「枇杷」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「枇杷」について
【表記】枇杷
【読み方】びわ
【ローマ字読み】biwa
子季語・関連季語・傍題・類語など
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季節による分類
・「ひ」で始まる夏の季語
・「夏の植物」を表す季語
・「仲夏」に分類される季語
月ごとの分類
枇杷を含む俳句例
尼寺や甚だ淡き枇杷の味/村上蚋
枇杷の箱端しく積みて艀来る/篠原
村の塵ほとんど枇杷の掛袋/森田峠
枇杷をもぐ女が見ゆる嗽/細川加賀
無伴奏組曲夜の枇杷太る/浦川聡子
火山灰落して枇杷の袋掛く/峰山清
枇杷熟す十七歳の白昼夢/玉乃井明
枇杷熟れて海へ傾く桜島/菖蒲あや
枇杷描き枇杷羊羹の包み紙/高澤良一
枇杷剥いて想ふ東海あたりかな/林桂
雨上りわけても枇杷の雨雫/高澤良一
枇杷積んで桜島より通ひ舟/伊藤柏翠
枇杷剥けば果肉に潜む少年期/秋尾敏
枇杷の葉の照り一月の防波堤/中拓夫
先生を考へてをり月の枇杷/斉藤夏風
寐てまつや梅田枇杷麦郭公/内藤丈草
仏龕の箔の古さよ枇杷の色/尾崎紅葉
佇みて枇杷よくおちる処かな/中田剛
信堅き島人の枇杷熟れそむる/有働亨
海明り早生り枇杷は四国一/高澤良一
俳句例:21句目~
土佐湾に面して枇杷の袋掛/高澤良一
夕風の枇杷もぐ蹠仰ぎけり/岩田昌寿
枇杷種に遠い灯がつき老夫妻/桂信子
枇杷の精おとづれし日の風甘き/中勘助
野育ちや小枇杷の出臍緑帯び/香西照雄
退院の夜の団欒の枇杷すする/伊東宏晃
袋破れ一顆は天へ枇杷実る/稲垣法城子
一粒の枇杷まろびたる畳濡れ/亀井糸游
葉も幹も埃まみれや太る枇杷/山西雅子
管理人室の横手の枇杷たわわ/高澤良一
枇杷山に娘も駆り出され袋掛/伊東宏晃
犬枇杷に沖より旭駈けつけし/高澤良一
枇杷の実の天を仰ぎて太りけり/上村占
富浦の一足はやきハウス枇杷/高澤良一
枇杷の種弾みて富士の山開き/飯田龍太
枇杷の実の見えし天体望遠鏡/大石雄鬼
兄弟の枇杷植うといふ垣根哉/鏑木一葉
病人の出す枇杷の種大きかり/高澤良一
犬枇杷にほとばしり落つ厨水/戸川稲村
弔問の途中の枇杷が綺麗なり/鈴木伸一
俳句例:41句目~
弟にうとんぜられて枇杷啜る/野田美帆
枇杷の葉の窓の如くに蝕まる/横山白虹
北海の青潮下に枇杷ちぎり/鈴鹿野風呂
厩の牛昔藤のごとし枇杷の村/橋本鶏二
ふたまわり下の男と枇杷の種/池田澄子
海光に早くも枇杷の紙被れり/林原耒井
浦曇り枇杷は袋にひっそりと/高澤良一
枇杷の肛門すすり家族ら霊迎/江里昭彦
枇杷の葉に供ふ野のもの釈奠/鶴丸白露
枇杷値切る婦人忘れぬ貞操を/宮武寒々
水玉を生毛につけて卓の枇杷/福本天心
枇杷食べて雀の死にし話する/細見綾子
枇杷青しひとときかつと机照る/中拓夫
枇杷は黄に天主の塔は海光に/石原八束
闘病の細き指もて枇杷すする/中村芳子
天平のおどけ眼に枇杷熟るる/今井竜蝦
枇杷もるや都をどりと書ける皿/辻桃子
妻あらぬ一日の枇杷の疵古し/下村槐太
青枇杷や九十九折なす島の道/石川桂郎
枇杷熟るる出窓の多き異人館/中井啓子
俳句例:61句目~
妻在らぬ一日の枇杷の疵古し/下村槐太
枇杷たべて再び火口覗かざる/津田清子
枇杷の実の幼なさ見せて昼の雨/松村蒼石
枇杷の木と兎にありし鞭のあと/栗林千津
枇杷の柔毛わが寝るときの平安に/森澄雄
枇杷の核の沁み拡がれる白紙哉/西山泊雲
枇杷の疵新古ながらに烙絵色/島村元句集
これよりは暗黒、海に枇杷繁り/攝津幸彦
さっきから鴉が鳴いて枇杷日暮/高澤良一
枇杷の種はずみころがる海の家/桜井博道
ひあはひに枇杷の葉青し秋の空/渡辺水巴
枇杷の種掌に吐きついで韻あり/内藤吐天
枇杷たわゝ朝寝たのしき女の旅/近藤愛子
枇杷の鈴四五枚の葉に立据はり/西山泊雲
ほんのりと枇杷の匂ひやご本尊/岸本尚毅
枇杷の露涼しと窓を蔽ふ日かな/会津八一
枇杷の黄を旅に加ふる雨ながら/古舘曹人
やはらかき紙につつまれ枇杷のあり/篠原
ゆふぐれの枇杷を仰ぎて青ざめし/中田剛
枇杷むけば亡き人の来て一つ剥く/岡本眸
俳句例:81句目~
枇杷をもぐ笠を阿弥陀に雨の中/福田蓼汀
わが齢の忽と過ぎゆく枇杷の種/古舘曹人
枇杷をむく母にまだある指力/大木あまり
枇杷を剥く指から宙は始まりぬ/大西泰世
枇杷剥きぬ不良になれぬ中年ヘ/櫂未知子
枇杷啜り土佐の黒潮したたらす/渡辺恭子
枇杷洗ひ供ふ泪目きらびやか/赤松けい子
枇杷照るや天は地よりも乱れつつ/堀葦男
枇杷熟れて漁村故なく貧しかり/青木重行
枇杷熟れて黒雲のゆく迅さかな/岸本尚毅
枇杷萌えて掌合すごとし卒業期/古沢太穂
枇杷買うて舷梯のぼる夜の雨/橋本多佳子
枇杷買ひて夜の深さに枇杷匂ふ/中村汀女
枇杷青し悪童の瞳の澄めりけり/中島杏子
枇杷黄ばむほの明るさに百日忌/高澤良一
湖の日の金環枇杷の熟れにけり/丹羽啓子
潮曇る岬鼻の枇杷熟るる日は/松尾崎明美
灘の色明るき雨に枇杷熟るゝ/秋元草日居
墓裏のいろづく枇杷に田が濁る/松村蒼石
灯や明し独り浴後の枇杷剥けば/石塚友二