「草矢」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「草矢」について
【表記】草矢
【読み方】くさや
【ローマ字読み】kusaya
子季語・関連季語・傍題・類語など
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季節による分類
・「く」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
草矢を含む俳句例
必殺の恋の草矢を放ちけり/小島健
草矢打つ超明朗な家出人/熊谷愛子
磧通つて帰る草矢の子/神尾久美子
恋地獄草矢で胸を狙い打ち/寺山修司
少年の己れの影に草矢打つ/下山宏子
老年の空遠くなほ草矢射る/城谷登美
草矢打つ長良川岸灯るまで/加藤耕子
少年の草矢少女にとどかざり/栗田直美
草矢放つ十万億土のちちははに/林美江
草矢飛べ淡き夕の道の児に/阿波野青畝
愛憎のいづれたてつづけに草矢/長田等
友の名を呼ぶより早き草矢かな/林克己
日輪を串刺しにせし草矢かな/櫂未知子
吾狙ふ草矢のどれも届かざる/北前波塔
草矢うつ正倉院の巡査かな/鳥居ひろし
草矢放たん津軽の空は青鋼/磯貝碧蹄館
四稜郭草矢をとばし偲びけり/西本一都
草矢射る遊び心の白羽の矢/片野十四子
大空に草矢はなちて戀もなし/高濱虚子
草矢打つ身を削られし武甲山/川崎展宏
俳句例:21句目~
夫も孫も七月生れ草矢射る/伊藤いと子
ひとり来て草矢放てり師の墓辺/池上樵人
木洩日の隙間を飛んできし草矢/山田弘子
いつも彼の草矢の的にされしこと/森茉明
汝が胸に草矢の楔うち込みし/成瀬櫻桃子
母をうちまくる草矢の尽きるまで/長田等
草矢射て空の碧さを拡げしのみ/千賀静子
夕かげを曳く草矢なり帰らなん/高濱年尾
兄弟揃ひ天地の果てへ草矢打つ/脇本星浪
草矢射て沖の帆遠くしたりけり/原田青児
をなご来て草矢の射程距離内に/内山静尚
草矢射し空をうかべて水流る/千代田葛彦
大空は微笑みてあり草矢放つ/波多野爽波
草矢うつ天城越えなる湯の谷へ/皆吉爽雨
草矢にも倦きて走りて去りにけり/上野泰
背を向けし間に草矢打たれけり/高倉和子
先の矢と重なり浮きし草矢かな/功力竹馬
全身を発条とし草矢放ちけり/三木多美子
爽雨忌の干潟へ草矢放ばしけり/増成栗人
ふるさとの草矢放たん的はなし/柴田陽子
俳句例:41句目~
的遠きこと競ひ合ひ草矢打つ/片山由美子
放ちたる草矢に空の深さかな/有働木母寺
草矢落つむかしの時空に入り得ず/稲岡長
草薙の日のまほろばの草矢かな/加藤郁乎
青が尾を曳きて草矢の虚空かな/千原叡子
云ひたきを抑へ草矢を放ちけり/石股つや子
あをあをと草矢は空にかくれけり/細川加賀
凝りし雲草矢放てば降り出さん/中戸川朝人
吾妹追ふ草矢のいつか手より失せ/伊藤白潮
呼びに来し姉に草矢を射て逃ぐる/平田夏丈
草矢もて彼の世の誰にあてやうか/関戸靖子
草矢よく飛びたり水に突きさゝる/右城暮石
気になる人はづし草矢を射る少女/平井/葵
水辺の子橋の子草矢打ち合いぬ/加藤三七子
草矢打つ子等ゐて流れ矢を受くる/鷹羽狩行
放ちたる草矢月日の還らざる/佐々田まもる
いたづらに塩田空碧し草矢うつ/佐野まもる
泣きやんで草矢を高く飛ばしけり/鈴木油山
なかぞらに逝かぬ日輪草矢射る/鷲谷七菜子
海風にのせて草矢をうちつゞく/佐野まもる
俳句例:61句目~
草矢高くこころに海を恋ひにけり/木下夕爾
ひとすぢの草矢は石に当たりけり/木内/徹
不器用に生きて草矢のよく飛べる/山本静桜
風に乗り草矢が思ふところに落つ/右城暮石
草矢打ち込みすべなし空は無定の紺/川口重美
草矢たかくこゝろに海を恋ひにけり/木下夕爾
草矢とび智恵子の空のありにけり/北見さとる
どうしても飛ばぬ草矢をあきらめず/稲畑汀子
人の子の父となりゐて草矢飛ばす/山口波津女
悔しまぎれの草矢よく飛ぶ敗北なり/原子公平
征矢ならで草矢ささりし国家かな/小川双々子
ケーブルを降りしところに草矢の子/神尾季羊
ふりむかぬ少女に草矢飛ばしけり/三浦青芝子
足もとに草矢の落ちしつまらなや/嶋田摩耶子
ねらはれて真顔となりし草矢かな/片山由美子
嘘をつくや草矢につゞくあづまはや/加藤郁乎
草矢ヒューヒュー刺す夢のモトクロス/菊川貞夫
日を射よと草矢もつ子をそそのかす/橋本多佳子
試歩たのし草矢してまた草矢して/山崎/喜八郎
麥笛に草矢を飛ばそ/子を盗も/うしみつまでも水に追はれて/筑紫磐井