「心太」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「心太」について
【表記】心太
【読み方】ところてん
【ローマ字読み】tokoroten
子季語・関連季語・傍題・類語など
・心天(ところてん:tokoroten_)
・石花菜(ところてん:tokoroten__)
・こころぶと(こころぶと:kokorobuto)
・こころてん(こころてん:kokoroten)
・心太突き(ところてんつき:tokorotentsuki)
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季節による分類
・「と」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
心太を含む俳句例
軒下の拵へ滝や心太/一茶
心太人各が銭勘定/石井露月
処得し一本杉や心太/野村喜舟
心太箸の下ゆく桂川/高田蝶衣
腹掛の紺の匂や心太/石井露月
湾二つ一望にして心太/毛塚静枝
心太冷水もって口直し/高澤良一
出女や水鏡見るところてん/木導
山風や桶浅く心太動く/子規句集
嘴熱きおうむを肩に心太/渋谷道
心太箸より逃ぐる字の形/河野薫
それぞれの私が語る心太/秋尾敏
順礼のよる木のもとや心太/其角
反橋の風を眺めに心太/山田弘子
心太峠の茶屋の隠し味/小島左京
心太くふ炎天の人の餓/西島麥南
心太さかしまに銀河三千尺/蕪村
石縋の湧水さはに心太/山本牧秋
松の幹映りし水の心太/高浜虚子
皿底にある焼瑕や心太/松藤夏山
俳句例:21句目~
白馬の雲湲見ゆる心太/田中冬二
甘酒や同じ夏なる心太/尾崎迷堂
心太水晶簾と賛すべく/寺田寅彦
心太押し出す無重力の闇/大屋達治
洛外や草鞋売る家の心太/角田竹冷
家ぬちに風通る日や心太/高澤良一
水の中へ銭遣リけらし心太/炭太祇
喉すぎてより心太形成す/今瀬剛一
あさら井や小と遊ぶ心太/小林一茶
栴檀の花散るや桶の心太/寺田寅彦
心太啜つて自問自答かな/石井露月
心太皿も漬けあり渓の水/肥谷祥貞
話題なき夫婦の卓の心太/田中照子
心太雨の蘇州を描きし皿/田中冬二
心太する~臍に応へける/楠井不二
かゝる日や今年も一度心太/炭太祇
籠居や芥子きかせて心太/水原春郎
筧水打ちどほしなり心太/高浜年尾
無雑作な木榻があり心太/富田潮児
相似たる店構へなり心太/杉山加代
俳句例:41句目~
心太売れゐて新しき季節/後藤立夫
ひるすぎの町音にゐて心太/桂信子
旅中頑健飯の代りに心太/高浜虚子
交渉の一押し二押し心天/三枝青雲
心太の辛味や灘の波けぶる/中拓夫
病室四人話のもとの心太/影島智子
麦の穂の中の茶店や心太/松藤夏山
心太に松風落ちぬ桶の中/松瀬青々
父と子の夢食ひ違ふ心太/高橋悦男
馬の蠅吹く谷風や心太/大谷碧雲居
心太みづうみ遠く煙りたる/桂信子
旅人や山に腰かけて心太/小林一茶
心太煙のごとく沈みをり/日野草城
心太燦々と灯を掬ひをり/村上光子
甘酒や一樹の蔭の心太/松根東洋城
いつも寄る仏の里の心太/香下/六子
酢に噎せて母の聲聴く心太/石塚友二
高波の夜目にも見ゆる心太/川崎展宏
ところてん製造元の大竿灯/高澤良一
どやどやと順礼のきて心太/藤崎/実
俳句例:61句目~
みちのくの水の味しれ心太/正岡子規
ところてん逆しまに銀河三千尺/蕪村
歌仙巻き名残りの裏の心天/伊藤敬子
華客おほ方兵等壮んに心天/石塚友二
出格子の暗さ程よき心太/白澤よし子
噴井戸を店に持つかな心太/野村喜舟
寺二つばかり見てきて心太/高澤良一
山頂は見えざるままよ心太/如月真菜
心太いま渉りきし川のこと/岸本水馬
心太すすれば山雨到りけり/皆川白陀
心太の四つ揃はぬ小皿かな/会津八一
心太みじかき箸を使ひけり/古舘曹人
心太ゆすつて見るや皿の上/栗島狭衣
心太わが幾山河も映りいて/吉本和子
心太不意に昔のありにけり/椎名書子
心太喉通るため透きとほる/後藤立夫
心太大阪暮らしややに慣れ/西村和子
心太天地が踊ることを云ふ/吉野裕之
心太梅を洗ひし手に掬ふ/百合山羽公
心太水に沈みて無きごとし/長谷川櫂
俳句例:81句目~
心濁るから心太など食ふな/今瀬剛一
思ひ出し笑ひに噎せて心太/矢島渚男
旅心太藺の花にすがすがし/高野素十
日本に生きるほかなし心太/山本左門
次の間へ白き手がのび心太/柿本多映
永遠に泣いていたいの心太/池田澄子
浅草の辛子の味や心太/久保田万太郎
簀の外の路照り白らむ心太/富田木歩
草屋なる茶店なりけり心太/尾崎迷堂
街騒を扉で断つ店や心太/稲野由紀江
観て歩くだけの古美術心太/宮野一磴
身の上をさらりと語り心太/山田弘子
辛子黄に梅雨上りけり心太/永井龍男
心太売り切れし水道へ撒く/鈴木半風子
出るものは俄文人ところてん/加藤郁乎
すっとした顔になりたる心太/高澤良一
むらぎもの影こそ見えね心太/安東次男
もとの水にあらぬしかけや心太/炭太祇
やつと手の空きし妻来て心太/高澤良一
心太手目にせんとおぼしめす/蕪村遺稿