「氷水」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「氷水」について
【表記】氷水
【読み方】こおりみず
【ローマ字読み】korimizu
子季語・関連季語・傍題・類語など
・夏氷(なつごおり:natsugori)
・削氷(けずりひ:kezurihi)
・かき氷(かきごおり:kakigori)
・甘露水(かんろすい:kanrosui)
・氷あずき(こおりあずき:koriazuki)
・氷金時(こおりきんとき:korikintoki)
・氷じるこ(こおりじるこ:korijiruko)
・氷いちご(こおりいちご:koriichigo)
・氷レモン(こおりれもん:koriremon)
・氷宇治(こおりうじ:koriuji)
・氷蜜(こおりみつ:korimitsu)
・みぞれ(みぞれ:mizore)
・氷店(こおりみせ:korimise)
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季節による分類
・「こ」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
氷水を含む俳句例
冷淡な頭の形氷水/星野立子
象潟の厩浮雲かき氷/斉藤夏風
男にも唇ありぬ氷水/小川軽舟
馬追に夜の神棚氷店/高橋馬相
禅寺の前に一軒氷店/高濱虚子
氷店の鏡に午後の波頭/桂信子
唄ひだす童の前へ氷水/日原傳
村までの道一筋の氷店/桂信子
朝寒や看板残る氷店/正岡子規
一軒の庭墟の街の氷店/福田蓼汀
氷水臭の中にうまかりし/瀧春一
氷水の旗汐風に漁師町/田中冬二
墓原の鴉きこゆや氷店/渡辺水巴
旅先の風の津軽の氷水/高澤良一
砂山の夕ぐれ永し氷水/長谷川櫂
犬吠の濤に真向きの氷店/森田峠
氷店爺と婆ゐて婆出て来/小澤實
荒々しき男同士や氷水/村山古郷
見上ぐれば杳と梢や氷水/中田剛
女同志氷水飲み身を嘆く/堀内薫
俳句例:21句目~
昔より橋の袂の氷店/後藤比奈夫
氷水脚より懈くなりにけり/下田稔
かき氷巨き洞窟つくるべし/辻桃子
眼底を暗めて氷水食ぶ/土井百合子
饒舌のやがて淋しき氷水/松島利夫
一匙の脳天衝けり夏氷/能村登四郎
一撃の罅が罅よぶ夏氷/能村登四郎
三尺の鯛生きてあり夏氷/正岡子規
他愛ない話に逃げて夏氷/谷口桂子
丘の如き少年の舌氷水/磯貝碧蹄館
夏氷錐効かぬまで心青し/川口重美
母病むと掴むに荒き夏氷/嶋田麻紀
兼六園松が根を見て氷水/高澤良一
氷水の旗を斜めに山の町/茂里正治
十返舎一九のみちや氷水/宮坂静生
法隆寺村にやすらふ夏氷/下村槐太
薬指さり気なく見て夏氷/谷口桂子
大仏をまづ先に見て氷水/高澤良一
鉄削り一途の職や夏氷/菊池三千雄
山門を真直ぐに出て氷水/椎橋清翠
俳句例:41句目~
帝劇を語ればとけむ氷水/筑紫磐井
頬杖のゑくぼ忘れむ夏氷/加藤楸邨
水捨てる音の夜深し氷店/増田龍雨
氷店より見てゐたる人通り/上野泰
氷水怒濤を前に溶けやすし/石井真
敗戦か終戦かかの氷水/宇多喜代子
かき氷哀し風紋の変幻に/伊丹公子
氷水甘し毒舌小気味よし/西村和子
正面と思ひてくづす氷水/今瀬剛一
かき氷大平洋を眺めては/大林清子
がりがりと妻が自家製氷水/高澤良一
氷水碧落に死のありしこと/友岡子郷
幔幕が背を押しくるよ氷店/香西照雄
母こぼす孫なき引け目夏氷/谷口桂子
佳き酒の舌にころぶよ夏氷/石川桂郎
夏氷掻くや白雪にはかなる/日野草城
暗き町やたまたま床屋氷店/正岡子規
夏氷挽く片足を載せしまゝ/岸風三樓
先づたのむ大木の下や夏氷/篠崎霞山
氷店がひよいと出来て白波/尾崎放哉
俳句例:61句目~
舌先が莫迦になるまで氷水/高澤良一
口染めてきんとと色の氷水/高澤良一
渓遊の草履も売りて氷店/佐藤星雲子
相席の旧知のごとし氷水/山口貴志子
年寄りの部類に入るか氷水/高澤良一
弾き終へし楽士と語る氷水/岩瀬木蘭
雨のふる町見て旅の氷店/高田風人子
損してもこの道をゆく氷水/後藤綾子
新宿の地価折り込みの氷水/高澤良一
かき氷哀し風紋の呪術の端/伊丹公子
母の双乳白煙なせり氷水/磯貝碧蹄館
夏氷生きのこりいて匙の音/三上史郎
主語略す会話しばらく夏氷/谷口桂子
かき氷食ひ桔梗の花を見る/田中裕明
食べ残る頃に色よき掻き氷/土生重次
氷水きて緋毛氈の端濡らす/石川桂郎
をみなごの躾おこたる氷店/筑紫磐井
氷水伊豆見屋と云ふ海の家/高澤良一
削氷の山の高きは掌に払ふ/鈴木栄子
氷水とけし玻璃器へ湖の青/羽部洞然
俳句例:81句目~
削氷の荒屑ふふみ堪ふ旅愁/森川暁水
氷水ぶりきの匙の曲りたる/水原春郎
削氷や潮路に朱鳥こゑ嗄れて/上村占
氷水メロン振りかく目分量/高澤良一
削氷や顔かたむけて吹く笛に/中田剛
かき氷粗きを契し湖北なる/亀井糸游
黒胴の馬ひかるかな氷水/榎本冬一郎
音たててこの世揺れをり氷水/長谷川櫂
めりんすの帯のあやめや氷水/増田龍雨
ゆきすぎて戻るバスあり氷水/石橋秀野
デカルトのやうな貌して氷水/米山幸喜
俳諧はさびしや薬缶の氷水/藤田あけ烏
匙向けてこれの炎口へ氷水/赤松けい子
喪服きて固きふところ氷水/赤松ケイ子
夏氷挽かれてすぐに運ばるる/池田秀水
掻き鳴らし我が家自家製氷水/高澤良一
日焼顔見合ひてうまし氷水/水原秋櫻子
母棲んでしんかんたりや氷水/清水基吉
水になるまで信じてゐた氷水/櫂未知子
氷水いたこの席にとどきけり/皆川盤水