「泳ぎ」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「泳ぎ」について
【表記】泳ぎ
【読み方】およぎ
【ローマ字読み】oyogi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・水練(すいれん:suiren)
・抜手(ぬきて:nukite)
・片抜手(かたぬきて:katanukite)
・のし(のし:noshi)
・立泳(りつえい:ritsuei)
・御前泳(ごぜんえい:gozenei)
・手繰(たぐり:taguri)
・浮身(うきみ:ukimi)
・犬掻き(いぬかき:inukaki)
・背泳(はいえい:haiei)
・平泳(へいえい:heiei)
・バタフライ(ばたふらい:batafurai)
・クロール(くろーる:kuroru)
・浮袋(うきぶくろ:ukibukuro)
・川浴(かわあび:kawaabi)
・水浴(みずあび:mizuabi)
・遠泳(えんえい:enei)
・競泳(きょうえい:kyoei)
・遊泳(ゆうえい:yuei)
・水潜り(みずくぐり:mizukuguri)
・潜り(もぐり:moguri_)
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季節による分類
・「お」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
泳ぎを含む俳句例
大小の油目泳ぐ鯨汁/上村占
鯉幟古び気安く泳ぎをり/柏禎
満月や水兵泳ぐ立泳/三橋敏雄
砂土圭干潟や泳ぐぐ堺町/立吟
胸深く入れて水鳥沖泳ぐ/青邨
万緑や泳ぐすがたの病臥身/稚
さきがけて泳ぐ太陽青筑波/原裕
泳ぎ子の投かけ衣葛の上/たかし
停年の一年前の立泳ぎ/高澤良一
夭折に遅れし体泳ぐなり/原雅子
岩焼く泳ぐ形に串刺して/神蔵器
潮浴の貧しき一家屯せる/上野泰
目高泳ぐ貌三角に宿酔/岸風三樓
蛭泳ぎ濁りと共に流れ去る/篠原
湖を切る遠泳の頭かな/茨木和生
泳ぎ来し蛇流木に顎托す/太田嗟
旧陸軍の湖宿額へ泳ぐ/伊丹公子
舟生簀潮の碧に鱚泳ぐ/小林葭竹
鯛泳ぐとも炎天の彩褪せず/原裕
水泳や汐あたゝかに月上る/篠原
俳句例:21句目~
汐浴の帽子大きく休み居る/篠原
姉棄てて弟泳ぐ土用波/坪内稔典
蛭泳ぐ曇天遠く爆破音/右城暮石
終生をまろく泳ぎて金玉/辻井ト童
燕の子宙六尺を泳ぎつく/相馬遷子
水飯の一粒立ちて泳ぐなり/石嶌岳
鮎鮨の笹に泳ぎし姿かな/今泉貞鳳
泳ぎ子よ岸辺翳なす夕餉どき/林翔
水禽の鳴きつゝ泳ぐ花篝/野村泊月
鯉幟影は離れて田に泳ぐ/渡会昌広
人参の花を近くに朝泳ぐ/大井雅人
桜鯛うかうか網の中泳ぐ/長生青影
暁の鐘兄妹いまも蛇泳ぎ/柿本多映
桜桃忌首上げ泳ぐ増えて/栗林千津
鮠に石擲ちゐしが又泳ぐ/木村蕪城
桜桃の沖の父親立ち泳ぐ/坪内稔典
杖の尖洗へば泳ぐ蛭二匹/高浜虚子
新涼の甕に描かれし泳ぐ/川本臥風
五六人沖の満月へと泳ぐ/中村苑子
雲海に月出て人泳ぎをり/阿部誠文
俳句例:41句目~
打水や芝垣泳ぐものゝ蔓/西山泊雲
魂棚を組む山川を泳ぎ来て/神蔵器
夜泳ぐ砂に女を残し置き/吉田汀史
首振つて穀象泳ぐ合の米/小林康治
風塵に青萱泳ぐ隠れ村/下村ひろし
陽炎の中に泳ぐ手一輪車/新井真衣
崖昇る気流に鷹の立泳ぐ/高井北杜
通訳のまあいを泳ぐ熱帯/二村典子
男と女海の孤独を泳ぎぬけ/三谷昭
遠泳の子に新しき守り札/薦田伸子
漁船出す道あり海水浴の中/中拓夫
町川に鯉泳ぎをり稲の花/長谷川櫂
西行忌車の波に杖泳ぐ/百合山羽公
裏山の幼い星よえい泳ぐ/坪内稔典
遠泳の先着つきし砲を聞く/上村占
煖炉過熱臓透け泳ぐ熱帯/内藤吐天
結界に泳ぐ孑孑梵字なす/品川鈴子
山川に泳ぐ少年身を流し/茨木和生
紫のくらげと泳ぐ月あかり/蔵巨水
泳ぎ着く蛇の一途や向ふ岸/星野椿
俳句例:61句目~
立泳ぐ頭と盆のもの並ぶ/鷹羽狩行
突放し突放し椰子の実と泳ぐ/敏雄
泳ぎ女の葛隠るまで羞ひぬ/不器男
厳島水母のなかを父泳ぐ/江里昭彦
神傅流夫の泳ぎは波立たず/及川貞
朝花火海水浴の人出かな/高浜虚子
少年の眦赤し泳ぎ来て/黒田櫻の園
焚火して泳ぐ茫々石狩川/成田千空
灌仏の如泳ぎ子の立ち上り/上野泰
若き妻水泳焼けの火の躰/辻田克巳
泳ぎ子に雲影走る山家かな/原石鼎
炎天の下さはやかに蛭泳ぐ/原石鼎
山川の中に泳ぎの人間漬/平畑静塔
竿灯は大きく宙を一泳ぎ/高澤良一
初嵐舟より逃げし蛸泳ぐ/小川軽舟
大川や鴨川踊の灯が泳ぐ/中村美治
遠泳後の入江涼しき舵の音/中拓夫
火祭や金ひたひた泳ぎをり/石嶌岳
妻泳ぐ夫の視界の外へ出でず/黛執
あらぬ方日がな泳ぎて金玉/関戸一正
俳句例:81句目~
共に泳ぐ幻の鱶僕のやうに/三橋敏雄
兄妹の合の子二人泳ぐのみ/京極杞陽
泳ぎ寄る眼に舷の迅かりき/片山桃史
とも綱に蜑の子ならぶ泳ぎかな/子規
泳ぎ来し髪を掴んで滴らす/西村和子
年輪は片寄るが常泳ぐ水輪/香西照雄
ひた泳ぐ自由は少し塩辛い/櫂未知子
平和祭真中の川を子が泳ぐ/鈴木貞雄
自己主張して泳ぎだす鯉幟/金堂豊子
里人の皆汐浴びる物日かな/鈴木余生
竜宮に似せて海水浴の駅/斉藤志津子
砂の城築きし王子潮浴びに/高澤良一
潮浴の手をとりあひて兄妹/富安風生
山川に痩身透けて泳ぐなり/木村蕪城
海水浴の茶店に風の塊りが/松瀬青々
一泳ぎして草刈の帰りけり/太田土男
一泳ぎせり鍼灸の待ち時間/茨木和生
一生を泳ぎつづける鮪かな/星野恒彦
波少しあるを喜び潮浴びる/谷口君子
汐浴の衣投置くや月見草/石島雉子郎