「河鹿」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「河鹿」について
【表記】河鹿
【読み方】かじか
【ローマ字読み】kajika
子季語・関連季語・傍題・類語など
・河鹿蛙(かじかがえる:kajikagaeru)
・初河鹿(はつかじか:hatsukajika)
・夕河鹿(ゆうかじか:yukajika)
・河鹿笛(かじかぶえ:kajikabue)
・河鹿宿(かじかやど:kajikayado)
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季節による分類
・「か」で始まる夏の季語
・「夏の動物」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
河鹿を含む俳句例
夕河鹿閉門の音苔寺に/及川貞
鈴河鹿鳴く一枚の橋のうら/裕
眦を波にしづめし河鹿かな/青畝
澗声に河鹿は玉を転ばしむ/敦子
水音は二階に高き河鹿かな/英治
河鹿鳴く宿の鏡に代りあひ/汀女
牡丹に未開の真紅かじか領/原裕
石佛の菅尾の里の河鹿笛/尾石ゑい
うつくしき女主の河鹿宿/京極杞陽
初河鹿遠きはまぎる瀬の音と/湘子
清滝の瀬音まじりに初河鹿/杉良介
河鹿笛競ひて花まつり前夜/樋笠文
昼河鹿働く日々の力抜く/旗川青陽
杣人の祈りの長し夕河鹿/影島智子
古鏡磨き込まれし河鹿宿/渡辺恭子
夕河鹿一人の旅は独り酌む/瀧春一
河鹿鳴き星も俄かに躍り出づ/あや
河鹿聴くわれ一塊の岩となり/蓼汀
河鹿笛田植の雨が重くなり/中拓夫
鳴きとよむ水の暗さの恋河鹿/原裕
俳句例:21句目~
貴船路は雨もあをしや初河鹿/たつ
河鹿湧く夕杉山のほとぼりに/岸田稚
七ヶ宿の三つ経て関の夕河鹿/岸田稚
水石に激する処河鹿鳴く/野田別天楼
河鹿渓木橋がつなぐ行者/つじ加代子
河鹿笛白日を水急ぎつつ/猪俣千代子
向ひ宿の人にこゑかけ夕河鹿/岸田稚
淵の名を盥と呼べり初河鹿/西本一都
境涯は語るべくあり河鹿宿/井上哲王
仮の世と思ふ河鹿の声の中/村沢夏風
旅衾温もれば想ふ河鹿の音/林原耒井
白袖振つて巡りゆく川夕河鹿/草田男
河鹿きく我衣手の露しめり/杉田久女
夕河鹿女ひとりの宿乞ふも/大橋敦子
夕河鹿百のランプを配り初む/青邨/
洛中へ水の過ぎゆく夕河鹿/加藤耕子
水音の五線音譜に乗る河鹿/稲畑汀子
河鹿鳴く炭焼小屋の夜明哉/寺田寅彦
河鹿鳴く水打つて風消えにけり/亜浪
河鹿鳴く方へ径の辿らるる/清崎敏郎
俳句例:41句目~
河鹿聞く夕宇治橋に水匂ひ/皆吉爽雨
河鹿鳴く夕宇治橋に水匂ふ/皆吉爽雨
瀬の音と全く離れ河鹿更け/高濱年尾
河鹿聴く我一塊の岩となり/福田蓼汀
湯宿皆夕影ひきぬ河鹿鳴く/高浜虚子
朝河鹿孤つ鵜が風迎へをり/佐野良太
鳴く河鹿膳の縁まで川の闇/岡田日郎
屏風岩河鹿が鳴けば谺する/塚田正子
鳴き出でし滝の中なる河鹿かな/花蓑
杉山に杉の風彦河鹿鳴く/鈴木蚊都夫
歌劇場川向ふなり河鹿啼く/滝井孝作
河鹿の音光の糸を伝ひくる/石原八束
錦川うつせる花に早河鹿/鈴鹿野風呂
水牢のあたり曲れる河鹿川/小島左京
野外劇待つ何処より河鹿笛/村上絢子
一椀の茶粥や近く河鹿の瀬/石川桂郎
茶摘あと麦刈までの夜の河鹿/中拓夫
肌にくる湯脈水脈夕河鹿/中戸川朝人
旅人に枕がかたし河鹿鳴く/原子公平
河鹿笛吹きつつ童瀬に立てる/田村了咲
俳句例:61句目~
河鹿笛村は小さきほどよかり/齋藤美規
おんそはか河童明神夕河鹿/八木林之介
河鹿聞くとて宿の灯を細うせり/上野燎
河鹿聴く落人に似し停年後/小川原嘘師
河鹿鳴いて石ころ多き小川哉/正岡子規
河鹿鳴き水いそぎつつ平らなり/秋櫻子
河鹿鳴く川原が見えて一軒宿/高澤良一
ねむたくて河鹿か石か白千曲/和知喜八
ふと鳴いて河鹿千曲の水送る/野澤節子
河鹿鳴く己れの態の石に居て/大口蘇峰
浴衣より白き胸もち河鹿聴く/近藤一鴻
渓音にまぎれず月の河鹿かな/有泉七種
湯宿みな夕影ひきぬ河鹿鳴く/高浜虚子
珈琲店河鹿鳴く瀬の風入れて/手島靖一
窯出しの壺の渋みや河鹿鳴く/小熊秀子
笠を手にいそぐ夕や河鹿鳴く/正岡子規
世を一寸離れ河鹿を聞いてをり/佐藤艸
人麿も妻恋ひ聞きし河鹿ゆゑ/井上哲王
吊橋や河鹿澄む岩平たく見ゆ/原田種茅
花の夜の星空河鹿啼きそめぬ/渡邊水巴
俳句例:81句目~
袋田の吊橋ゆるゝ初河鹿/中溝/八重子
夕暮の河鹿にそゞろ歩すも旅/高木晴子
遅き月蕗にさしゐる河鹿かな/加藤楸邨
夕河鹿訪ふたび淡き父母の国/江口千樹
闇の底すずやかに揺れ河鹿笛/関森勝夫
雨の間の河鹿の誘ふ寝酒かな/石川桂郎
露天湯に星の近づく河鹿笛/岩谷天津子
夜更けて河鹿鳴き出す長良川/磯野充伯
大巌にぼやと月さす河鹿かな/中島月笠
鬼無里村河鹿謡へり鬼女紅葉/高澤良一
高千穂の村人無口かじか鳴く/遠藤春塔
山の湯が利いて快眠かじか宿/高澤良一
山風や河鹿の聲の水放れ/安斎櫻カイ子
崩れたる水車の跡や河鹿鳴く/寺田寅彦
昼ながら杉に月ある河鹿かな/芝不器男
昼河鹿ささやくほどの声流し/今本まり
水透きて河鹿のこゑの筋も見ゆ/五千石
水際まで山落ちてゐる河鹿笛/矢島渚男
河鹿の音月あるときは中空に/松村蒼石
河鹿寒し障子の内の君が膝/大谷碧雲居