「浮人形」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「浮人形」について
【表記】浮人形
【読み方】うきにんぎょう
【ローマ字読み】ukiningyo
子季語・関連季語・傍題・類語など
・浮いて来い(ういてこい:uitekoi)
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季節による分類
・「う」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
浮人形を含む俳句例
大空は虚しと眺む浮人形/如月真菜
置替へる盥の浪や浮人形/増田龍雨
水すこし腹に残れり浮人形/辻桃子
助けたるごとく浮人形抱く/茨木和生
夢の中浮人形となりにけり/星野立子
日暦に明日あるなり浮人形/木内彰志
桶揺つて水賑かや浮人形/大橋櫻坡子
水面にぶつかり浮む浮人形/星野立子
浮人形に雨強く来し盥かな/富安風生
浮人形沈めて近江言葉かな/関戸靖子
浮いて来い盥の水は母が足す/岩崎洋子
われに似し浮人形の夕ごころ/大野梢子
盥より出され砂場の浮人形/榎田きよ子
水底にまがり立ちをり浮人形/星野立子
江戸ッ子の九代目継がず浮人形/福島勲
文芸に近道はなし浮いてこい/鈴木栄子
寺の子の大きな盥浮いて来い/甲斐遊糸
浮人形侍らせて子の口達者/藤原かつ代
浮人形動かずなりぬ桶のふち/田中紫紅
夭折の母の一生浮いて来い/小野口正江
俳句例:21句目~
浮人形思はぬ方に浮かびけり/川村紫陽
浮人形母が知らざる一事あり/鈴木栄子
論ずるに千年早い浮いて来い/高澤晶子
放心のかたちに置かれ浮人形/小泉八重子
浮人形なに物の怪の憑くらむか/巌谷小波
浮人形売って男の暮らしかな/小林たか子
浮人形畳に置けばさみしけれ/大橋櫻坡子
浮人形真夜のしじまに立上る/加賀美子麓
浮人形見てゐて妻とはぐれけり/永澤/謙
浮いて来いいま浅草の空蒼し/今井杏太郎
風呂嫌ひ幾つも持ちて浮人形/斉藤たま江
夫の声子の声同じ浮いてこい/紅露ゆき子
恬然として乱れまじ浮いて来い/富田潮児
片肺のこたび片腎浮いてこい/中戸川朝人
戻るなり漁夫が浮人形つかむ/吉本伊智朗
遠囃子雨に聞えて浮いて来い/町田しげき
へたばらずさあ浮いて来いゴム蛙/後藤綾子
浮人形腹をかへして揺れ合へる/吉武月二郎
浮人形ある日はひとの言ひなりに/鈴木栄子
新内に耳かたむけて浮いてこい/坂本タカ女
俳句例:41句目~
杞憂派は君だけでない浮いて来い/鈴木紀子
水すこし飲んだる気配浮いてこい/綾部仁喜
浮いてこい瞬きひとつせぬひまに/佐藤和枝
螺子巻いて水を得たるや浮人形/窪田日草男
浮いて来い何が何でも浮いて来い/後藤綾子
をさなごの中に我見る浮いてこい/上田日差子
浮人形莫迦々々しくて買ひにけり/星野麦丘人
抑ふるを浮力としたり浮いて来い/中戸川朝人
浮いてこい浮いてこいとて沈ませて/京極杞陽
どうしても浮いてくるなり浮人形/藤田あけ烏
かあさんは元気ですかと浮いて来い/嶋田麻紀
疾く去にし日日よ祭よ浮いてこい/文挟夫佐恵
かくて世のどんでん返し浮いて来い/関戸靖子
かなしみの芯とり出して浮いてこい/岡田史乃
長子次子稚くて逝けり浮いて来い/能村登四郎
きやうだいの記憶の隙間浮いて来い/片山由美子
子はとうに吾を離れしよ浮いてこい/ふけとしこ
いのちまで取るとはいはぬ浮いてこい/堀米秋良
浮いてこい浮いてお尻を向けにけり/阿波野青畝
「シヌマデハイキテルンダネ」浮いてこい/熊谷愛子