「十一」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「十一」について
【表記】十一
【読み方】じゅういち
【ローマ字読み】juichi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・慈悲心鳥(じひしんちょう:jihishincho)
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季節による分類
・「し」で始まる夏の季語
・「夏の動物」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
十一を含む俳句例
十一面観音菩薩寒埃/松澤昭
十一面稱讃椿赫赫と/中岡毅雄
十一面観音櫻見にゆかん/原裕
沖に日矢十一月の波頭/星野椿
観世音十一面に初嵐/鷹羽狩行
四方に鶯十一面観世音/上野泰
十一月の宮殿の雨の宵/田中裕明
川透きて十一月の桑畑/斎藤道子
尻重き十一月の山の虻/宮坂静生
を焼く十一月の身のまはり/黛執
仏壇へ十一月の山の影/鈴木厚子
十一面観音堂へ麦の秋/矢島渚男
茨の実琥珀十一月終る/山口青邨
十一面観音の腕長き雪/石原八束
十一の声や未明の杉襖/熊岡俊子
母に娘に十一月の花鋏/菅原鬨也
十一月祭京大に櫓建つ/田井洋子
観音に十一面の秋の冷/鈴木まゆ
十一面千手観音朧へ手/松山足羽
十一月焚いて渚に桜榾/岡井省二
俳句例:21句目~
醜松の十一月を水漬ける/齋藤玄
長命寺裏や十一月も尽き/岸田稚
葉蘭より十一月の雨のおと/加藤勝
火に近く十一月の柱かな/森賀まり
山かたち十一月の景色かな/星野椿
灯台に十一月の濤しぶき/伊藤敬子
花石蕗に十一月の始りぬ/高木晴子
巌苔に十一月の水游ぶ/星野麥丘人
投函に十一月の日差す道/高澤良一
しんしんと十一月の瓶の底/大林勉
指輪買ふ十一月の雨色の/武居国子
十一面観音諸子すばやしよ/小澤實
十一面観音にこの花山河/木内彰志
出水禍の十一月も畳なし/近藤一鴻
十一や焼畑うなふ手斧鍬/海野/勲
十一や羽黒の杉の磴険し/皆川盤水
冬ざれや十一匹の猫の床/平井照敏
十一や北壁見ゆる三の沢/桂樟蹊子
十一や坊主地獄へ人の列/渡辺立男
日暮見ぬ十一月の道の辺に/原石鼎
俳句例:41句目~
十一や女人高野の千の磴/小谷延子
事多き十一月のはじまりし/桂信子
十一や甘酒のこる舌の熱/古舘曹人
星空を足音あゆむ十一月/平井照敏
余日なき十一月の予定表/星野立子
信濃全山十一月の月照らす/桂信子
月上る十一月の草の香に/新村写空
草餅の十一臼目誰が搗く/皆川白陀
十一や花背峠は杉の谷/脇本千鶴子
十一鳴く聴禽書屋の文机/佐藤トミ
十一面の一面背く麦の秋/伊藤白潮
夜長人彭々と銀座十一時/清原枴童
十一面の一つ悪相竹煮草/山田凉子
悴みて高虚子先生八十一/高浜虚子
水取の十一人の僧のうち/高野素十
牛減りて十一月の牧となる/森田峠
満願の十一僧に紙衣古る/磯野充伯
炎天や十一歩中放屁七つ/永田耕衣
雲を見て十一月は余り月/手塚美佐
雲ゆくや十一月の大鳥居/猪頭星荘
俳句例:61句目~
雨や降る凡に十一月三日/石塚友二
雨が消す十一月の草の色/大島早苗
水の辺に十一月の青芭蕉/石原舟月
十一月婚約の孫祝しけり/濃野愛子
貌うつす十一月の水の張り/桂信子
宙に日を十一月の楢櫟/星野麦丘人
深吉野の十一月の蕗の薹/茨木和生
街の音十一月も半ば過ぎ/高木晴子
白黒の十一月の映画かな/小原すさ
墨すつて十一月の卓の上/橋本榮治
墨すつて十一月の洛の宿/橋本榮治
あたたかき十一月の回り道/松吉良信
影淡き十一月の稲架掛くる/石川桂郎
瞬けば十一月は冬なりき/殿村菟絲子
からまつに十一月の雨の音/野中亮介
十一面観音祀る花あかり/山崎千枝子
老人に海優しかり十一月/櫛原希伊子
旅に見る十一月の水や空/島田みつ子
日の障子十一月の白ならん/大井雅人
コーヒ濃し十一月の終りけり/森田峠
俳句例:81句目~
サフランの十一月の畑荒れ/黒田杏子
ベッド組み立てて十一月の雨/皆吉司
星を一撃十一月の人焼く火/対馬康子
今日よりは十一月の旅日記/星野立子
旅なれば十一月の雨軽し/野田ゆたか
父の忌の十一月の雪を掃く/深谷雄大
美しき十一月のペルシャ猫/山口冬男
栗いろの十一月の雀らよ/今井杏太郎
十一面さんのお講の春の雪/関戸靖子
ことごとく秋思十一面観音/鷹羽狩行
鳴くからに十一月の蚊を殺す/赤松子
十一月の税吏に向くる空気銃/斎藤玄
固く鎖す十一月の勅使門/和久田隆子
十一面観音雨戸して十三夜/野呂春眠
海の鵜に十一月の日は移る/小宅容義
陽を零す十一月の水車かな/中村梅子
縞織つて十一月の風の音/鷲谷七菜子
十一月はぼんやりと板囲い/増山美島
雪に照る翳る菩薩の十一面/品川鈴子
十一月神の醸せし酒にほふ/栗原稜歩