「蛇」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「蛇」について
【表記】蛇
【読み方】へび
【ローマ字読み】hebi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・くちなわ(くちなわ:kuchinawa)
・ながむし(ながむし:nagamushi)
・青大将(あおだいしょう:aodaisho)
・山楝蛇(やまかがし:yamakagashi)
・縞蛇(しまへび:shimahebi)
・烏蛇(からすへび:karasuhebi)
・熇尾蛇(ひばかり:hibakari)
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季節による分類
・「へ」で始まる夏の季語
・「夏の動物」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
蛇を含む俳句例
蛇の尾や山坂ものゝ声ひそめ
麦秋や蛇と戦ふ寺の猫/鬼城
蛇落て驚く崕の若葉哉/維駒
山や箱根蛇骨乱て花卯木/黄吻
美しき蛇蔵に入る七七忌/原裕
寒鴉蛇籠の風に歩みをり/舟月
燕啼て夜蛇をうつ小家哉/蕪村
白露や草に小き錦蛇/野村泊月
真夏蛇猫烏眼が腥い/岡あきら
蛇ひそむ大地太陽娶る冬/原裕
泳ぎ来し蛇流木に顎托す/太田嗟
風纏ふ青大将の捨衣/長門美熙子
本迹の姿美しき蛇の僧/筑紫磐井
月光のどの石垣も蛇眠る/今井聖
蛇の血にみなかみや灸花/斎藤玄
蛇之助が恨みの鐘や花の暮/常矩
獣苑の錦蛇見る年の暮/右城暮石
夕顔や蛇の輪を組む蔓の下/淡々
頂上に蛇巻き冬の山乾く/飴山實
陽炎や砂に坐りて蛇籠あむ/篠原
俳句例:21句目~
八景の一つ晩鐘蛇とほる/上村占
金色の蛇の冬眠心足る/加藤楸邨
野馬のゆすり起こすや盲蛇/丈草
踏切に置かれて動く蛇袋/長田等
蟇蛇つちの子を守る会/桑原三郎
蛇さげて男通れり光堂/原田青児
蜩や川に沈めし青蛇籠/近藤一鴻
蛇出でて国東塔に神宿る/福島勲
蛇踏みし心いつまで青芒/原石鼎
蛇走り漣立ちし地面かな/上野泰
薬屋の蛇の日干の塊なす/小澤實
蛇神の祠はみ出し鏡餅/藤原孝子
墓参蛇見て女心かな/石島雉子郎
曙の蛇奪い去る蛸かいな/夏石番矢
蛇の見かへりもせぬはかま哉/杜口
蛇の皮ぬぎてかけたる桜かな/許六
朝顔や飼ひ鶯にかゝる蛇/久米正雄
蛇の渡るや沼の水ぬるむ/正岡子規
蛇の子の鱒に危き柳かな/会津八一
蛇の円かなる座や涅槃像/後藤夜半
俳句例:41句目~
蛇の一直線をなせる死よ/行方克巳
蛇のから荊棘足を傷る旅/子規句集
老猫の蛇とる不性ぶしょう哉/一茶
美童かな蛇振り廻す遊びして/林桂
蛇にほこ~土や夏の菊/島村元句集
禿山を転がる余剛力の蛇/夏石番矢
青侍執念き蛇の性見する/筑紫磐井
隠沼の尿意感じて進む蛇/江里昭彦
極月の蛇屋の壜の蛇覗く/高澤良一
蛇の唯々通り過ぐを待つ/高澤良一
はね釣瓶蛇の行へや杜若/内藤丈草
開帳や草の蛇うつ堂の前/松瀬青々
蛇と赤子の歩く天気かな/柿本多映
泳ぎ着く蛇の一途や向ふ岸/星野椿
樹の洞に蛇の入りゆく夏祓/甲子雄
舌白む朝よ青大将が過ぐ/柿本多映
茜雲散り水底の蛇の屍よ/松村蒼石
冬眠の蛇に滅びし社あり/有馬朗人
野馬のゆすり起すや盲蛇/内藤丈草
畦草に乗る蛇の重さかな/飯島晴子
俳句例:61句目~
凍空にネオンの蛇のつる~と/篠原
蛇すすむ音も加へて青嵐/今瀬剛一
青大将この日男と女かな/鳴戸奈菜
大花火床下の蛇跼むころ/赤尾兜子
天城越胸中を蛇通り過ぐ/河野南畦
北へ展く野面の光蛇の光/酒井弘司
海蛇の口の小さし星祭/大木あまり
蛇除の護符を柱に黴の宿/伊藤柏翠
蛇酒や守敏も空なしう春の雨/昌夏
叢に頭かくして蛇静か/向野由貴子
蛇を追ふ鱒のおもひや春の水/蕪村
蛇を截てワたる谷路の若葉哉/蕪村
青大将太平洋に垂れ下がり/大串章
急患の蝮蛇血清問ふ電話/松岡巨籟
すすむ胴水に密着させ蛇/高澤良一
悋気せむ青黛の蛇をとめ/筑紫磐井
蛇を滑り込ませて沼無風/高澤良一
啓蟄の蛇に丁々斧こだま/中村汀女
蛇袋棒のごときが動きをり/伊藤径
蛇や秋風寒く吹くまでを/尾崎迷堂
俳句例:81句目~
水中に逃げて蛙が蛇忘る/右城暮石
蛇の唯々通り過ぐを待つ/高澤良一
蛇臭く少年屯して五月/小松崎爽青
水渡りゆく蛇の日を返す/桑田青虎
蛇籠より蛇籠へ渡り灸花/高野素十
蛇の野は美しきかな躾糸/森川麗子
暁の鐘兄妹いまも蛇泳ぎ/柿本多映
蛇皮線と籠の枕とあるばかり/篠原
蛇多き山田の稲や刈らである/虚子
夏草に敗れし妻は人の蛇/攝津幸彦
積石に沈みし蛇や花胡瓜/中村若沙
黒黒と蛇が噤みて山つ方/和田悟朗
蓴池蛇の渡りて静かなり/高浜虚子
蛇逃げしあと溝萩の尻拭い/星野紗一
冬眠の蛇をおこして蛇遺ひ/有馬朗人
凍て空にネオンの蛇のつる~と/篠原
蛇首をあげて光に執着す/榎本冬一郎
撓ひ飛ぶ青大将を飼育せむ/三橋敏雄
蛙銜へて蛇叢を泳ぎ消えぬ/西山泊雲
袈裟がけに花魁草に蛇の皮/富安風生