の哀史天の川/石井道子
銀漢や少し坂なす社宅街/遠藤梧逸
家毎に地球の人や天の川/三橋敏雄
長城を真十文字や天の河/寺田寅彦
俳句例:41句目~
山中に銀河を語る大銀河/中島斌雄
天の川氾濫したる山の国/沢木欣一
我が命継ぐ子三人天の川/高石幸平
芋の葉の露や銀河のこぼれ水/自笑
銀漢に外寝の腕高く伸べ/福井圭児
銀河濃し水の宅急便届く/浦川聡子
銀漢や安房の湊に土佐の船/大串章
銀河天に高張立てし水の番/泉鏡花
檜苗銀河を父として育つ/橋本鶏二
孤りには真昼も仰ぐ天の川/斎藤玄
兄の星一つ増やして天の川/阿部寿雄
深々と眠る穂高や銀河澄み/水木鈴子
海越えて来る曲馬団銀河濃し/森田峠
夕使ひ野広く思ふ天の川/大須賀乙字
銀漢や馬房に馬の数足らひ/石田勝彦
わが厨銀河の中に鮎を焼く/古館曹人
銀漢や野に花ありて白き愁/細谷源二
銀漢や誤解の横顔鉄壁なす/川口重美
銀漢や胸の風音鳴りやまず/仙田洋子
銀漢や砂丘砂散る未明音/鷲谷七菜子
俳句例:61句目~
銀漢や男の腔をみな照らす/攝津幸彦
天の川わたるお多福豆一列/加藤秋邨
銀漢や放馬にまじる牛一つ/橋本鶏二
天の川富士の姿は夜もあり/高浜年尾
銀漢や山は太古へ還りたる/下村非文
銀漢や馬柵をこえ発つ登山隊/金子潮
天の川柱のごとく見て眠る/沢木欣一
あまざかる鄙を川下天の河/黒柳召波
岳阻み銀河逆流せんばかり/福田蓼汀
送別に舟を傭ふや天の川/大須賀乙字
不知火を待つ銀漢の鮮かに/渡辺安山
銀漢や喝采黒人ピアニスト/仙田洋子
天の川煌煌として病舎の灯/小野竹葉
一塊の焚火に落ちて天の河/齋藤愼爾
天の川礼節人にうすれつつ/松岡悠風
酔ひ諍かひ森閑戻る天の川/石塚友二
銀漢や史記にて絶えし刺客伝/日原傳
大銀河量感ひたと頬に濃し/大野紫陽
山小屋の荒粒銀河閉めて寝る/堀内薫
大阪に探す銀河も別離以後/後藤綾子
俳句例:81句目~
天の川銅の扉を引きにけり/各務耐子
人間は生きよと銀河流れをり/上野泰
天の川馴れても遠き人の門/石塚友二
今も待つ銀河へ船出せし人を/上村占
天の川鹿子絞となりにけり/京極杞陽
銀漢やおとこ斃れてなお長身/澁谷道
天の河消ゆるか夢の覚束な/夏目漱石
銀座銀河銀河銀座東京廃墟/三橋敏雄
庭浅くあふるる井戸や銀河/会津八一
嫁がせて女系絶えけり天の川/堤京子
旅人に濃し港外の銀河の尾/羽部洞然
母ゆきて天の河原に蓬摘む/香坂恵依
僧と見し比叡の銀河凄じき/伊藤柏翠
複道や銀河に近き灯の通ひ/子規句集
山の湯泉や裸の上の天の川/子規句集
甲板の足もと暗く銀河濃し/柴田道人
山荘の夜は暗しや天の川/大峯あきら
水低う漕ぎゐる舟や花曇/吉岡禪寺洞
巌あれば島あれば松や天の川/原月舟
銀漢の果てまで送りゆき戻る/長田等