「新茶」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「新茶」について
【表記】新茶
【読み方】しんちゃ
【ローマ字読み】shincha
子季語・関連季語・傍題・類語など
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季節による分類
・「し」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「初夏」に分類される季語
月ごとの分類
新茶を含む俳句例
宿々は皆新茶なり麦の秋/許六
新茶蒸す桶に先々代の銘/渡たみ
更衣狭山の新茶到来す/正岡子規
素跣の新茶売や宵の雨/寺田寅彦
さら~と溢るゝ新茶壺の肩/羽公
嵯峨の柴折焚宇治の新茶哉/蓼太
瓦茸新茶の筒と枕べに/石川桂郎
新茶淹る数日つゞく雨憂くて/貞
新茶煮る暁おきや仏生会/炭太祇
なら漬桶糟残りけり新茶好/露言
玉川の門に新茶の使哉/正岡子規
老僧の文と新茶と筍と/正岡子規
紙切に包む手製の新茶哉/正岡子規
一枝の牡丹酬ゆる新茶哉/正岡子規
病廊を手押車の新茶売/石田あき子
石山に夜の水くむ新茶哉/松瀬青々
掌の熱し熱しと新茶揉む/河原好枝
香華の外の新茶や御仏ヘ/尾崎迷堂
亡き人の分も一碗新茶汲む/森喜代
霊膳に新茶そゆるや一つまみ/浪化
俳句例:21句目~
金色の壷は新茶よ身ほとりに/青邨
萩焼の糸尻高き新茶かな/岡田久慧
老眼やなき名負はせて新茶好/黄吻
偕老の一滴惜しみつつ新茶/渡辺昭
新茶汲む朝の潮路の歴々と/中拓夫
本郷も変りしといひ新茶買ふ/綾子
少年の量る新茶の手の慣れず/渋川絢
庭先に大釜すゑて新茶煎る/尾石ゑい
庵原より宅急便で新茶着く/高澤良一
新茶煮る此夕あり五山人/沢田はぎ女
白きへと移る山吹新茶くむ/皆吉爽雨
新しき茶を煎じけり玉の露/正岡子規
新茶淹れ幽かにありし亡父憶ふ/楸邨
新茶汲むわが一日の句読点/蜂谷圭子
たら~と老のふり出す新茶かな/鬼城
鴬の老いゆく里の新茶かな/大谷句佛
新茶淹れ乍ら話の受け応え/高澤良一
百までの齢願ひて新茶汲む/今泉貞鳳
絵薬を新茶で磨れり九谷焼/宮田正和
羊羹の甘きを好む新茶かな/正岡子規
俳句例:41句目~
渋紙や新茶干したる椽の先/正岡子規
色を切る終の一滴まで新茶/松木一恵
水筒に新茶あふるる柏餅/水原秋桜子
殉教の島より新茶届きけり/井原久子
新茶汲みたやすく母を喜ばす/莵絲子
若葉して命めでたき新茶かな/中勘助
一仕事終えて一口新茶飲む/中村公助
一休寺納豆買はず新茶買ふ/岩崎照子
一椀の新茶一盆の林檎かな/中倉笠堂
謡ヲ談シ俳句ヲ談ス新茶哉/正岡子規
郭公はるかに蜀の新茶かな/椎本才麿
新茶つむ峯へ向けたる大秤/木田千女
日輪と新茶の小さき壷一つ/成田千空
入間野に新茶の幟立ち並ぶ/谷口直樹
參らせん親は在さぬ新茶哉/寺田寅彦
名水に一期一会の新茶くむ/田村萱山
新茶売りはじめ候筆太に/神宮司茶人
旅僧をよびこむ庵の新茶哉/正岡子規
新茶少し紙につゝみし袂哉/篠崎霞山
新茶撰る僧と話すや小百姓/正岡子規
俳句例:61句目~
新茶佳し豆飯も良し独もよし/樋笠文
白糸の鳴りて封ずる新茶買ふ/皆吉爽雨
白昼の茶舗の明燈新茶買ふ/百合山羽公
かゝる時新茶淹るべし雨に灯し/及川貞
白き花活けて新茶の客を待つ/正岡子規
新茶揉む晩年厚きたなごころ/大畠新草
畝の間に立泳ぐごと新茶摘む/磯崎兼久
新茶汲む齢けふより母を越す/大熊虚阿
ほととぎす新茶より濃声の色/椎本才麿
煤煙は駅のみ新茶の静岡市/百合山羽公
新茶して声のきれいな女絵師/青山久女
清澄山宿の囲炉裡の新茶かな/平山独木
朗報を聞くごと新茶味はへり/高澤良一
一舟も見ぬ日木海新茶旨し/伊丹三樹彦
乾山の窯もあがりて新茶かな/高田蝶衣
山水を引きしわが家の新茶召せ/安原葉
方丈に今とどきたる新茶かな/高浜虚子
方寸の壺にあふるゝ新茶かな/前田普羅
嫁が来て葛藤始まる古茶新茶/堀可衛子
子に送る新茶を妻の惜気なく/野川枯木
俳句例:81句目~
彼一語我一語新茶淹れながら/高浜虚子
新茶買ふ壺みな光る宵の灯に/皆吉爽雨
新茶汲む母と一生を異にして/野澤節子
新茶入れ日ざしの椽に老夫婦/田中冬二
旅心はたと鮮やか新茶買ふ/成瀬正とし
敦盛の五倍も生きて新茶飲む/木田千女
大釜に半身乗り出し新茶揉む/関森勝夫
新茶いれ朝は草めく夫婦なり/熊谷愛子
新茶買ふ三つ葉葵の暖簾分け/衣川砂生
家庭訪問新茶を以てねぎらはる/樋笠文
新茶くむしづく配りに十余客/皆吉爽雨
新茶淹る湯気の向うに送り主/高澤良一
新茶出て名も夢殿の茶杓あり/大島民郎
新茶来て小さき壷にやゝあふる/秋櫻子
大事また過ぎやすかりし新茶汲む/爽雨
新茶汲む母の齢をはるか越え/中村苑子
新茶汲む狭山老舗に茶の香満ち/及川貞
新茶汲む造り酒屋の水もらひ/清水明子
新茶汲む日本平に富士を見て/小林春水
寄り合へば明治の話新茶汲む/福澤綾子