「風鈴」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「風鈴」について
【表記】風鈴
【読み方】ふうりん
【ローマ字読み】furin
子季語・関連季語・傍題・類語など
・風鈴売(ふうりんうり:furinuri)
–
季節による分類
・「ふ」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
風鈴を含む俳句例
風鈴に四万六千日の風/多田裕計
風鈴や松の籟に寺存す/前田普羅
風鈴二つ響二いろ無人駅/川村紫陽
貝殻の風鈴石の家に吊る/中山純子
鉄壁の心の隙に風鈴鳴る/加藤楸邨
風鈴や夕風立ちし人通り/島田青峰
風鈴をつるす忽ち顔一つ/小池文子
川風も風鈴の音も通る部屋/町春草
風鈴や一夜嵐に音を絶し/野村喜舟
小波や芽柳凪ぎし余り風/鈴木花蓑
風鈴が残りねえやが入替る/仁平勝
風鈴を作りし人の送り状/後藤夜半
風鈴売鏡の中を通りけり/加藤耕子
風鈴の短き舌の古はがき/山本歩禅
新婚の新居風鈴すでになる/及川貞
風鈴の音色美し留守の家/進藤/紫
業苦呼起す未明の風鈴は/石田波郷
風鈴や花にはつらき風ながら/蕪村
風鈴や硯の海に映りつゝ/鈴木花蓑
海風に風鈴揃ひ鳴る駅舎/茂里正治
俳句例:21句目~
風鈴の古糸一縷震災忌/百合山羽公
風鈴や暑き枕を裏返す/田川飛旅子
風鈴の二ッ一ッの音となる/峰山清
風鈴の下迥かなる沖つ浪/鈴木花蓑
風鈴や家新しき木の匂ひ/鈴木花蓑
風鈴や妹が秀句を小短冊/角田竹冷
船宿の忘れ風鈴潮じめり/石川文子
隧道に風鈴売の入りにけり/菅原鬨也
万緑になじむ風鈴昼も夜も/飯田蛇笏
風かほれ風鈴の銘も小倉山/斯波園女
乳児目覚めをり風鈴の音の中/長田等
風鈴の一揆の風が比叡より/古舘曹人
海山の音ふうりんを高く吊る/大串章
風鈴は北上川の風に吊れ/大峯あきら
何しても中途半端に軒風鈴/高澤良一
風鈴のくろがねの音陶の音/大橋敦子
風鈴の錆にはあらず青かつし/上野泰
風鈴は優し機械と流れ作業/平畑静塔
風鈴の鳴る家猫の多くして/岸本尚毅
原爆に残りし町に軒風鈴/松崎鉄之介
俳句例:41句目~
風鈴屋老の弱腰たてにけり/飯田蛇笏
吊り古りし風鈴に音戻りけり/岸田稚
風鈴を鳴らす野分に墓の群/杉山岳陽
風鈴を売る店にだけ風通る/岡田玉水
夜半にして風鈴鳴りぬ貧漁村/斎藤玄
風鈴を吊り明星を吊つてあり/上野泰
夢なりし貝風鈴の貝の音/神尾久美子
風鈴の鳴る一瞬の風を見る/増山至風
天の邪鬼夜半の風鈴玩ぶ/相生垣瓜人
風鈴の風を待ちたる机かな/角川春樹
寒中の風鈴が鳴る四温かな/飯田蛇笏
山中の風鈴白き尾を垂らす/館岡沙緻
店仕舞の声々風鈴鳴り揃ふ/香西照雄
打払ふ紙かげもなし松の風/鈴木花蓑
打水や檜葉そよ~と後れ風/鈴木花蓑
風鈴や天駆け巡りくる風に/長谷川櫂
風鈴の四萬六千日の音/久保田万太郎
いち早く風鈴の知る山雨かな/南礼子
書庫裏はさびし風鈴草に雨/田村了咲
月光ほろほろ風鈴に戯れ/荻原井泉水
俳句例:61句目~
風鈴に余りある風面食らふ/高澤良一
風鈴や風に死貌うかびたる/仙田洋子
風鈴や静かに灼くる能舞台/加古宗也
路地奥に忘れ風鈴子規庵址/奈良文夫
橋たもと風鈴売りの拭ふ汗/今泉貞鳳
風鈴や青き空から風吹いて/長谷川櫂
風鈴や選句に占めし梯子段/渡辺水巴
風鈴や話に嘘の見えてをり/西嶋明美
風鈴のただ働きの労おもふ/高澤良一
風鈴や在家の尼の昼の酒/大木あまり
くろがねの風鈴納む訃報急/青木重行
江戸風鈴炎の中に生れけり/村上洋子
風鈴や生涯妻の国なまり/栗田九霄子
風鈴や父耳遠く病み給ふ/高田風人子
海ねぶるには風鈴の舌短し/栗生純夫
風鈴の咫尺に都会動くなり/山本歩禅
海楼に鳴る風鈴や書信せん/尾崎迷堂
風鈴や唐黍よりの風荒らし/鈴木花蓑
風鈴や哀しき時は哀しき音/坂本霞城
風鈴や水面に残る風のあと/水谷砕壺
俳句例:81句目~
潮鳴りや貝の風鈴響き合ふ/吉原文音
風鈴や古釘多き住居なり/島村元句集
風鈴のわれにかへりし音一つ/轡田進
風鈴や暗闇がよく見える人/岸本尚毅
風鈴の包み小指にさげ戻る/木田千女
風鈴や二階借りして若夫婦/吉岡秋青
風鈴の音色乱打に変りけり/高澤良一
風鈴の処に風のありにけり/藤田耕雪
風鈴の音色を真似て骨休め/高澤良一
風鈴や揚屋格子の灯昏きに/大谷句佛
風鈴に風月清くありにけり/野村喜舟
直江津の西は曇りの刈田風/鈴木花於
風鈴や二階住みなる風通し/遠藤はつ
風鈴に白波寄せてゐたりけり/大串章
風鈴の闇に原爆ドーム浮く/山本満義
風鈴や川柳を詠む湯女の紐/西本一都
笠松の笠の端見ゆる風鈴よ/尾崎迷堂
風鈴の空け荒星ばかりかな/芝不器男
節電や掠れて鳴れる軒風鈴/高澤良一
風鈴に荒ぶる神ののりうつり/飴山實