「髪洗う」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「髪洗う」について
【表記】髪洗う
【読み方】かみあらう
【ローマ字読み】kamiarau
子季語・関連季語・傍題・類語など
・洗い髪(あらいがみ:araigami)
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季節による分類
・「か」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
髪洗うを含む俳句例
樽神輿髪洗橋渡り行く/龍雨
夜も流る雲の分身髪洗ふ/原和子
手術後の初の入浴髪洗ふ/新純子
明朝に切る髪洗ふ丹念に/遊/菜
髪洗ふ夫が何か割りし音/南/水
月光に青むまで髪洗ひをり/加藤紅
寝たきりの母の短き髪洗ふ/林照江
浮世絵の女は長き髪洗ふ/松尾静子
海中のと遊びし髪洗ふ/山上カヨ子
獣臭き満月赫し髪洗ふ/長谷川久枝
山荘は富士の水なり髪洗ふ/星野椿
畑手入れ一段落と髪洗ふ/須川峡生
病床の黒髪断ちて髪洗ふ/庄野禧恵
黒潮の人にもなり髪洗う/中村竹子
髪洗ふ女の乳房機嫌よく/石原八束
髪洗ふ沼の乙女や菱の花/片岡奈王
髪洗ふ落著く迄の二三日/稲畑汀子
鏡と話しながら美容師髪洗ふ/荘水龍
五十なほ待つ心あり髪洗ふ/大石悦子
誰が為の命ぞひとり髪洗ふ/福田蓼汀
俳句例:21句目~
泳ぎし髪洗ふ遠杉も日焼いろ/中拓夫
旅の髪洗ふ卯の花腐しかな/小林康治
さつぱりと月の晦日や髪あらひ/智月
髪洗ふうしろの山河力抜き/増子京子
裏切を聞きたる耳を髪洗ふ/林みち子
地球儀の裏側に来て髪洗ふ/佐川広治
葬果てぬばたまの闇髪洗ふ/松村多美
髪洗ふ母には嘘がつき易く/齋藤朗笛
髪洗ふ五月の風の井のほとり/及川貞
髪洗ひみな善人の顔になる/小沢元子
川に俯向きて丈なす髪洗ふ/品川鈴子
髪洗ふ少女や射程距離内に/宮武寒々
涙することはまだ先髪洗ふ/小池和子
髪洗ふ眼つむれば夜のごと/浦野芳南
七曜の一曜きめて髪洗ふ/鈴木真砂女
髪洗ふ遂に子のなき固乳房/品川鈴子
髪洗ふ長崎の忌の水つかひ/朝倉和江
髪洗ふ長崎の忌の水へらし/朝倉和江
手探りで蛇口をひねり髪洗ふ/榎本城生
髪洗ふこの無防備といふ快楽/小原紀代
俳句例:41句目~
ぬばたまのくろ髪洗ふ星祭/高橋淡路女
髪洗ふいま宙返りする途中/恩田侑布子
被爆忌のいのち素直に髪洗ふ/中尾杏子
明日嫁ぐ子の歌ひつつ髪洗ふ/関口美子
ねんごろに恋のいのちの髪洗ふ/上村占
玻璃越しに髪洗ふ妻乙女さび/高橋六一
ひとり居の風強き夜の髪洗ふ/西川照子
まだ云うてなき里帰り髪洗ふ/野島時子
髪洗ひたる日の妻のよそ~し/高野素十
汗の髪洗ふ頭蓋も痩せにけり/相馬遷子
腰張つて大つごもりの髪洗ふ/菖蒲あや
髪洗ふさみしき音と思ひつつ/児玉輝代
髪洗ふもうむづかしく考へず/尾熊靖子
髪洗ふもつれもつれて血の縁/三田恭子
ミサイルの射程の裡の髪洗う/出口善子
髪洗うまでの優柔不断かな/宇多喜代子
髪洗ふ夜の羅馬びと歌ひ過ぎ/小池文子
半夏生所在なければ髪洗ふ/岩鼻十三女
喜びにつけ憂きにつけ髪洗ふ/高浜虚子
髪洗ふ女体限界まで曲げて/竹中碧水史
俳句例:61句目~
目をつむる顔横向けて髪洗ふ/高野素十
髪洗ふ手術を明日の胸しづめ/朝倉和江
髪洗ふ排水口にもある不気嫌/吉野昭子
髪洗ふ月下のいまは雫の木/小檜山繁子
天の川こころ乾けば髪洗ひ/鈴木真砂女
髪洗うたび流されていく純情/対馬康子
夕焼の濃きなか戻り髪洗ふ/宮川みね子
除夜の鐘聞きつつ長き髪洗ふ/中村節代
髪洗ふ身の逆しまに銀河系/横山美代子
忘れたきこと忘れずに髪洗ふ/福川悠子
ひとしきり舞に熱びし髪洗ふ/吉川与音
手応への軽くなりたる髪洗ふ/中牧/修
髪洗ふ隙間だらけの背を曝し/村上悦子
髪洗ふ頭を垂直に阿波の国/岩淵喜代子
小瀬の湯の熱きに乙女髪洗ふ/足立喜世子
忘れたき夢きしきしと髪洗ふ/池田あや美
明日といふ言葉は楽し髪洗ふ/鷲巣ふじ子
看護婦の一と日の疲れ髪洗ふ/水無瀬白風
灯の尽くるかなたは砂漠髪洗ふ/小池文子
癒えし手の吾が十指もて髪洗ふ/室田和月
俳句例:81句目~
髪洗ふボトル二つやさてどちら/高澤良一
約束を反故にせし日の髪洗ふ/片山由美子
髪洗うあとは無色になりたくて/平田亜希
髪洗う敵のちかづく音楽して/鈴木六林男
髪洗ひ今日の愁ひは今日捨てん/山田弘子
髪洗ふこころのどこか人に倚る/石原八束
髪洗ふことより病ひ断ちしかな/佐藤佳津
あきらめといふ清しさに髪洗ふ/山田弘子
うつむくは堪へる姿ぞ髪洗ふ/橋本多佳子
もう妻と呼ばれる日なし髪洗う/田中京子
嫁すごとく受洗の明日へ髪洗ふ/黒坂綾子
喪ごころの切につのりし髪洗ふ/川名律子
髪洗ふ痩肘張りて見栄もなく/鈴木真砂女
髪洗ふ湯の沸きすぎし時雨かな/鈴木真砂女
髪洗ふや身の透くほどの恋しらず/武田玄女
やまひ快く世によごれたる髪洗ふ/玉木愛子
裾野まで富士を見て来し髪洗ふ/金久美智子
多佳子忌の夜に入りて髪洗ひけり/水口楠子
雲に近き天守で吹かれし髪洗ふ/平井さち子
ひとたびは失せし被爆の髪洗ふ/秋月すが子