「麦湯」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「麦湯」について
【表記】麦湯
【読み方】むぎゆ
【ローマ字読み】mugiyu
子季語・関連季語・傍題・類語など
・麦茶(むぎちゃ:mugicha)
・麦茶冷し(むぎちゃひやし:mugichahiyashi)
・麦湯冷し(むぎゆひやし:mugiyuhiyashi)
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季節による分類
・「む」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
麦湯を含む俳句例
臂枕われ水よりも麥湯かな/会津八一
対談の病者に麦湯冷たかり/椎橋清翠
麦湯飲み雲水作務を怠らず/梅沢総人
麦湯呑み午から体力消耗戦/高澤良一
妻沸す麦湯ちからに夏百日/高澤良一
ころげ出てのろま人形麦湯かな/神蔵器
厨西日あすの麦湯の麦を煎る/高浜虚子
吾子の鼻大き麦湯のコップ透き/志城柏
道場へ大釜で出す麦湯かな/岡本癖三酔
夜の音の噴井をころぶ麦湯罎/石川桂郎
二階より五階の風の麦湯かな/石川桂郎
大なる茶碗に注ぎし麥湯かな/会津八一
鳩麦を加ふ麦湯の香なりけり/高澤良一
一日了ふ壜の麦湯も底尽きて/高澤良一
麦湯の滋味吾らが元氣の源よ/高澤良一
森閑と麦湯の薬鑵さめてをり/高澤良一
語り合ふ病歴ながし麦湯濃し/目迫秩父
体に佳き麦湯毎朝沸かせをり/高澤良一
卓袱台の麦湯に若き父がいる/中鉢陽子
しんしんと麦湯が煮えぬ母の家/島野光生
俳句例:21句目~
行くわいの麥湯もやがて秋の風/会津八一
横揺れの船中にして麦湯かな/今井杏太郎
起きだして朝から麦湯沸かす妻/高澤良一
麦湯して暑さ負けせぬ夫婦なり/高澤良一
麦湯飲む赤い馬など近づいて/野間口千佳
乞ひたりし水はくれずて麦湯哉/星野麦人
二人子に母われ加ふ麦湯かな/山田みづえ
やるせなし麦湯に氷片二つ入れ/高澤良一
壜に入れて麦湯冷やすや水の中/星野麦人
麦湯呑む妻との呼吸合うて来ぬ/高澤良一
文庫本伏せて麦湯を飲みにゆく/高澤良一
麦湯煮て母訪はぬ悔かさねをり/小林康治
麦湯煮ることに精出す妻なりき/高澤良一
草の戸や麦湯のたぎる大薬缶/飯島百合女
のみ余す麦湯のコップぽつねんと/高澤良一
ひやくひろを通る音ある麦湯かな/高浜虚子
ゆかしさの波多野爽波は麦湯の味/高澤良一
接待の麦湯の冷えのあやまたず/後藤比奈夫
職引きて麦湯の湯気のやうな日々/高澤良一
麦湯の薬罐残業四人に距離等し/中戸川朝人
俳句例:41句目~
麦湯なまぬるくひとりでとる昼餉/高澤良一
煮立つたる麦湯さましてゐる背中/高澤良一
相国寺さまの麦湯をいただきぬ/今井杏太郎
麦湯呑むガラスコップを頬に当て/戸田利枝
暑にめげぬための麦湯を沸かしおく/高澤良一
麦湯呑み干す二十四時間自由の朝/村山砂田男
母も子も暑さに負けず麦湯呑む/長谷川かな女
麦湯湧きぬ講中来らず雨降れり/長谷川零餘子
ツピンツピン鳴く鳥よ新麦湯甘き/長谷川かな女
麦湯冷やす手桶置きたる茂りかな/長谷川かな女
嫁きし子の客の顔して麦湯飲む/堀田政弘/『父の日』
早起きて夫が麦湯を滾らせり/大川幸子/『小春日和』
すこしづつ飲んで麦湯に匂ひあり/今井杏太郎「海鳴り星」