「筒鳥」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「筒鳥」について
【表記】筒鳥
【読み方】つつどり
【ローマ字読み】tsutsudori
子季語・関連季語・傍題・類語など
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季節による分類
・「つ」で始まる夏の季語
・「夏の動物」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
筒鳥を含む俳句例
筒鳥や雪天辺に奥穂高/渡辺立男
筒鳥や根室林中昆布干/斉藤夏風
筒鳥や方丈谿に開かれつ/有働亨
筒鳥や径幾折れの芋峠/川原博美
筒鳥や峠に冷やす車酔/相馬遷子
筒鳥や記憶の中の母の声/皆吉司
筒鳥や熊笹覆ふ行者道/岡田日郎
高原の筒鳥遠く聞き歩く/藤田静水
筒鳥に霧呆けゆく暁の坂/巌谷小波
筒鳥や楢の下草片敷けば/石田波郷
筒鳥や廃坑あとの山容ち/高浜年尾
筒鳥や橋の下草片敷けば/石田波郷
筒鳥や水音や霧のにじり口/安西篤
筒鳥や癈坑あとの山容ち/高浜年尾
筒鳥や老杉老檜空洞多く/山口草堂
雲重き朝や筒鳥独りごつ/堀口星眠
筒鳥に明けて磐梯霧深し/水原春郎
筒鳥に涙あふれて失語症/相馬遷子
筒鳥や雪嶺映す池しづか/鎌田八重子
筒鳥の聲かへし来る母の膝/松村蒼石
俳句例:21句目~
筒鳥の遠鳴く朝の樹海かな/松田多朗
山の巫女高く筒鳥渡しけり/萩原麦草
筒鳥や農夫に托す留守の鍵/堀口星眠
筒鳥や右手と聞けば左より/高橋悦男
筒鳥や胸をしぬげる阿寒蕗/飯塚秀城
旅にして聴く筒鳥も辰雄の忌/安住敦
暁闇の冷えを筒鳥声幽か/小原菁々子
筒鳥の啼いて谷霧開きけり/吉田冬葉
つつ鳥や木曾の裏山木曾に似て/白雄
筒鳥の声かへし来る母の膝/松村蒼石
筒鳥の声を放てば山が聳つ/野澤節子
筒鳥の声落ち来る後架かな/高濱年尾
筒鳥の幽かを伝へたりし風/奥田智久
筒鳥や岸壁くらき日の出前/小林葭竹
筒鳥は遠し湿原日を揚げて/目黒十一
筒鳥やきぶねの神は御舟形/高橋睦郎
筒鳥の空にも水の音がせり/茨木和生
筒鳥や山葵田へ道逆落し/稲垣きくの
郭公に明け筒鳥に森昏るる/村越化石
考のこゑ青き夜明けの筒鳥は/及川澄
俳句例:41句目~
今度こそ筒鳥を聞きとめし貌/飯島晴子
筒鳥や来世より呼ぶ父のこゑ/橋本榮治
筒鳥は母亡き父はほととぎす/黒田杏子
筒鳥の鳴けば籠坂に霧かゝる/吉川春藻
筒鳥の鳴きて世遠き思ひかな/村松紅花
恐山筒鳥は世のそとに啼き/猪俣千代子
森遠し筒鳥は世の外に鳴き/猪俣千代子
筒鳥や谷に住みては谷の顔/小島千架子
母の忌の裏口開き筒鳥聴けり/村越化石
筒鳥や遥かを船のゆくごとし/黒鳥一司
筒鳥や閑古や鳴くに義母葬る/皆川白陀
筒鳥が呼ぶのみ水流また変り/福田蓼汀
筒鳥とだれかが言へり風ばかり/田代靖
筒鳥や小さき祈りの石積めば/手島靖一
筒鳥やみるみる晴るゝ山の霧/秋山万里
筒鳥に俳書二三をつつましく/松村蒼石
筒鳥に深山は霧を深めけり/伊勢由美子
筒鳥のかすかを伝へたりし風/奥田智久
筒鳥のこゑつつぬけに幹の中/橋本鶏二
筒鳥の二声づつの峰越しなる/皆吉爽雨
俳句例:61句目~
筒鳥の忍び音に未だ栂萌えず/堀口星眠
筒鳥やさはに峯反る暁の富士/斉藤夏風
筒鳥の間遠となりし移りけり/岸風三楼
筒鳥や千早城址を遠打てる/長谷川閑乙
筒鳥や定刻に来る山のバス/坂本登美子
筒鳥や山に居て身を山に向け/村越化石
筒鳥や思はぬ尾根に牛群れて/堀口星眠
筒鳥や日の美してゐる山の口/石田郷子
筒鳥や昼なほ昏き茶屋の土間/野澤節子
筒鳥や風いくたびも吹き変り/山田みづえ
筒鳥やひたすらキーを打つ窓辺/永沢達明
山刀伐や筒鳥ぽぽとぽぽぽぽと/黒田杏子
幹のうしろに暗き幹立つ筒鳥よ/加藤楸邨
歩を止めて筒鳥の声それつきり/柳本燕雨
目をつむる筒鳥は来し方の鳥/千代田葛彦
筒鳥が吾を呼ぶ常にはるかにて/相馬遷子
筒鳥と見れば青葉のかむさり来/中村苑子
筒鳥の鳴くが淋しと彫るこけし/原コウ子
筒鳥の筒鳴らしつぐ能登ぐもり/羽田岳水
筒鳥や分れて道は火山灰ふかく/皆吉爽雨
俳句例:81句目~
筒鳥の啼くたびわれを遥かにす/木郷昭雄
筒鳥の靄重くなりし声音かな/大須賀乙字
筒鳥やまぎれこみたる黄泉の山/阿部娘子
筒鳥やひとの名彫られ一樹立つ/中島斌雄
筒鳥の呼ぶものを呼び石を積む/和知喜八
筒鳥のこゑの木深さ老うとまし/山口草堂
筒鳥やおもひにしづむ夕の樹々/村越化石
筒鳥や家裏の木々山へつながる/原田種茅
筒鳥の忘れしころを鳴きにけり/愛澤豊嗣
父が聴く筒鳥汝は何処で聴くぞ/福田蓼汀
筒鳥やぽぽぽぽぽんと一日果つ/嶋田麻紀
筒鳥ポポポポ馬の足跡森出づる/村越化石
筒鳥や旅の衣を透く朝の風/阿部みどり女
筒鳥の雨止むしじま縫うて鳴く/大間知山子
筒鳥やふふっと風の吹きかわり/北村美都子
働けよ働けよ筒鳥は耳に慣れて/平井久美子
筒鳥の来鳴くのみなる墓ひとつ/水原秋櫻子
筒鳥を幽かにすなる木のふかさ/水原秋櫻子
筒鳥なく泣かんばかりの裾野の火/加藤楸邨
筒鳥鳴けり腕を撫でつつ歩むとき/大野林火