「トマト」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「トマト」について
【表記】トマト
【読み方】とまと
【ローマ字読み】tomato
子季語・関連季語・傍題・類語など
・蕃茄(ばんか:banka__)
・赤茄子(あかなす:akanasu)
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季節による分類
・「と」で始まる夏の季語
・「夏の植物」を表す季語
・「晩夏」に分類される季語
月ごとの分類
トマトを含む俳句例
政変やトマトに塩をふる男/皆吉司
青トマト落つ石垣に驟雨の痕/中拓夫
汗拭ふ貧厨トマト浸しあり/岸風三楼
千万の宝にたぐひ初トマト/杉田久女
太陽を孕みしトマトかくも熟れ/篠原
時国家厨の笊にトマトあり/南部富子
トマトなほ累々と青し鰯雲/木村蕪城
人間の匂ひ砂丘に腐れトマト/有働亨
秋晴の畑に残るトマトかな/相島虚吼
百年過ぐトマト畑の日照雨/寺井谷子
灼土にしづくたりつゝトマト食ふ/篠原
子の為に朝餉夕餉のトマト汁/星野立子
トマト赤し耳も淋しき高原に/対馬康子
トマト赤一人で喋る娘と夕餉/丸橋静子
温室にトマト熟れたる朧かな/岸本尚毅
トマト食ふ朝夕つづけて一年中/上林暁
桃トマト小冷蔵庫なれど冷ゆ/日野草城
妻留守の完熟トマト真二つに/山中正己
朝市や追荷のトマト露とどめ/前田鶴子
星夕拓土さながらトマト熟れ/萩原麦草
俳句例:21句目~
学僧やよくトマト喰ひ華厳狂/河野静雲
初もぎの喜色のトマト卓にあり/仲澤昭
土深く竹刺してまだ青トマト/和知喜八
編年史ならば赤茄子地に震はむ/橋口等
トマト濡れ高草山よ青けぶり/菊川貞夫
現実は多分トマトの丸かじり/櫂未知子
荒川の源流にしてトマト食ふ/八木林之介
完熟のトマトを夕日よりはづす/南うみを
帰省子にトマトの青も門辺なる/岸風三楼
庭先にトマト実らせ白き椅子/長谷川吉雄
恋愛のふとをかしきは赤茄子/増田まさみ
持ち重る茄子やトマトや水見舞/星野立子
昭和遠し冷しトマトといふ肴/伊藤伊那男
松かげにトマトの出来や浜館/島村元句集
トマトもぐ一畝買ひの畑に来て/山岸治子
水溢れ胡瓜トマトも溢れ来る/蓬田紀枝子
満鮮の旅によろしも瓜トマト/鈴鹿野風呂
物売の驟雨に濡れしトマト買ふ/宮津澪子
畑から飛びくる蠅やトマト剥く/増田龍雨
癩夫婦西日のトマト手より手へ/石田波郷
俳句例:41句目~
起きし子と朝の挨拶トマト切る/高橋笛美
青トマト囓りて充たずまだ戦後/河野南畦
トマト二顆づつ白布ばかりの卓の上/林翔
トマト作る日曜学校の生徒かな/島田青峰
トマト噛むや沖の没日が火の車/川口重美
トマト耀り海への道の真昼なる/中島斌雄
一片のトマト冷たきランチかな/野村喜舟
下駄やトマト漂ふ海の親しさよ/津田清子
二つ三つふぐり下りに青トマト/石塚友二
初蝶を見たりトマトだけの昼餉/細見綾子
古書街に日は昇りけり青トマト/斉藤夏風
噴霧機にトマトの匂ひはね返る/河津春兆
夏草を毟るトマトのほとりかな/前田普羅
夜が暑し何でトマトを煮て食はす/有働亨
トマト一鉢に露台の色を集めけり/島田青峰
難民やトマトあふれるほどに売り/対馬康子
トマト新鮮リヤカー部隊脊振から/鮫島康子
行く秋や残るトマトの青きまゝ/高橋淡路女
虹たつやとりどり熟れしトマト園/石田波郷
冷蔵庫に冷えゆく愛のトマトかな/寺山修司
俳句例:61句目~
トマト食ふ妊りし唇ためらはず/榛原アイ子
誌を了へて南部の路地に瓜トマト/斉藤夏風
トマトもぐ巨獣の如き機械かな/吉良比呂武
トマトもぐ手より地の涯まで夕焼/齋藤愼爾
草むらにトマト散らばる野分かな/岸本尚毅
トマト熟れ伊賀の山脈明らかに/大田たけを
トマト食す哀しいほどに自由なり/鮫島康子
脇役はほどほどでよし熟れトマト/梅田眞男
笑ふこと減りてトマトに塩を振る/櫂未知子
朝日匂ふ卓へ濡れ手で出すトマト/金子篤子
朝露に濡れて熟れたるトマトもぐ/和泉直行
夏まけの胃によトマトも末となり/林原耒井
下水底に足つきて貰ふトマト紅し/岩田昌寿
トマト好き故にピザ好き紅茶好き/高澤良一
登山衆が桃がトマトが濡れて着く/林原耒井
青トマトすくすく伸びし童女の背/相馬遷子
二階より駈け来よ赤きトマト在り/巌谷小波
熟れすぎのトマトは強き日の匂ひ/大星雄三
トマトに塩いまも若子の位置われに/野澤節子
トマトに振る塩目分量ちょと過ぎし/高澤良一
俳句例:81句目~
海夕焼トマトを伊太利亜風に煮て/中戸川朝人
握るトマトに燃ゆる秋日な切り離す/林原耒井
剪り取りしトマト掌にあり日を鍾め/林原耒井
人買ひの道はトマトを熟れさすよ/井上ひろ子
井戸水にめぐまれ住んでトマトもぐ/伊東月草
茄子胡瓜トマトも売られ冬至とは/岡本まち子
トマトなどもぎ来て夕餉もてなされ/福井圭児
落暉いまトマト剪り取る手にゆらぐ/林原耒井
蕃茹に塩振りすぎとこゑありにけり/高澤良一
好きといふ露のトマトをもてなされ/川端茅舎
遊女の昼流るでもなきトマトの蔕/八木三日女
釜利谷のをばさんの売る地のトマト/高澤良一
くちづけのあとの真っ赤なトマト切る/大高翔
ほのかなるトマトのぬくみ草に置く/林原耒井
アスパラ北より早生トマト南より/鈴木真砂女
氷河遠望トマトが甘いプロフェッサー/伊丹公子
葉を巻いてトマト病みをり梅雨の庭/松本たかし
水戸つぽが食ぶや血の濃くなるトマト/岡田久慧
ひとときに熟るゝトマトや小さきまで/相馬黄枝
ころげたるトマト踏まるゝ市場かな/為成菖蒲園