「水中花」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「水中花」について
【表記】水中花
【読み方】すいちゅうか
【ローマ字読み】suichuka
子季語・関連季語・傍題・類語など
・酒中花(しゅちゅうか:shuchuka)
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季節による分類
・「す」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
水中花を含む俳句例
青樓の九點下り水中花/筑紫磐井
子心は親心なり水中花/鈴木花蓑
附添の退屈もしぬ水中花/中村汀女
水中花けふ一日の水を足す/神蔵器
水中花妻の妹の子を膝に/鈴木花蓑
水中花女人の館時に倦む/中村明子
水中花開きし花の天地人/品川鈴子
病人に一人の時間水中花/稲畑汀子
生涯に看とり幾たび水中花/及川貞
灯せば水中花にも夜の影/西村和子
水中花何か失ひつつひらく/森重昭
水中花母へ余命の彩放つ/中山華泉
邯鄲の夢はじまりし水中花/橋田憲明
蛇を抜いて標本瓶に水中花/大屋達治
水中花蝕まれゐる一葉なし/鈴木貞雄
一灯に虚色ふかまる水中花/成田昭男
水中花忘じ難きも忘じけり/鈴木栄子
水中花萍よりもあはれなり/渡辺水巴
水中花悦びありて刻知らず/成田千空
口癖に安楽死言ふ水中花/平本くらら
俳句例:21句目~
古井戸に筋肉質の水中花/岸本マチ子
病気見舞の水中花包まする/石川桂郎
唇にカンパリソーダ水中花/仙田洋子
水中花開くは古き夢に似て/橋本炭水
囲はれの恋の絵島か水中花/渡辺恭子
地震つづく夜も泡懐く水中花/星水彦
水中花ひらく激しき死別感/辻田克巳
水中花ひらく胸襟ひらくごと/樋笠文
男手の針あやふしや水中花/石川桂郎
水中花置き病室の翳ふやす/織田玲子
水中花培ふごとく水を替ふ/石田波郷
父と子の医学距たる水中花/吉澤卯一
水中花銀の泡つけ夜深き燈/内藤吐天
水中花水との腐れ縁長し/大木あまり
水中花にも労りの水替ふる/厚海浮城
溜息のような泡生み水中花/名取節子
定年へ蚕食の日日水中花/文挟夫佐恵
水中花亭午の水に開きけり/後藤夜半
徒然のものの試しに水中花/高澤良一
水中花身一つ宥め宥め生く/中村苑子
俳句例:41句目~
水中花開く一瞬こそいのち/藤陵紫泡
旅きめてなごむ心や水中花/影島智子
水中花八方美人なり難し/神澤久美子
ゆっくりと涙が耳へ水中花/対馬康子
母の忌や姉より届く水中花/渡辺恭子
水中花昨日と同じ泡抱いて/樹生和子
あざむいて友と別れる水中花/坪内稔典
雨脚のはげしくなりし水中花/菅原鬨也
風知らず青空知らず水中花/木村日出子
はつ露や酒中花の葉の八枚ぞ/小池文子
ひとつ咲く酒中花はわが恋椿/石田波郷
たそがれは光陰にじむ水中花/森沢一行
酒中花に上方文化江戸文化/成瀬正とし
酒中花も百の椿もしぐれけり/福永耕二
よよと泣く人を羨しみ水中花/大石悦子
一日の水のおとろへ水中花/伊藤トキノ
人の死の一部始終を水中花/片山由美子
作りたる色のかなしき水中花/大橋敦子
入れ直しみても傾く水中花/朝鍋住江女
埃浮き飽きられにけり水中花/下村梅子
俳句例:61句目~
夏場所の通りとなりぬ水中花/松山足羽
夫いまも入院ぐらし水中花/石田あき子
子が二人居れば水中花も二つ/上野章子
帰港まづ水替へて夜の水中花/工藤義夫
想ひけり水芸太夫水中花/長谷川かな女
明治は存し大正は夢水中花/百合山羽公
月さすや沈みてありし水中花/前田普羅
水といふもの美しや水中花/深川正一郎
水中花すぐゐ眠をする子かな/鈴木花蓑
水中花たちまち雲の光りくる/桜井博道
水中花ねぢられしまま漂へる/仙田洋子
水中花ひらく水中あますなく/井沢正江
水中花夜は紅色の濃かりけり/棚山波朗
水中花夜空すみずみまで夜空/吉田輝二
水中花女無慚に老いにけり/文挟夫佐恵
水中花港まつりの灯に買へり/伊藤京子
水中花怒りてみても独りなり/白川京子
水中花投げ入れられて槽に波/進藤一考
水中花明日あるために美しく/岸風三樓
水中花水が疲れてゐたりけり/黛まどか
俳句例:81句目~
水中花水の余白をのこしけり/那須淳男
水中花水より指を手にもどす/古舘曹人
水中花病室の椅子足らざる日/朝倉和江
水中花置き鏡台のくもりなく/片岡我当
水中花老婆はいろの外にあり/長谷川双
水中花花に遅速のなかりけり/小島左京
水中花菊も牡丹も同じ色/長谷川かな女
水中花詠へりし子が離婚さる/下村槐太
水中花調度の多き主婦の部屋/杉原竹女
水替へて清しきものに水中花/今泉貞鳳
水没やうれしはづかし水中花/櫂未知子
泡一つ抱いてはなさぬ水中花/富安風生
話題なき客に倦みをり水中花/黒木野雨
透きとほるまで水そそぐ水中花/長田等
部屋貸して生計覗かる水中花/毛塚静枝
難聴の眼をさとくをり水中花/朝倉和江
水中花刻のうつろひなかりけり/山田弘子
開き切るまでのときめき水中花/横原律子
開くとき息ひとつ吐く水中花/矢嶋あきら
水中花愛冷ゆるときひらくべし/仙田洋子