「鮓」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「鮓」について
【表記】鮓
【読み方】すし
【ローマ字読み】sushi_
子季語・関連季語・傍題・類語など
・鮨(すし:sushi__)
・すもじ(すもじ:sumoji)
・箱鮓(はこずし:hakozushi)
・柿鮓(こけらずし:kokerazushi)
・散し鮓(ちらしずし:chirashizushi)
・五目鮓(ごもくずし:gomokuzushi)
・稲荷鮓(いなりずし:inarizushi)
・信田鮓(しのだずし:shinodazushi)
・巻鮓(まきずし:makizushi)
・笹巻鮓(ささまきずし:sasamakizushi)
・毛抜鮓(けぬきずし:kenukizushi)
・松の鮓(まつのすし:matsunosushi)
・握り鮓(にぎりずし:nigirizushi)
・飯鮓(いいずし:iizushi)
・早鮓(はやずし:hayazushi)
・一夜鮓(いちやずし:ichiyazushi)
・鮎鮓(あゆずし:ayuzushi)
・鮎の姿鮓(あゆのすがたずし:ayunosugatazushi)
・鮒鮓(ふなずし:funazushi)
・釣瓶鮓(つるべずし:tsurubezushi)
・宇治丸鮓(うじまるずし:ujimaruzushi)
・鯖の馴鮓(さばのなれずし:sabanonarezushi)
・ハタハタ鮓(はたはたずし:hatahatazushi)
・鯖鮓(さばずし:sabazushi)
・ばってら(ばってら:battera)
・昆布巻鮓(こぶまきずし:kobumakizushi)
・松前鮓(まつまえずし:matsumaezushi)
・雀鮓(すずめずし:suzumezushi)
・鱧鮓(はもずし:hamozushi)
・鱒鮓(ますずし:masuzushi)
・蛇の鮓(じゃのすし:janosushi)
・大阪鮓(おおさかずし:osakazushi)
・ばら鮓(ばらずし:barazushi)
・あられ鮓(あられずし:ararezushi)
・鮓圧す(すしおす:sushiosu)
・鮓漬ける(すしつける:sushitsukeru)
・鮓熟れる(すしなれる:sushinareru)
・鮓の石(すしのいし:sushinoishi)
・鮓桶(すしおけ:sushioke)
・鮓売(すしうり:sushiuri)
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季節による分類
・「す」で始まる夏の季語
・「夏の生活」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
鮓を含む俳句例
笋の勢にこけたり鮓の石/李由
早鮓に平相国の鱸かな/炭太祇
飯鮨鯉なつかしき都かな/其角
鮓食て先おちつくや祭顔/蒙野
名月や屋台の鮨の美しき/碧童
早鮓や東海の背戸の蓼/子規句集
山崎の使は遅し一夜鮓/大塚甲山
敬老の日の給食の鮪鮨/巌谷小波
鯛鮓や一門三十五六人/子規句集
押鮨に借らばや汝が石頭/谷活東
鯖鮓や縁先は夜の桐畑/岡本高明
鮒鮓や庇の上の彦根城/野村泊月
上方の穴子押鮨春の宵/國島十雨
染付の皿鮎鮓の紅生姜/河野伸子
鮓桶や洗い~し白妙に/尾崎迷堂
船人の近江言葉よ鮓膾/高浜虚子
飯鮓の鱧なつかしき都かな/其角
姿鮨駅弁に鮎姿なさず/石川桂郎
赤貝のひもに終りし夜の鮓/森澄雄
店先の菊美しやあづま鮨/寺田寅彦
俳句例:21句目~
青虫を呑みし岩の脂鮨/高垣美恵子
鮎鮨や子に川筋の話など/今泉貞鳳
三の酉舌に冷たき鮨の貝/野澤節子
早鮓の昼にならぬや初ざくら/和流
鮨くうて皿の残れる春の暮/桂信子
鮎鮨の笹に泳ぎし姿かな/今泉貞鳳
鮎鮓や生きてよし野の瀧の/森鴎外
山々に草木酣けて鮎の鮓/長谷川櫂
信楽や鮒鮓つくる竹の宿/松瀬青々
鮨食べて柿の葉残る戦争や/徳弘純
門前に鮓売る店や門徒寺/寺田寅彦
鮎鮓へ黒き箸また朱き箸/長谷川櫂
鮓売の裏坂すぎぬ竹の月/飯田蛇笏
鮓桶の塗美しき燈下かな/星野立子
鮓の石冷極つて曇りけり/菅原師竹
圧石の力うつりし鮎の鮓/長谷川櫂
憂人の鮓にもすこし初がつを/巣兆
夏柳岸の鮨屋も蔵造り/酒詰万千雄
鮓桶に雀遊べる噴井かな/島田青峰
鮎鮓の駅の山北清水かな/野村喜舟
俳句例:41句目~
鮎鮓に茶の芳しき夕かな/高田蝶衣
湖の鮒鮓の便またむかな/会津八一
鮓うりのかざしにとれや花樗/暁台
婿倅来たりや卒爾の鰯鮓/岩木躑躅
鮎鮓に染付の藍匂ふかな/田阪笑子
鮓宿へ旅人下りぬ日の峠/飯田蛇笏
馴鮓の飯の白妙啖ひけり/日野草城
楽屋団欒して鮓圧せり夏朧/久米正雄
此宿や飛瀑にうたす鮓の石/飯田蛇笏
水重くして寒鯉の鮨うごく/岩田由美
海凍る国に鮭鮓甘きかな/河東碧梧桐
涛声に簀戸堪へてあり鮓の桶/原石鼎
濤声に簀戸堪へてあり鮓の桶/原石鼎
釣瓶鮨ありと聞き来し町暑し/森田峠
燕とび喪服の婦人鮓購へり/宮武寒々
百韻の巻完うして鮓なれたり/森鴎外
砧うてば破れ了りぬ鮓の石/千家元麿
つゝましき暮しながらに祭鮓/山中晋
竹院や野風にさます鮓の飯/松瀬青々
はや鮓の蓋とる迄の唱和かな/炭太祇
俳句例:61句目~
芭蕉忌や残んの菊に鮓寒し/松瀬青々
諸子鮨八荒すぎし比良の相/水野好枝
通し土間奥を灯せる鮒鮓屋/田中英子
一夜鮓廬山を横に眺めけり/松瀬青々
遊学の子とお別れの鮨の宿/吉田きみ
世阿弥忌の乾びはじめし姿鮓/辻桃子
鮎鮨や吉野の川は水痩せて/佐藤鬼房
飯桶を伏せて鮎鮓休みの日/後藤夜半
飯粒の臍もれ白し雀鮓/安斎桜カイ子
今少しなれぬを鮓の富貴哉/高井几董
鮎鮨や山を幾重にわが母郷/近藤一鴻
鮒鮓の桶のゆるびも十二月/草間時彦
手づくりの芹鮓開き湯治客/坪根里杏
鮒鮓やたずねて空気濃き入江/澁谷道
鮒鮓や瀬田の夕照三井の鐘/正岡子規
鮒鮓をねかす月日の波の音/高見岳子
鮒鮨の桶の封切る春まつり/羽田岳水
鮒鮨の譜代伝はる重石かな/橋本鶏二
鮓つくる主婦に宵宮の祭笛/石塚友二
鮓のれん尻切蜻蛉来て止る/萩原麦草
俳句例:81句目~
夕立や鮓売る男しとゞなる/寺田寅彦
鮓の石金輪際に据ゑにけり/前田普羅
天皇誕生日未明に鮨を匂はしめ/林翔
鮓一つつまんで神楽面つける/松本旭
鮓切るや主客五人に違ふ皿/前田普羅
鮓売も人におさるゝ祭かな/横井也有
鮓腹に吉野の山河帰りなむ/皆吉爽雨
鮨にぎる手がガラス越し春霰/桂信子
鮨を食うまで数々の武勇伝/田浪富布
我老いて柿の葉鮓の物語/阿波野青畝
鮨屋へのカレーの出前油照/山口恵子
鮨桶の中が真赤や揚雲雀/波多野爽波
押鮓や一番神輿門を過ぐ/本多ちづ子
鯉はねる音を真近に一夜鮓/森尾仁子
鱒鮨や火山の死活ならべ見る/菅裸馬
鱧鮓を膝に金比羅囃子かな/壺井久子
東の市干鱈/鮓など賣る女/筑紫磐井
松園の絵雛更けゆく温め鮓/大島民郎
あなご鮨うまし夕潮満ち来たり/谷迪子
鮓の香や酢なめ仙人古き画に/野村喜舟