「待宵」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「待宵」について
【表記】待宵
【読み方】まつよい
【ローマ字読み】matsuyoi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・小望月(こもちづき:komochizuki)
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季節による分類
・「ま」で始まる秋の季語
・「秋の天文」を表す季語
・「仲秋」に分類される季語
月ごとの分類
待宵を含む俳句例
待宵や女主に女客/蕪村遺稿
待宵や女主に女客/與謝蕪村
待宵や女あるじに女客/蕪村
江戸川や月待宵の芒船/一茶
待宵やところ~に女郎花/蓼太
待宵を終に雨来し梢かな/句仏
待宵や立尽したる峰の松/乙由
待宵や流浪の上の秋の雲/惟然
待宵の身にしむ恋や絹袷/定雅
待宵や飛石幾つ先の関/松岡凡草
待宵をたゞ漕行くや伏見舟/几董
待宵の絵皿にうすき埃かな/秋を
待宵の芒になびく女声/西村公鳳
待宵や月読橋を村の口/茂里正治
待宵の梨や今宵の享主ぶり/酒堂
待宵やひとりしぐるゝ蘆屋釜/白雄
待宵はものゝ飾もなかりけり/梓月
待宵の濡れ岩隠り蟹の爪/高澤良一
待宵を終に雨来し梢かな/大谷句仏
待宵の四山霧ふかき外厠/西島麥南
俳句例:21句目~
待宵の雲うす~と流れ居り/水士英
待宵の山動かして昇るかな/星野椿
待宵や煙のやうな芒挿す/瀬木清子
待宵の月見て明日の下話/鈴木花蓑
待宵や梟老いて飼はれたる/山岸治子
待宵や流浪のうへの秋の雲/広瀬惟然
待宵や草を濡らして舟洗ふ/藺草慶子
帰らざる人を待宵草と待つ/川口咲子
待宵のいまだ明るき灯かな/高木晴子
待宵を霧間に佐久の山ざかひ/見学玄
待宵のその小車の挽八百屋/石塚友二
待宵の天を仰ぎて虎の舞/八牧美喜子
待宵の姿見のある廊下かな/山本洋子
待宵の影三尺の鶏頭かな/岡本癖三酔
待宵の月がこぼせる雨少し/古賀昭浩
待宵の梨や今宵の亭主ぶり/浜田酒堂
待宵の波をかぶりて巌かな/橋本鶏二
待宵の湖まだ暮れず珊瑚草/澤田緑生
待宵の縁に毬つく童女かな/宮下翠舟
待宵の雨に昂ぶる飛鳥川/猿橋統流子
俳句例:41句目~
待宵の雨粒つけて杣もどる/山本洋子
待宵の心に添はぬ雨なりし/稲畑汀子
待宵やおろかに契る月の雲/松岡青蘿
待宵やしばらく広き家の中/増田龍雨
待宵や山の端暮れて星一つ/高浜虚子
待宵や師の庭芝を目に平し/石川桂郎
待宵や弓習ひゐる射だの灯/野村喜舟
待宵や昼の名残りの休み堂/浜田酒堂
待宵や月なけれども浮御堂/大橋敦子
姫路城待宵草と暮れのこる/鈴鹿野風呂
待宵の原に鶏の世を創り/阿部みどり女
少し酔ひ待宵草に手をふれぬ/菖蒲あや
待宵のこほろぎありく畳かな/中西泗汀
待宵や堰越す水のなめらかに/田中俊尾
待宵の白張りつめて会下障子/吉野義子
待宵の湯呑をつつむ両手かな/高澤良一
待宵の下界何やらざわめきて/山田閏子
待宵の今日となりつつ夕支度/星野立子
待宵の山刀伐峠ひそと子安神/斎藤夏風
待宵やカレーライスに薪の香/小口理市
俳句例:61句目~
待宵や藁焼ける火を田に残し/古内一吐
待宵も十六夜も風なりしこと/村上三良
待宵の明日もこの道通りたし/若林宏子
待宵や飛騨の木鈴かさこそと/羽部洞然
安乗海女待宵を来て木偶に泣く/佐野美智
待宵の水見て立てり眼鏡橋/山野邊としを
待宵やがや~と子等夕餐せる/西村白雲郷
待宵やけもののごとく葎立ち/佐藤明日香
待宵やかの実朝の伊豆の海/久保田万太郎
待宵や水をうごかす白き鯉/長谷川かな女
待宵の遠ちに子泣くを親しとも/吉野義子
待宵や秘してひとりの女弟子/上田五千石
待宵の平家ゆかりの小さき尼寺/有賀玲子
待宵や使者のごとくに星飛びし/工藤信子
待宵のひかりの中に壺を置く/古賀まり子
待宵の雲のゆるびて来りけり/久保田万太郎
待宵やひとの赤子のうすまぶた/星野麥丘人
待宵の刻をはぐくみゐたりけり/上田日差子
離陸準備待宵雨となりにけり/久保田万太郎
雨欲しき待宵草の香のほのか/阿部みどり女
俳句例:81句目~
音もなき待宵の雨いたみけり/長谷川かな女
鵜捕り場に待宵草の吹かれをり/町田しげき
待宵やひざに抱きたるペルシヤ猫/田宮真智子