「朝寒」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「朝寒」について
【表記】朝寒
【読み方】あささむ
【ローマ字読み】asasamu
子季語・関連季語・傍題・類語など
・朝寒し(あささむし:asasamushi)
・朝寒み(あささむみ:asasamumi)
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季節による分類
・「あ」で始まる秋の季語
・「秋の時候」を表す季語
・「晩秋」に分類される季語
月ごとの分類
朝寒を含む俳句例
朝寒や関の扉の開く音/蝶夢
朝寒く鎖は軋る船二つ/楸邨
朝寒や蟾も眼を皿にして/一茶
朝寒や看板残る氷店/正岡子規
朝寒や白粥うまき病上り/草城
朝寒や垣の茶笊の影法師/一茶
獣の鼾聞ゆる朝寒ミ/正岡子規
朝寒や雑巾あてる門の石/一茶
朝寒や自ら炊ぐ飯二合/夏目漱石
朝寒の翡翠覗く池の面/石塚友二
朝寒の蒸気をまとう連結子/林徹
朝寒の寺へ花売車来て/細川蛍火
川西の故郷も見へて朝寒み/一茶
朝寒や歯磨匂ふ妻の口/日野草城
朝寒や青物洗ふ高瀬川/村上霽月
朝寒や柱に映る竈の火/佐藤紅緑
朝寒の露も下りざる芒かな/石鼎
朝寒や手を放したる刎釣瓶/魯丸
朝寒や寒水石の手水鉢/寺田寅彦
朝寒の混浴女向うむき/高澤良一
俳句例:21句目~
朝寒のけふの日南や鳥の声/鬼貫
深川の家尻も見へて朝寒き/一茶
朝寒や鬼灯垂るる草の中/龍之介
朝寒の今日の日南や鳥の声/鬼貫
朝寒の潮来夜寒の鹿島かな/素十
朝寒き弓ひく音や塀の内/会津八一
朝寒や汽罐車ぬくく顔を過ぐ/風生
朝寒の日当る門や杉の奥/野村泊月
朝寒き貝より薄き骨拾ふ/古館曹人
朝寒く夜寒く人に温泉あり/たかし
朝寒の牛の鞦つけにけり/松瀬青々
朝寒や大魚動かず淵の底/正岡子規
朝寒し適塾を守る拭掃除/岩崎照子
朝寒や万年青一鉢舟住居/野村喜舟
朝寒や阿蘇天草とわかれ発ち/龍太
朝寒の枕頭にあり新聞紙/島田青峰
朝寒の桂離宮の御門かな/成瀬正俊
朝寒の大き足音牛乳来る/沢木欣一
朝寒の家鴨流るゝ小川哉/寺田寅彦
朝寒も夜寒も人の情かな/夏目漱石
俳句例:41句目~
二日咲く木槿となりて朝寒し/暁台
朝寒や車引き込む大根畑/寺田寅彦
高原や朝寒の天張りつめて/有働亨
大内山思ふ朝寒夜寒かな/岩崎照子
陸橋に満つ朝寒の女学生/草間時彦
朝寒や花一すじの水引草/野村喜舟
寺子屋の門うつ子あり朝寒み/太祇
松風や朝寒顔の小鰺売り/村山古郷
朝寒を土におどろく佐官哉/森鴎外
朝寒や花より赤き蓼の茎/内藤吐天
朝寒の人各々の職につく/高浜虚子
朝寒の撫づれば犬の咽喉仏/草田男
朝寒の仏頂面を洗ひをり/村山古郷
朝寒や音羽へ下りる鼠坂/野村喜舟
朝寒の冷水浴を難んずる/夏目漱石
朝寒や鞭ふりならす羊飼/寺田寅彦
朝寒の穴ぼこのごと旅鞄/内田美沙
朝寒や雨滴落ちの捨柚釜/会津八一
朝寒き壷や千年毒ねむり/加藤楸邨
朝寒や太鼓に痛き五十棒/夏目漱石
俳句例:61句目~
朝寒や富士を向ふに大根畑/寺田寅彦
朝寒や山と静けきわが心/東洋城千句
朝寒や幹をはなるゝ竹の皮/室生犀星
朝寒や息かけて捺す出勤印/皆吉爽雨
朝寒や手をもみ初めて菊のはな/風斤
朝寒や泥をつめ込む壁の穴/寺田寅彦
朝寒や洗ひ上げたる舟に乗る/上野燎
出勤簿朝寒の顔来ては去る/石田海市
朝寒や生きたる骨を動かさず/漱石)
朝寒や白きかしらの御堂守/村上鬼城
朝寒や胸につかへし茄玉子/田中美沙
朝寒や菜屑ただよふ船の腹/杉田久女
朝寒や薩摩絣のめでたくも/野村喜舟
朝寒や見て戻りたる魚市場/奥田彩雲
旅立ちや朝寒の息弾ませて/高澤良一
日本の朝寒夜寒煮こぼれる/坪内稔典
朝寒や豆腐の外に何もなし/井上井月
朝寒う波打際をあるきけり/寺田寅彦
朝寒き水の豆腐の真つ四角/佐野良太
朝寒や起つて廊下を徘徊す/正岡子規
俳句例:81句目~
朝寒や起てしはぶく古ごたち/炭太祇
朝寒や通夜から戻る二人連/内藤鳴雪
朝寒や青菜ちらばる市の跡/正岡子規
朝寒となりしか常の父の音/能村研三
朝寒にある明るさに始る日/高木晴子
朝寒に凛たる初心勤めにも/香西照雄
朝寒や鳩に餌を撒く寺の庭/寺田寅彦
朝寒や鼻血おさへし旅の人/子規句集
朝寒を覚ゆる杖に庭あるき/高濱年尾
柱鏡に風見えてゐる朝寒し/臼田亞浪
閑ヵとは児の寝姿や朝寒み/野村喜舟
朝寒の喇叭を聞くや城の下/寺田寅彦
朝寒の噴煙折るる飛騨の方/水谷晴光
朝寒の地蔵湯に湯を使ふ音/高澤良一
朝寒の大きな星が残りけり/山本洒石
朝寒の子に縁側の光りをり/星野立子
朝寒の山水満つる木賊かな/中島月笠
朝寒の教室にもう誰かゐる/行方克巳
朝寒の杣が届けし端書かな/野村泊月
朝寒の来し郵便は父にのみ/中尾白雨