「泉」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「泉」について
【表記】泉
【読み方】いずみ
【ローマ字読み】izumi
子季語・関連季語・傍題・類語など
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季節による分類
・「い」で始まる夏の季語
・「夏の地理」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
泉を含む俳句例
闇美し泉美し夏祓/素十
潺潺と冬泉あり土葬村/小澤實
中年の恋の暗さよ草泉/三谷昭
山の冬泉の鯉も朦朧と/森澄雄
近よらば泉の声の遠去らむ/玄
林中にわが泉あり初茜/小澤實
み仏と泉と庇同じうす/森田峠
浴泉のエメラルド色花曇/桂信子
鍋皿を泉に鎮め小正月/金谷信夫
薫風の泉なるべし大榎/本宮鼎三
諏訪口は泉の色の暮春かな/直人
心身の離合泉のこゑ聴けば/槐太
老い母は噂の泉柿の秋/草間時彦
落椿林泉潮を湛へたり/岡本松浜
水中に水鮮しき冬泉/正木ゆう子
泉噴く千万の音退けつ/中村汀女
大旱や泥泉地獄ふつふつと/誓子
年忘酒泉の太守鼓打つ/正岡子規
牛蒡一束泉に座る年の暮/原田喬
人声のして泉湧く町の端/桂信子
俳句例:21句目~
泉への道や全き落し角/大石悦子
泉居前広場の雨後の蟇/橋本榮治
山男老いては集ふ泉あり/有働亨
山椒秘めて林泉夏木立/吉屋信子
泉干る女足音多きゆえ/萩原麦草
家の泉鶯ひそむ緑映す/香西照雄
泉殿水かげろふも庇内/高木晴子
木蓮や泉石の幽今春に/尾崎迷堂
秋深し泉に己が鼻写る/沢木欣一
冬泉砂を忘れて砂躍る/菅原鬨也
大束の榊をひたし冬泉/綾部仁喜
泉ある証靄立つ寒山中/村越化石
館失せ泉石のこす冬の水/有働亨
震災忌老婆喫泉抱へ飲む/岡本眸
冬泉毛細根も子らも集ふ/香西照雄
日輪の見えて届かぬ冬泉/右城暮石
牛の貌泉を暗くしたりけり/大串章
冬草の弾力恃み泉まで/中戸川朝人
泉へのかぐはしき闇夜鶯/小池文子
凍る沼凍らぬ泉道は奥へ/森川光郎
俳句例:41句目~
泉に浸け少年の脛短か/上田五千石
泉なほ湧く天領の廃銀山/品川鈴子
水底にものの双葉や初泉/綾部仁喜
南半球泉に映る星の房/橋本美代子
泉と別れ一樹なき谿直登す/有働亨
台風待つ一燭泉めく暗さ/友岡子郷
谷底の癩者の家の泉など/香西照雄
草原の径は泉の森へ消ゆ/山田弘子
満月の泉飲む胃の形見え/今瀬剛一
波郷忌の泉に生きて水馬/向笠和子
林泉の起伏の奥の櫨紅葉/中野陽路
苔青く冬の泉の底うごく/川崎展宏
泉飲む仔馬に風の茨垂れ/飯田龍太
花終りぬ泉いよいよ黝し/栗生純夫
喫泉に百万石の蝉しぐれ/田中英子
泉石をはづるる滝や青嵐/飯田蛇笏
泉湧く朴の花影片寄せず/羽部洞然
泉渾々飯島晴子自裁せり/鈴木鷹夫
四阿は風の十字路泉噴く/田中水桜
色鳥や森は神話の泉抱く/宮下翠舟
俳句例:61句目~
泉殿鏡面消えし古鏡吊る/橋本鶏二
腕時計外す泉の底得んと/河野南畦
どか~と泉の深さ底磊塊/西山泊雲
肌沈め野分の泉底明るむ/筒井節子
林泉は富士の伏流榛咲ける/轡田進
春遅し泉の末の倒れ木も/石田波郷
朝の裸泉のごとし青年立つ/島津亮
大寺の寒泉の声聞きに来し/有働亨
枯葎とくとくと鳴る坂泉/巌谷小波
泉掬む山人面上げにけり/河野静雲
老人の笑ひて秋の泉かな/井上康明
死火山麓泉の声の子守唄/西東三鬼
泉まで遡る蝌蚪黒緊り/中戸川朝人
宿とればすぐ泉べに炊ぐ娘よ/爽雨
泉屋の跡に落葉が彩重ね/田中英子
泉屋の壓に蚊の鳴く夕哉/正岡子規
榛の枝を山蛤おつ泉かな/飯田蛇笏
汗冷えつ笠紐浸る泉かな/飯田蛇笏
少年の鱗のひかる泉かな/近三津子
沢瀉に泉の蜻蛉生れけり/根岸善雄
俳句例:81句目~
山中や泉を寝かせ涅槃雪/村越化石
岩穿ちけるを昔に泉かな/尾崎迷堂
紅葉して引湯泉質二系統/高澤良一
崖泉玉とたばしる太郎杉/巌谷小波
巌より湧く泉には齢なし/津田清子
松籟の泉の底に起りけり/牧野春駒
己が顔映りて暗き泉かな/野村泊月
帽燈や坑の泉は声あげて/小林康治
残雪や狩くら神の泉鳴る/巌谷小波
林泉のやがて淙々水羊羹/川端茅舎
手を洗ふ冬の泉に小鳥影/田村一翠
秋晴のトレビの泉人の群/河野静雲
蝕月に泉都の一夜松の内/宮武寒々
旅人の影を重ねし泉かな/成瀬正俊
赤き馬車泉に掬める少女待つ/林翔
透明な泉はぬくし病父に冬/飴山實
逢ひにゆく枯山中の一泉/宮坂静生
邯鄲や叢中泉あるごとし/羽部洞然
雪中や泉は底の石うごく/長谷川櫂
世阿弥の手巌の真下より泉/中田剛