「籠枕」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「籠枕」について
【表記】籠枕
【読み方】かごまくら
【ローマ字読み】kagomakura
子季語・関連季語・傍題・類語など
・籐枕(とうまくら:tomakura)
–
季節による分類
・「か」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
籠枕を含む俳句例
高き門深き廂や籠枕/上村占
忘恩や片耳寒ぐ籠枕/藤田柊車
漆黒の揚羽蝶彫り陶枕/辻桃子
籠枕百夜通へる島の船/桂信子
硬くなる頭年々籠枕/高澤良一
籠枕に物相頭定年後/高澤良一
月影の洩れて涼しや籠枕/利会
戦争の後の余生を籠枕/長谷川櫂
きり~す啼せて寝たし籠枕/支考
新聞や鎮石にしたる籠枕/森無黄
籠枕もちて気軽に入院す/梶尾黙
籠枕編むや連峰雲の中/大島民郎
早起きが徒の寝不足籠枕/高澤良一
詩集より押花こぼれ籠枕/大島民郎
ちちははの遺影の下の籠枕/下田稔
籠枕骨身にひびく何々ぞ/長谷川櫂
籠枕島の泊りの雨に暮れ/大野林火
籠枕そを山風の吹き抜けて/飴山實
籠枕老妓にありし月日かな/井上雪
生き死にを俳諧の種籠枕/長谷川櫂
俳句例:21句目~
籠枕並べて夢のすれ違ふ/土生依子
籠枕真昼の夢はすぐ忘れ/吉屋信子
俳諧は業余のすさび籠枕/長谷川櫂
物忘れ多き頭をのせ籠枕/高澤良一
君が魂の蛾ぞ美しの籠枕/岡本松浜
陶枕の詞は孤閨歎きけり/由山滋子
夢のなか風吹き抜けて籠枕/檜紀代
陶枕の呉須の長江下りかな/飴山實
客来ると妻が隠せり籠枕/青木重行
陶枕に宮沢賢治読みきかす/辻桃子
籠枕仰臥の腹を凹ませて/岸風三樓
浅き世を浅き眠りの籠枕/三溝沙美
床の間に父の遺愛の籠枕/棚山波朗
籠枕水の流れる音のせり/阿部静雄
風かよふうなじ高しや籠枕/皆吉爽雨
からつぽの頭を載せて籠枕/田辺レイ
けぶりつつ来る波がしら籠枕/中拓夫
するすると涙走りぬ籠枕/松本たかし
首細くなりし思ひの籠枕/鈴木伊都子
鴎なほうかがつてゐる籠枕/杉野一博
俳句例:41句目~
虚事をうつくしく描き陶枕/大石悦子
ふる里や母の匂ひの籠枕/亀井すみ子
陶枕に昼寝て夜の磁気枕/中戸川朝人
もちあるく葉月なか日の籠枕/松崎豊
陶枕に昼寝の猫の似てきたり/日原傳
陶枕の置かれしゆゑの風通る/角光雄
をりをりの風が救ひや籠枕/高澤良一
籠枕父を恐れしこと不思議/大沢呑舟
一身のま直ぐに眼ざめ籠枕/皆吉爽雨
陶枕の青き山河に睡りけり/綾部仁喜
二三行読めばうとうと籠枕/酒井素女
亡き母の寝息聞こゆる籠枕/大西一冬
陶枕を借りて視線の鮮しき/都筑智子
陶枕を愛せり猫のかたちゆゑ/日原傳
口あけて寝たる僧都や籠枕/高濱虚子
引越の重き荷となる籠枕/宇多喜代子
棲みながら直す二階家籠枕/小川軽舟
気を張らぬ暮し好もし籠枕/松尾緑富
片よせてありし仏間の籠枕/後藤夜半
畳に頭あつちへやつて籠枕/川崎展宏
俳句例:61句目~
病みぬれば病とあそび籠枕/長谷川櫂
白晝の夢のぬけがら籠枕/大野せいあ
籠枕ことしの頭慣らしをり/高澤良一
籠枕して邯鄲の夢もなし/後藤比奈夫
籠枕そこそこの身のよこたわり/原裕
陶枕売る華僑の片言日本語/高澤良一
籠枕一つを友としたりけり/長谷川櫂
籠枕一つ出されて亀城館/成瀬正とし
籠枕一帙芭蕉句集かな/長谷川零餘子
籠枕新しすぎて逃げ易く/北川喜多子
籠枕滑らか白髪ふえけるや/大石悦子
読みかけの新聞を着て籠枕/相馬沙緻
雨やむを待ちて仮寝の籠枕/鈴木花蓑
青萩の昼青く置く籠枕/長谷川かな女
ありし人そこにあらざり籠枕/長谷川櫂
そこにあり見ればさびしき籠枕/森澄雄
たはむれに枕く籠枕髪噛みぬ/大石悦子
はかなさが骨身にこたへ籠枕/長谷川櫂
まろび寝や羅かゝる籠枕/長谷川零餘子
よき夢と覚えゐるのみ籠枕/片山由美子
俳句例:81句目~
陶枕のかたきを得たる九月かな/安住敦
世を一度捨てし身守りて籠枕/村越化石
喪の帰り籠枕見て買はざりし/宮岡計次
人の世の見るべきは見つ籠枕/長谷川櫂
籠枕眼の見えてゐる夢ばかり/村越化石
空しさに身をよこたへて籠枕/長谷川櫂
天井に抜げてもみたる籠枕/岩淵喜代子
陶枕の唐子散らしや宵の雨/小野恵美子
籠枕風吹きぬける音すなり/岩谷山梔子
籠枕なんにも仕掛なかりけり/小野克雄
耳の下風吹き抜ける籠枕/中畠/ふじ子
籠枕ひとつを抱へ家出せむ/宇多喜代子
籠枕ゆめの続きを揺りもどし/平川雅也
身のまはりすこし片付け籠枕/細川加賀
身をもたげて湖上を望む籠枕/高田蝶衣
籠枕ころがつている虚空かな/長谷川櫂
籠枕この世の母のやすらへる/長谷川櫂
陶枕も遺品の一つまどろまむ/稲葉百年
陶枕や上段の間のいまは無く/木村蕪城
陶枕や琉球駄菓子ほろほろと/村沢夏風