「粽」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「粽」について
【表記】粽
【読み方】ちまき
【ローマ字読み】chimaki
子季語・関連季語・傍題・類語など
・茅巻(ちまき:chimaki_)
・粽結う(ちまきゆう:chimakiyu)
・粽解く(ちまきとく:chimakitoku)
・笹粽(ささちまき:sasachimaki)
・菰粽(こもちまき:komochimaki)
・菅粽(すげちまき:sugechimaki)
・笹巻(ささまき:sasamaki)
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季節による分類
・「ち」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「初夏」に分類される季語
月ごとの分類
粽を含む俳句例
とく時の心安さよ笹粽/袖
白鷺や芦の葉分のむき粽/西調
粽解て芦ふく風の音聞ん/蕪村
粽結ふ夕べ明るき濤頭/福島勲
雨烈し粽に紐の卍なす/森田博
還暦やことし粽の紐固き/井上雪
腹中の泪羅測らん青粽/高橋睦郎
風吹て粽の動く柱かな/正岡子規
軍服の若き遺影や笹粽/久保正俊
こひしらぬ女の粽不形なり/鬼貫
粽結ふかた手にはさむ額髪/芭蕉
三方に恭しさの粽かな/野村喜舟
母の膝娘の膝や粽結ふ/高野素十
粽供ふ宝物館の鎧にも/品川鈴子
神棚の前に車座粽結ふ/浅井陽子
恋こめて妹が手伝ふ粽かな/青白
空ひろき越後に祝へ笹粽/森澄雄
粽結ふ板敷に風心地よき/西村和子
なぐさめて粽解なり母の前/炭太祇
越の湯や鬼粽添へ朝の膳/岡田日郎
俳句例:21句目~
蛙囃す荵ほど長き芦粽/百合山羽公
蒼ざめし男の化粽桜樹下/柿本多映
草花にくくり添へたる粽かな/一茶
江に添うて家々に結ふ粽かな/巣兆
粽結ふ一束の笹深山より/前田普羅
花の宵粽の葛に舌冷やす/石川桂郎
粽結う藺草一尋のはやわざ/澁谷道
きくの日も粽売るなり山の町/玄風
粽の盆胸の高さに六年生/川崎展宏
粽とく子連れ女の萩江節/加藤郁乎
古盆やのせて年々大粽/楠目橙黄子
古里の湿り気残し粽笹/井戸村知雪
笹粽誰れ分けそめて砂糖の露/露旬
直筆の船鉾粽もらひけり/茨木和生
粽蒸す火色鮮し雷のあと/山岸治子
妾が家は江の西にあり菰粽/炭太祇
笹粽絵本の上でほどきけり/森靖子
粽結ふ母と娘に師は遠し/森田愛子
白河の関まで三里笹粽/荻原都美子
幟とも竹のよしみや笹粽/横井也有
俳句例:41句目~
故郷は昔ながらの粽かな/高浜虚子
時鳥繁く鳴く夜の粽かな/野村喜舟
粽解く晩学の指節太に/千代田葛彦
大いなる山見し夜の笹粽/兒玉南草
粽笹桶に漬けある青さかな/富安風生
ボロ市や湯気の中より笹粽/小林実美
粽持つ一寸法師のつかひ哉/正岡子規
鉄積みし男手に解く粽かな/中田勘一
はで残す赤元結のちまき哉/正岡子規
粽の香戸毎に匂ふ端午かな/李/國民
流寓のみじかき茅に粽結ふ/木村蕪城
乾山の彼の鉢出でぬ笹粽/松本たかし
湯気立てて韓愈流謫の地の粽/日原傳
傾城をかむろとりまく粽哉/正岡子規
転勤の越後にありて粽結ふ/中田勘一
写真また鬼籍へひとり笹粽/中島斌雄
粽など低くつるすや草の宿/会津八一
十あまり五つをかぞへ笹粽/川崎展宏
厄年の手に受け止めし鉾粽/太田蕗子
笹粽ほどきほどきて相別れ/川端茅舎
俳句例:61句目~
草の戸の粽に蛍来る夜かな/正岡子規
うすれゆく歳月へ結ふ笹粽/武居国子
舞妓居る二階にとかく投粽/楠井光子
夜の街はかつての租界粽結ふ/日原傳
粽解くにも弟の負けてゐず/西村和子
夫に解く一つしか無き笹粽/山崎佳美
さんさんと海の砂照る笹粽/友岡子郷
母の香の粽や母の百ヶ日/高橋寒山子
はで残す赤元結のちまき哉/正岡子規
笹粽結ふも食ふにも二人きり/瀬川蒼
屈原の日の粽結ふ少女かな/黒田杏子
笹粽母は小さくなりにけり/桶井宏子
母作る母のぬくみの粽かな/捧/喜香
山刀伐の笹の青さの粽かな/三宅句生
粽結ふ母も柱もむかしかな/宮下白泉
粽結ふ母に被爆の家のこり/中尾杏子
御岳のこと聞いてゐる粽かな/原田喬
妻の国の粽の粽のさみどりに/中拓夫
笹粽旅の朝餉に添へくれし/高濱年尾
竿かけにかざり粽の幾通り/斯波園女
俳句例:81句目~
文もなく口上もなし粽五把/服部嵐雪
笹粽吊りて昨日とちがふ海/水野宗子
みな遠き故郷持ちて粽食ふ/村越化石
月鉾の高きよりとぶ粽かな/岸風三樓
やはらかき水仙粽御所好み/後藤夜半
霰ふることもありしか笹粽/正岡子規
風わたる粽の下の晝寝かな/会津八一
デパートの産地訛の粽売り/炭谷種子
風景のゆつくり回る粽かな/佐藤淑子
ひとの家に粽結ふ見え妹許へ/下村槐太
ほどきては粽の紐をもて余す/能村研三
ゆきずりの老舗で買ひぬ笹粽/高見孝子
乳吸はせゐて食ぶ粽乳となる/品川鈴子
亡き母の仕草を真似て粽結ふ/川口厚子
山刀伐の地蔵に供ふ粽かな/板垣きぬ子
左手で粽を結ふを見てゐたり/大山文子
母と出て青粽など街にもなし/石川桂郎
母の手をかりて粽の糸むすぶ/長嶋石城
男の子うまぬわれなり粽結ふ/杉田久女
白磁には夢盛り易し笹粽/鍵和田ゆう子