「早苗饗」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「早苗饗」について
【表記】早苗饗
【読み方】さなぶり
【ローマ字読み】sanaburi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・田植仕舞(たうえじまい:tauejimai)
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季節による分類
・「さ」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「晩夏」に分類される季語
月ごとの分類
早苗饗を含む俳句例
早苗饗の袋大きく胡桃の音/下田稔
さなぶりの広き足裏父睡る/稲富義明
早苗饗の唄つづくなる筆硯/石川桂郎
早苗饗や姉の大きな膝頭/小野口/豊
早苗饗や家風全く今はなく/大野一光
早苗饗や高膳すゑてお百姓/橋本鶏二
早苗饗餅搗きたて犇と笹衣/堀口星眠
早苗饗の襖ひらいて主かな/橋本鶏二
早苗饗もすみそれ~に畦道ヘ/高木晴子
早苗饗の椿の古葉掃きにけり/山本洋子
一臼の早苗饗餅は牛に搗く/島谷王土星
子が盛つて早苗饗の飯大盛よ/太田土男
山の湯に早苗饗の衆朝より来/谷渡末枝
早苗饗や茂吉の家の牛やさし/皆川盤水
手間賃を添へ早苗饗の送り膳/森本久平
掌に受くる早苗饗の餅温かし/庄司栄子
早苗饗や神棚遠く灯ともりぬ/高浜虚子
早苗饗に猫も参じて膝に乗る/太田土男
早苗饗の膳の下より小猫かな/橋本鶏二
さなぶりや馬は馬屋に立眠り/川島奇北
俳句例:21句目~
さなぶりへ総出の家の羽抜鶏/青木綾子
早苗饗のひたぶる風に硯あり/田中裕明
松苗に水かけてより早苗饗/瀧澤伊代次
早苗饗の花の十薬刈られけり/皆川白陀
昔ほど酒は飲めぬと早苗饗に/柏井古村
早苗饗の土間に届きし栄螺籠/畠山譲二
早苗饗や髪撫でつけし日焼妻/高野素十
早苗饗や酢の香吐出す換気扇/奥野勝司
早苗饗や酒豪揃ひの居残りぬ/野口光江
早苗饗の家の子庭木攀ぢ遊ぶ/依田明倫
早苗饗や賞状隙間なく掲げ/森井美知代
早苗饗の家高々と農衣干す/岡村喜代子
早苗饗の庭先の牛鳴きにけり/望月皓二
母舞はせつつ早苗饗の父の笛/町田しげき
ふる里の早苗饗すぎし田風かな/皆川白陀
早苗饗や母のにほひの鮨の桶/つじ加代子
さなぶりを終へ啄木の村しづか/角川春樹
早苗饗の人も乗せたる佐渡通ひ/山本洋子
早苗饗の御あかしあぐる素つ裸/高野素十
早苗饗の羽目に挿したる休め鎌/沢木欣一
俳句例:41句目~
早苗饗の賑はひ好む父老いたり/大熊輝一
早苗饗の集落センター賑はへり/斉藤葉子
月を得てさなぶり青し母の唄/伊藤はじめ
早苗饗や子の手にあまる青葉餅/冨山青沂
早苗饗の馬に鶏卵割り呑ます/岡野風痕子
早苗饗や葛城の嶺々かき消えて/立石節子
ざんざ降り止む早苗饗の木樵たち/萩原麦草
早苗饗の釜処に屈むみごもり女/文挟夫佐恵
早苗饗の酔歩と知れりうしろゆく/石川桂郎
早苗饗や大へつつひに煮ゆるもの/吉川葵山
早苗饗の家らし人の出入りあり/仙入麻紀江
早苗饗の娘の板橋をとんとんと/射場秀太郎
早苗饗の夜気ゆるやかに紺を張る/奥村/愛
早苗饗の夜は紅さして星も酔ふ/能村登四郎
早苗饗やみながにまたの男たち/岸本長一郎
早苗饗と言へばはるかな祖父の声/横原律子
早苗饗の二戸和し月の出づるかな/太田土男
早苗饗も済みしばかりに地震騒ぎ/清水保生
さなぶりとなる磨りこ木の握り艶/成田千空
さなぶりの嫁いびり唄あんこ餅/八牧美喜子
俳句例:61句目~
さなぶりの小花火堰の方に鳴る/百合山羽公
早苗饗は木小屋であるといふ案内/高木晴子
早苗饗に日のあるうちの別れかな/高木晴子
さなぶりや祖霊をやどす酒器の艶/佐川広治
早苗饗や泥洗ひとて温泉にあそぶ/宮本唯人
さなぶりの餅山帰来の葉につつむ/中山純子
手伝はぬ娘も早苗饗の輪に入りぬ/吉田きよ子
早苗饗のいちにち湯野の湯の熱き/宇多喜代子
早苗饗や田あかりの雨しぶくなり/千代田葛彦
早苗饗やちちゐる母ゐるみんなゐる/早川翠楓
さなぶりに灯してありぬ牛小屋も/鏑木登代子
さなぶりのおほぜい登る古墳かな/吉本伊智朗
さなぶりや跣足のまゝの風呂支度/斎藤九万三
さなぶりや須佐之男ここに老い給ふ/角川春樹
早苗饗のうどんの釜の鳴つて居り/合田丁字路
まんだらの里さなぶりの獅子舞はす/岩崎すず
早苗饗のかまどが燃えて炉が燃えて/大橋/もと女