季語/蜘蛛(くも)を使った俳句

「蜘蛛」を使用した俳句についてまとめてみました。

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季語「蜘蛛」について

【表記】蜘蛛

【読み方】くも

【ローマ字読み】kumo

子季語・関連季語・傍題・類語など

・蜘蛛の巣(くものす:kumonosu)

・蜘蛛の囲(くものい:kumonoi)

・女郎蜘蛛(じょろうぐも:jorogumo)

・蜘蛛の子(くものこ:kumonoko)

・袋蜘蛛(ふくろぐも:fukurogumo)

・蜘蛛の太鼓(くものたいこ:kumonotaiko)

季節による分類

・「く」で始まる夏の季語

・「夏の動物」を表す季語

・「三夏」に分類される季語

月ごとの分類

5月の季語

6月の季語

7月の季語

蜘蛛を含む俳句例

忘れ庵秋風に蜘蛛成佛す/中勘助

蜘蛛の糸一筋よぎる百合の前/素十

糸流す蜘蛛の顔あり花御堂/上村占

若蜘蛛の脚飴色に透き通り/坂井建

暫くを考へてをり蜘蛛の糸/中田剛

枯菊や籠花活の蜘蛛のいと/森鴎外

蜘蛛の糸端を宝篋印塔に/高澤良一

黄落の人が引き出す蜘蛛の糸/原裕

ほんちは喧嘩蜘蛛のこと/高澤良一

蜘蛛雲に走り寄り蹲りけり/上野泰

蜘蛛走る枯葦中の水溜り/松村蒼石

散供櫃に蜘蛛のゐ淋し神無月/露章

蜘蛛消えて只大空の相模灘/原石鼎

蜘蛛の糸葉陰にありて銀に/中田剛

蜘蛛の糸腕にながれ夕参/飯島晴子

日輪と一対一や女郎蜘蛛/今岡直孝

蜘蛛の囲が顔に迷惑千万な/高澤良一

蜘蛛の中で蝿虎は愛すなれ/青木月斗

炉開や蜘蛛動かざる灰の上/高浜虚子

木の瘤に脂吹き出す袋蜘蛛/植田桂子

俳句例:21句目~

天井はずい分広し下る蜘蛛/桑原三郎

軒の蜘蛛袋をさげて渉りけり/原石鼎

蹲りゐて蜘蛛よりも母淋し/有馬籌子

肩うつて春の霰のそれきりに/畑耕一

原稿紙蜘蛛の透明な粒這えり/三谷昭

試算する退職金や夜の蜘蛛/那須淳男

絶食のわれと書の間蜘蛛わたる/林翔

何虫も聊爾に秋の蜘蛛の宿/広瀬惟然

啓蟄の蜘蛛また一つはしりけり/播水

袋蜘蛛夕は妻とバツハ聞く/四ッ谷龍

秋麗の極みに蜘蛛の遊び糸/高田秋仁

女郎蜘蛛楕円函数論知るや/高澤良一

ひとり棲む母を侮り袋蜘蛛/福永耕二

びろうどの帽子の上の春の雁/畑耕一

唇へながれてきたり蜘蛛の糸/中田剛

栗甘くわれら土蜘蛛族の裔/津田清子

人の息かかり幽霊蜘蛛動く/堀井英子

蝿取蜘蛛夕べの夫婦背き合ふ/菊地健

浮草や蜘蛛渡りゐて水平ら/村上鬼城

秋雨や蜘蛛とぢて伏す枯れ葎/原石鼎

俳句例:41句目~

蜘蛛天の使となつてずり下り/上野泰

蜘蛛の囲や雨雲遠く秋暑し/島田青峰

女郎蜘蛛金龍院の空を降り/高澤良一

蜘蛛の囲も緑色なる製茶場/鈴木かづ

蜘蛛の囲の時折人の通ふ径/高橋利雄

一すじの蜘蛛のゐ白き月夜かな/独友

秋澄んで銀燃ゆる蜘蛛の糸/石塚友二

舞の出を待つ人に置き切山椒/畑耕一

蜘蛛の囲に大平洋の朝日掛く/湯川雅

薫風や蝿取蜘蛛の一二匹/島村元句集

一筋の糸懸け了り草に蜘蛛/橋田憲明

水蜘蛛に釣場の茨花すぎぬ/西島麥南

蜘蛛の糸垂れて届かぬ流人墓/樋笠文

川蜘蛛の影米米と米米と/佐々木六戈

沢の辺に童と居りて蜘蛛合/芝不器男

馬鈴薯の花かげ蜘蛛の子澤山/篠田悦子

大き蜘蛛下る西日の武者走/伊藤いと子

木槲の花をのせたる蜘蛛の網/富安風生

おそろしく遠い厠や蜘蛛の糸/山田六甲

大蜘蛛のがさ~と這ふ夜長哉/内田百間

俳句例:61句目~

大蜘蛛の現れ小蜘蛛なきが如/高濱虚子

末枯に漂ひをりし蜘蛛の糸/波多野爽波

天上天下唯我独尊女郎蜘蛛/粟津松彩子

松蝉の響ける糸を蜘蛛渡る/野見山朱鳥

枕上み夜はふ蜘蛛も影負ひて/石塚友二

枕上み秋は小蜘蛛も影負ひて/石塚友二

女郎蜘蛛十方に揺れ産後の身/飯田龍太

女郎蜘蛛外へ外へと荒き絲/佐々木六戈

枯菊に虹が走りぬ蜘蛛の糸/松本たかし

女郎蜘蛛径を許さず夏あざみ/永井龍男

女郎蜘蛛朝は黄金に張れる糸/高澤良一

水の上蜘蛛の軽わざはじまれり/下田稔

しぐれ聴く聖観音へ蜘蛛の糸/大島民郎

浴室にゴシック体の蜘蛛走る/山内嵩弘

すこしづつ雫うごきぬ蜘蛛の糸/中田剛

女郎蜘蛛糸張る計算通りかな/高澤良一

女郎蜘蛛縦の糸張る手順見て/高澤良一

父の碑に蜘蛛の一点恭々し/山田みづえ

玉砂利や奥処を見せぬ袋蜘蛛/石川桂郎

たちこめて花の匂ひや蜘蛛の糸/中田剛

俳句例:81句目~

畦焼くや蜘蛛走り出し石の上/西山泊雲

痩蜘蛛の宿となるべく一葉哉/寺田寅彦

つゆばれや一筋横に蜘蛛の糸/小澤碧童

竹竿に蠅取蜘蛛の出で晴れ間/喜谷六花

籠る冬蜘蛛一匹も追ひ出さぬ/村越化石

糸引いて戻らぬ蜘蛛ぞ雪迎へ/嶋田麻紀

糸引いて石這ふ蜘蛛や冬川原/鈴木花蓑

ふるひ居る小さき蜘蛛や立葵/高濱虚子

美しき罠編んでゐる夜の蜘蛛/花宮伸子

耳痛き幼児の記憶朝の蜘蛛/長谷川秋子

脅し道化しところ蜘蛛にもあり/上野泰

山雨過ぎ網を繕ふ女郎蜘蛛/大久保白村

脚高く蜘蛛わたりくる畳かな/野村泊月

芋の葉の露して蜘蛛の忘れ絲/鈴木花蓑

己が囲をゆすりて蜘蛛の憤り/皿井旭川

インク壜淡く蜘蛛の死遠からぬ/金子晉

花蜘蛛の軒に幾日をさみたるゝ/森鴎外

若竹や蜘蛛や朽ちたる縁の穴/寺田寅彦

草涼し蜘蛛は眠りの糸を吐く/庄司圭吾

一本となりし二本や蜘蛛の糸/小林草吾