「花火」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「花火」について
【表記】花火
【読み方】はなび
【ローマ字読み】hanabi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・揚花火(あげはなび:agehanabi)
・仕掛花火(しかけはなび:shikakehanabi)
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季節による分類
・「は」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「晩夏」に分類される季語
月ごとの分類
花火を含む俳句例
川舟や花火の夜も花火売/一茶
茜雲架け海上に花火待つ/原裕
花火ちる川山遠き曇かな/保吉
大花火重なり開く明るさよ/素十
先帝祭海底古都へ昼花火/森礼子
堀泳ぐ金花火や岡崎城/牧野一古
物焚て花火に遠きかゝり舟/蕪村
八朔や谿の底より揚花火/辻桃子
鼠花火陥りて尚水走り/鈴木花蓑
川面や花火のあとの楫の音/白雄
夢幻さてはう筒の花火かな/惟中
密室や浪もて咲かす遠花火/郁乎
家づとや咄のさくら花火船/調泉
大曲平日の日の昼花火/高澤良一
釣花火又唐松かな薄哉/正岡子規
花火果て銀河に戻る墨田川/春樹
大花火下に新六本舗あり/岸田稚
田植祭朝の花火が三発も/辻桃子
遠花火開いて消えし元の闇/寅彦
星一つ残して落る花火かな/抱一
俳句例:21句目~
女中舟姐己やよする初花火/言水
周囲皆恋人同士大花火/森かつ子
黒き蔵王全し花火一瞬に/杉本寛
黒き川花火の夜を流れずに/静塔
風の出て人の靡ける花火かな/稚
道花火寂寥水のごとくなり/風生
稲妻やからくり花火夕芝居/黄吻
柳橋花火の下の人力車/京極杞陽
山川を大いに讃へ冬花火/小島健
貰はるる猫膝の上大花火/石寒太
煮南瓜に遠き花火の音至る/辻桃子
爆傷の奇蹟ききをり遠花火/築城京
一湾の闇を漁る花火かな/志麻/茜
夜は秋のけしき全き花火かな/白雄
手花火の颯颯颯颯赤き球/安食彰彦
昇降機花火の空へ上りゆく/丸山了
一瞬も一生のうち遠花火/鈴木鷹夫
花火見る子供の中に坐りけり/篠原
上堂の打上げ花火道元忌/森谷畦道
連発の花火明りに山蒼し/関森勝夫
俳句例:41句目~
うかれ女の黒髪焦せ散り花火/大魯
花火見て一時間後に眠り落つ/誓子
水溜り花火の端を映したり/関忠男
花火見えて湊がましき家百戸/蕪村
看下すや麓の村の揚花火/会津八一
中年に旅の花火や西鶴忌/角川春樹
花火舟遊人去つて秋の水/黒柳召波
二三人花火線香に端居哉/正岡子規
花火屑幾日か漂うてをり/山西雅子
大花火わが生涯も本番に/西本一都
花火爆ぜ天体繭のごときもの/原裕
大花火一瞬島を傾げたり/熊崎真孝
花火見の人現はれし葎かな/岸田稚
梨番に梨の天井昼花火/百合山羽公
工みたる限りちりゆく花火哉/士川
枝川や花火にいそぐ館船/正岡子規
人声を風の吹きとる花火かな/涼菟
大花火床下の蛇跼むころ/赤尾兜子
大花火悪相もわが顔のうち/石寒太
大花火折しも風は沖へ吹く/岡田昭
俳句例:61句目~
大花火果てし余情の浅き闇/安原葉
花火果て大隕石の闇となる/信童二
揚花火風に大円流したる/山田弘子
浜明けて真砂驚く花火殻/高澤良一
手花火に面赤き時蒼き時/吉田漁郎
音もなし松の梢の遠花火/正岡子規
暁や火串に焦げし草の花/正岡子規
音のみの昼の花火や花曇/巌谷小波
大輪の花火の中の遠花火/野澤節子
空知川花火に鴉髪たてて/寺田京子
長岡の花火帰りの道真直/高澤良一
雑踏と別に空あり揚花火/稲畑汀子
半生のわがこと了へぬ遠花火/鷹女
夕飯や花火聞ゆる川開き/正岡子規
宵々の花火になれて音をのみ/虚子
協賛の某花火あがりけり/高澤良一
稻妻の遠くに光る花火哉/正岡子規
遠花火鬱と入院第一夜/石田あき子
花火せよ淀の御茶屋の夕月夜/蕪村
遠花火間遠に上り雨上り/西村和子
俳句例:81句目~
宗祇忌の花火の闇の白き雲/中拓夫
もの焚て花火に遠きかゝり舟/蕪村
遠花火色あやまたず水流る/岸田稚
冬花火秩父の夜空匂ふごと/杉本寛
梟や花火のあとの薄曇り/正岡子規
合併の花火の下の村貧し/宮坂静生
遠花火浴後の女匂ひけり/廣瀬直人
遠花火つれの一人は女なる/上村占
湾内に花火の谺あまた度/西村和子
雑然と馬穴の中の花火屑/佐藤五秀
陣痛の牛ゐて花火音ばかり/今井聖
昼花火虻が花粉に眼を汚し/上村占
刈田雀に祭花火の二三発/鈴木鷹夫
喝采に間髪入れず揚花火/森田真臣
初漁の船送り出す花火音/満田玲子
警察の舟も繋ぐや花火舟/正岡子規
漂ふて花火の煙の大海月/高澤良一
手花火を栞に雨月物語/相生垣瓜人
街道を花火の煙這ひゆけり/辻桃子
葛飾の闇へと靡く花火かな/菅裸馬