「出水」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「出水」について
【表記】出水
【読み方】でみず
【ローマ字読み】demizu
子季語・関連季語・傍題・類語など
・夏出水(なつでみず:natsudemizu)
・梅雨出水(つゆでみず:tsuyudemizu)
・出水川(でみずがわ:demizugawa)
・水害(すいがい:suigai)
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季節による分類
・「て」で始まる夏の季語
・「夏の地理」を表す季語
・「仲夏」に分類される季語
月ごとの分類
出水を含む俳句例
出水の加茂に橋なし夏祓へ/蕪村
流木の骨狼藉の出水跡/福田蓼汀
童はや出水の筏漕ぎ慣れぬ/林翔
大出水引きたる水に水馬/右城暮石
大演習出水の稲を踏渡り/増田龍雨
出水引き馬焼く煙磧より/亀井糸游
出水禍の十一月も畳なし/近藤一鴻
銃剣の州兵屯す出水町/保田白帆子
只独出水の湯女の迎傘/阿波野青畝
位牌先づ二階に移し出水急/小林石
梅雨出水人群れ頭上大鴉/細見綾子
出水踏み関草食みをり放牧馬/林翔
盃を手に眺めゐる庭出水/岡本松浜
庭先に現れし出水の助け舟/安原葉
玉垣を借りて出水の畳干す/森田峠
出水や牛引出づる真暗闇/村上鬼城
出水を名残り弱々し浮く/喜谷六花
朝顔の出水を渡る鼠かな/河東碧梧桐
雨乞のあげくの果ての出水かな/一茶
月照るや一途に濁る出水川/松村蒼石
俳句例:21句目~
山川は卯の花腐しさへ出水/加藤其峰
輪中村囲みて濁る梅雨出水/松井利彦
みみしひの鶺鴒春の出水川/松村蒼石
山々がまさをに囲む出水川/相馬遷子
蝙蝙や出水明りに書く手紙/久米正雄
蝗とびつきて出水の渡舟着く/森田峠
胡瓜棚傾きうつる出水かな/野村泊月
一昼夜流れて目減り出水川/高澤良一
一村の墓流したる出水かな/加藤斐子
二日月ひくく出水の人叫ぶ/小宅容義
放心の妻の手をとり出水中/増富草平
干大根出水のものは干しをへて/林翔
今日晴れて布ひるがへす出水跡/林翔
種麻につく群雀や出水原/金尾梅の門
八方に殖やす出水の恩と黴/近藤一鴻
着流しの男見に来し出水川/松村幸代
山川の出水一縷の葛ひたし/山口青邨
天竜の出水汚れの乱れ萩/小田実希次
白日に出水の泥の亀裂かな/沢木欣一
犬耳を立てて走れり簗出水/橋本鶏二
俳句例:41句目~
六甲の山肌さらに出水跡/鈴鹿野風呂
庭先に出水禍のもの並べ干し/北川草
沢出水老鴬の昼闌けにけり/石川桂郎
橋脚に水引つ掛かる出水川/山口誓子
出水して森の奥なる月明り/中川宋淵
出水禍の流木を積み通行止/西本一都
玉葱の流れて来るや出水川/岸本尚毅
桑原に登校舟つく出水かな/芝不器男
杭といふ杭に芥や出水引く/下村梅子
岩の上に出水名残の岩乗れり/森田峠
山川は出水してをり葛の花/高濱年尾
鶏が棒鳴きをして出水して/佐々木六戈
づぶ濡れの棹一本の出水舟/百合山羽公
ひらひらと真菰悲しき出水中/高野素十
まぎれなき出水の上の鴉の巣/宮岡計次
わが庭のノアの洪水梅雨出水/大中祥生
人呑みし川に出水のもの洗ふ/藤浦昭代
今年亦出水に住むべき蚊遣哉/増田龍雨
出水して墓地沼底や時鳥/長谷川零餘子
出水の量見る提灯や月草に/石島雉子郎
俳句例:61句目~
出水修羅駆け去り堤曼珠沙華/近藤一鴻
出水川とゞろく雲の絶間かな/飯田蛇笏
出水川徒渉り来て朝の彌撒/下村ひろし
出水引き蛇垂る桃樹月さしぬ/宮武寒々
出水後の蘆色もどる泳ぎかな/中村汀女
出水野に一軒ポツと朝灯/阿部みどり女
卯の花のさながら腐つ山出水/石川桂郎
各戸一炉出水に映る灯もありて/堀葦男
夜といふ不安の中に出水守る/河野扶美
大阪へ出る途中はや出水して/高濱年尾
寝返りの闇に出水の闇ありぬ/城取信平
小波をたてて出水田夜となる/今瀬剛一
山の秀の山にしづもる出水後/宮坂静生
山径の礫あたらしき出水あと/田原央子
峡の家夜すがら灯す出水かな/芝不器男
峡の田を沢蟹はしる出水あと/太田蓁樹
梁に手かけてのぞく出水かな/橋本鶏二
往診のこゝより行けず梅雨出水/瓦玉山
日のさして力みなぎる出水川/石井健作
梅雨出水あばれ遭難碑を倒す/岡田日郎
俳句例:81句目~
梅雨出水烏飼はれて遊びをり/石川桂郎
梅雨出水簗の緊張つづくかな/大橋敦子
梅雨出水蘆が簾のごとく揺れ/松村蒼石
梅雨出水鳥飼はれて遊びをり/石川桂郎
梅雨出水鴉飼はれて遊びをり/石川桂郎
橋脚にかかれるものも出水跡/西村和子
海をなす出水に障子洗ひけり/鈴木花蓑
淋しさや出水の岡の蕎麦の花/高浜虚子
牛小屋の小戸を外しぬ出水急/三星山彦
鶏抱いて来り刻々出水増す/百崎つゆ子
立臼の浮いて倒れし出水かな/野村泊月
草花にあはれ日のさす出水かな/原石鼎
鉄橋を歩くほかなき出水かな/福井一福
あはれなる出水話のをかしさに/京極杞陽
出水見に行きてなか~戻り来ず/下村非文
夏出水ピカソがそつと泣くことも/鷲田環
一歩づつ出水を鳴らし夜の往診/川上季石
羊蹄花や出水の泥にまみれ咲く/佐々赤竹
ぽつてりと没日ありたる出水村/山尾玉藻
出水跡畝なしに菜種振り蒔けり/高田蝶衣