「薪能」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「薪能」について
【表記】薪能
【読み方】たきぎのう
【ローマ字読み】takigino
子季語・関連季語・傍題・類語など
・薪猿楽(たきぎさるがく:takigisarugaku)
・芝能(しばのう:shibano)
・若宮能(わかみやのう:wakamiyano)
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季節による分類
・「た」で始まる夏の季語
・「夏の行事」を表す季語
・「初夏」に分類される季語
月ごとの分類
薪能を含む俳句例
薪能僧の提灯東大寺/岡本松浜
泥眼や瞋恚の炎薪能/川崎展宏
摺足に齢を見せず薪能/東尾子
薪能篝しづめの藁箒/山田弘子
紅梅を瞼の花に薪能/平畑静塔
狩衣の露けき袂薪能/武川明子
夜風また炎立たせて薪能/浅賀木
草叢の猫も顔あげ薪能/星野一夫
鬼の面とれば童顔薪能/塩川雄三
大楡の闇に風立つ薪能/深谷雄大
若草の夜を見よとや薪能/鳥/巣
闇に凝る瞳の数や薪能/田中拾夢
小面テに夕日退く薪能/山田弘子
はたはたと面動きぬ薪能/森澄雄
遠雷を囃子方とし薪能/大池長人
遠雷の大和三山薪能/八木三日女
薪能遠き篝に夜風立ち/角田独峰
薪能篝に近く篝見ず/竹中碧水史
情念に今昔はなし薪能/川口咲子
八日月星一つ伴れ薪能/吉野義子
俳句例:21句目~
対岸の秋燈を入れ薪能/関森勝夫
薪能篝なだめの役ありて/有働亨
南円堂漆黒に浮き薪能/橋川敏孝
薪能小面映る片明り/河東碧梧桐
狂言師素顔を曝す薪能/右城暮石
月かくす雲の遊びぬ薪能/岸田稚
松に倚る旅人我や薪能/藤松遊子
うつし世へ戻る一笛薪能/長谷川翠
薪能鉄の篝も火となれり/品川鈴子
薪能飲食の場を簀で囲ふ/小山都址
これは見ゆる夜の錦や薪能/西/鶴
鉦たたき光に翳に薪能/加藤知世子
すだく虫一鼓に制す薪能/荒井正隆
松籟をさそふ笛の音薪能/吉田節子
闇を裂く笛の高音や薪能/遠藤芳郎
面ン暗く篝おとろへ薪能/橋本鶏二
死を嘆く小刻みの動薪能/茨木和生
一笛の堰を切つたる薪能/西川織子
火蛾狂ひ薪能いま動の時/内藤悦子
人垣のうしろの闇や薪能/菊山九園
俳句例:41句目~
入相の鐘なほ暮れず薪能/稲畑汀子
篝火に闇ちぎれとぶ薪能/矢野聖峰
篝火のよき座よき席薪能/山口誓子
古びたる鬼の面なり薪能/高浜虚子
古都の闇打つ小鼓や薪能/山下佳子
羽衣の吹かれ立ちつつ薪能/坂井建
脇僧の寒げに暗し薪能/河東碧梧桐
舞ふ我に新樹の風や薪能/金井綺羅
薪能めらめら古き闇燃ゆる/大串章
夕づきし竹生島浮く薪能/西澤耕山
薪能入日の中に焔燃ゆ/橋本多佳子
薪能大和の空は星満ちて/田代遊子
大山祇の放つ金の蛾薪能/野沢節子
室町の闇を闇呼ぶ薪能/長谷川史郊
冷まじき面や足袋や薪能/石川桂郎
薪能尼一列に通りけり/山田ひろむ
影法師ひしめく塔や薪能/栗田喬村
薪能待つ間の闇の虫時雨/村上辰良
薪能殿の子雀寝そびれて/山田孝子
薪能薪の火の粉上に昇る/西東三鬼
俳句例:61句目~
提灯で奈良坂越えぬ薪能/土方花酔
薪能観世に嫁せし人侍り/山田弘子
咽喉笛を女面の下に薪能/橋本多佳子
薪能闇に火守の控えをり/池田ちや子
薪能たきぎ足すこと怠らず/大竹欣哉
薪能鬼女に月光憑きにけり/松本圭二
なほ一歩寂とすすまず薪能/山田耕子
一歩出て千里ゆきけり薪能/西川織子
一笛に蝉鳴きをさむ薪能/石倉美津子
亡き魂を呼ぶ薪能雨を呼ぶ/稲畑汀子
冷まじや幽霊の哭く薪能/関口ふさの
出で入りの矢来の月や薪能/橋本鶏二
是はみゆるよるの錦や薪能/井原西鶴
唐衣小雨に濡るる薪能/佐土井智津子
薪能鬼女の金欄火に染まる/品川鈴子
夏鴉かわかわと鳴く薪能/大川ひろし
夕風の立ち来し火の粉薪能/稲畑汀子
衆徒の先ずもの申しけり薪能/稲岡長
観る人の闇に沈みぬ薪能/梅田実三郎
水やりて鎮めし火勢薪能/尾亀清四郎
俳句例:81句目~
死者生者一つ闇へと薪能/高橋さだ子
怨霊の風のつのりし薪能/高橋ツトミ
闇ひたと矢来をつつみ薪能/鶴嶋博子
暗きより出でし貴人や薪能/石井露月
暮れおちし塔こそ迫り薪能/浦野芳南
薪能ふるさと深き闇を持ち/生田政春
業平をうつつにすなる薪能/千原草之
横笛のこゑの尾赭し薪能/ほんだゆき
薪能まで松にほふ夜道かな/藤田湘子
笛方の灯に遠き座や薪能/福井まつえ
音のなき間の爽かに薪能/加藤知世子
歩を移す梅のうしろや薪能/松瀬青々
白髪のときに炎のいろ薪能/児玉輝代
紀の沖の霧流れくる薪能/綿谷ただ志
笛方のかくれ貌なり薪能/河東碧梧桐
薪能太鼓早打ちして鬼女に/吉田紫乃
火取虫額打つことも薪能/八木三日女
薪能少う舞うていたりけり/和田悟朗
笛吹けば闇の寄りくる薪能/石原八束
鹿の眼にやどる篝火薪能/大岳水一路