「麦笛」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「麦笛」について
【表記】麦笛
【読み方】むぎぶえ
【ローマ字読み】mugibue
子季語・関連季語・傍題・類語など
・麦藁笛(むぎわらぶえ:mugiwarabue)
・麦稈笛(むぎわらぶえ:mugiwarabue_)
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季節による分類
・「む」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「初夏」に分類される季語
月ごとの分類
麦笛を含む俳句例
麦笛や少年と父父が吹く/森澄雄
夕明り麦笛既に朧めき/河合凱夫
麦笛の近江は昏き水の中/柿本多映
麦笛を吹く子に雲の美しき/原石鼎
麦笛の吃音昼の父得し子/神田斐文
里の子の麦藁笛や青葉山/椎本才麿
一管の麦笛光る真昼の野/有馬朗人
麦笛や少年の日の思はるゝ/上村占
麦笛や作家志望の村教師/福田清人
麦笛やかく開拓の子も育ち/米谷孝
白磧より草笛か麦笛か/神尾久美子
麦笛を捨て工場の塀黒し/萩原麦草
裏切って麦笛を吹く弟は/坪内稔典
うらさびし麦笛ふかん山の畑/中勘助
麦笛や傷痕友の頬に消えず/原田種茅
麦笛や四十の恋の合図吹く/高濱虚子
麦笛や夫にもありし少年期/西村和子
高音吹いて麦笛青し美少年/日野草城
例幣使街道麦笛も横切らず/平畑静塔
初恋のひとの麦笛聞きし頃/石川文子
俳句例:21句目~
鳴らずなり麦笛の管甘きかな/中拓夫
麦笛や少年ひとり赤毛なる/鈴木栄子
麦笛や日を載せをどる遠瀬波/金子潮
麦笛や藤村詩集誦みし日も/福田清人
麦笛を馬柵に凭れて吹きにけり/篠原
息継ぎて音の寂しき麦笛や/内藤吐天
文弱の舌つ足らずを麦笛に/大石悦子
麦笛に畠の中より上げし貌/原田種茅
牧童は麦笛よくし夢もてり/河野南畦
麦笛に黄昏れてゆく岬かな/中村白楊
麦笛を吹くや拙き父として/福永耕二
父と吹く麦笛のまだ曲なさず/増田富子
ふりむけばただ麦笛の出生地/対馬康子
麦笛の鳴らぬは引率教師らし/上木彙葉
女生徒の麦笛そろふ牧の道/三谷喜与史
麦笛や未来より吹く風ありぬ/嶋田麻紀
麦笛や基地の紅燈はやともる/澤田緑生
麦笛や嘆きの息が音に出でて/大石悦子
麦笛はかなし一生過ぎやすく/道菅三峡
麦笛や迎ひに来る姉のあと/五十嵐播水
俳句例:41句目~
麦笛に麦笛答へゐたりけり/国松ゆたか
麦笛に暗がりの麦伸びにけり/山根立鳥
麦笛や畑のどこかに母がゐて/芝山喜久子
吹き習ふ麦笛の音はおもしろや/杉田久女
郷愁もなく麦笛をきいている/吉岡禅寺洞
雲は眼に溢れ麦笛の口しびれ/千代田葛彦
麦笛の吃々として鳴りそむる/新津香芽代
麦笛につきくる牛のおとなしき/吉松木長
夫と吹く麦笛とちりとちりては/満田玲子
麦笛に吹くこの国の恋のうた/山内年日子
麦笛やおのが吹きつゝ遠音とも/皆吉爽雨
麦笛の真昼きこえて地をする燕/内藤吐天
上半身陽のいろに麦笛を吹く/櫛原希伊子
友だちのなき麦笛を鳴らしけり/富安風生
麦笛や雲のふところ何棲める/鷲谷七菜子
麦笛を吹きつつ思ひはろかなる/福田蓼汀
麦笛を吹くや中年うべなひつ/藤原たかを
麦笛を吹く子が居りぬ麦の中/高橋淡路女
太郎には鳴らぬ麦笛鳴らしけり/野中亮介
麦笛を吹けど竹馬の友のゐず/遠藤若狭男
俳句例:61句目~
麦笛を吹けばむかしの空の青/菊池ふじ子
麦笛のしらべむかしの夢かへり/石塚友二
麦笛やあかがねいろに甲斐の空/青木重行
麦笛を鳴らして見せて渡しけり/岡本樹子
麦笛にをさなき息のかぎりあり/米沢吾亦紅
麦笛をさびしきときは海へ吹く/小川双々子
麦笛のなかなか合はぬたのしさよ/相馬黄枝
麦笛の吹けばよく鳴るさびしさよ/中村汀女
麦笛の吹きやう忘れてはをらぬ/猿橋統流子
麦笛や呼び捨ての名のあまた減り/鷹羽狩行
腹いせに吹く麦笛も鳴るには鳴る/島津城子
麦笛のそれたる径とおもほゆる/軽部烏帽子
麦笛を吹けぬ子ずつとついてくる/田中裕明
麦笛やふいて見による獅子がしら/伊賀-日
麦笛の鳴りたる日より大人びて/高橋たか子
わが鳴らす麦笛ぴぴと手にこたへ/中村汀女
麦笛にかゞやく路のあるばかり/軽部烏頭子
麦笛のとぎれとぎれや泣きをるらし/下村梅子
子のくれし麦笛つひに鳴らざりし/川村たか女
麦笛のするどくて愁ひふくむなり/柴田白葉女
俳句例:81句目~
せがまれて吹く麦笛の鳴らざりし/佐藤由比古
麦笛や三十路の齢といふもひととき/福田蓼汀
麦笛や師の山見えてゐてはろけし/小松崎爽青
能の面のような少女の顔麦笛吹いて/吉岡禅寺洞
麦笛吹いている少女の恋の日が遠い/吉岡禅寺洞