「夏の川」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「夏の川」について
【表記】夏の川
【読み方】なつのかわ
【ローマ字読み】natsunokawa
子季語・関連季語・傍題・類語など
・夏川(なつがわ:natsugawa)
・夏河原(なつがわら:natsugawara)
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季節による分類
・「な」で始まる夏の季語
・「夏の地理」を表す季語
・「三夏」に分類される季語
月ごとの分類
夏の川を含む俳句例
夏川や流るゝものゝ美しき/宋阿
夏川も語れり遠野物語/高澤良一
玉堂の昔の川の夏の音/高澤良一
死ぬまでの自由時間を夏の河/林桂
夏川や行きて憐む石の痩/尾崎紅葉
湖にはじまる流れ夏の川/武石花汀
夏川の堤に花をつちかへる/瀧春一
夏川や水の中なる立咄し/正岡子規
夏川や釣鐘つんで船の幕/会津八一
夏川の美しき村又訪はん/高野素十
孫六湯前夏川の展けたり/高澤良一
川下の郷へ雛増す夏の川/池上樵人
夏川辺柳を蘆の中にかな/尾崎迷堂
夏川や鳥居太しき登山口/小澤碧童
夏川や城を出て来て馬洗ふ/竹村秋竹
夏の河美貌の少年工が佇つ/草間時彦
夏川を越すうれしさよ手に草履/蕪村
河原草浸して広し夏の川/石島雉子郎
夏川に濯ぎて遠き子を思ふ/中村汀女
夏川に銭落しけりかち渉り/長倉白人
俳句例:21句目~
夏川のここらが熊の通り道/高澤良一
夏の川子の眼が流れ雲流れ/二村典子
夏川や砂さだめなき流れ筋/飯田蛇笏
夏川の昏れて青竹を牛負ひ来/森澄雄
処女のごと自由奔放夏の川/菖蒲あや
夏河を越すうれしさよ手に草履/蕪村
夏川を渉る女の齢見えて/文挟夫佐恵
夏川の流れ少なに底い石/四十物敦子
夏川の声ともならず夕迫る/飯田龍太
夏川の浅きに浸す紙そかな/子規句集
夏の河赤き鉄鎖のはし浸る/山口誓子
屍より死に近くあり夏の河/高澤晶子
夏川の瀬に廻り込む水迅し/高澤良一
夏川のこゑともならず夕迫る/飯田龍太
夏川のみどりはしりて林檎園/飯田龍太
夏川の上ミに一村下モに一村/高澤良一
夏川の仏かへりといふところ/高野素十
夏川の流材溜りし光りかな/楠目橙黄子
夏川や中流にしてかへり見る/正岡子規
夏川を越ゆ双脇に子を垂らし/飯田龍太
俳句例:41句目~
大き湖夏川となり獄をつつむ/松村蒼石
支那の人みな夏川に石投ぐる/岸本尚毅
旅疲れ夏川に眼を落としゐて/高澤良一
義民の碑夏川利根の鳴るなべに/瀧春一
もたれたる手摺の下の夏の川/大谷孝子
夏の川一と度狭まり広さ楽し/香西照雄
夏の川灯影ちゞらせ汪洋と/五十嵐播水
子に送られて朝越ゆる夏の川/廣瀬直人
渺茫と人の香を断つ夏の川/柴田白葉女
はすかひに渡舟ただよふ夏の河/志城柏
地下道は押されて歩く夏の河/対馬康子
あながちに夏川越しぬ酒の酔/尾崎迷堂
対岸にガスタンク据ゑ夏の河/石川文子
埋めてゆく深き夏川声たてぬ/寺田京子
夏川に手を突っ込んで上高地/高澤良一
夏川の雄々しさにおし黙りゐつ/細見綾子
夏川やつたいありきつ里の背戸/立花北枝
訃のしらせうけて夜目利く夏の川/渋谷道
夏川や死後とは知らず横たわる/和田悟朗
夏の川跳んで明日もまた会へる/伊藤昌子
俳句例:61句目~
夏川をかちわたり見る磨崖仏/五十嵐播水
夏川のあなたに友を訪ふ日かな/子規句集
夏川に架かれる橋に木戸ありぬ/高浜虚子
夏川やどこかで笛を吹いて居る/幸田露伴
光りつゝアイヌにとどく夏川ぞ/細谷源二
倶に居れば夏川は粗朶沈めたり/下村槐太
離郷せし身のあとさきに夏の川/対馬康子
起きいでしころは夏川の音ねむる/瀧春一
踏みわたる夏川歩々に澄み流れ/岡本松浜
みずいろの舌もつ夏川市電スト/寺田京子
夏河の涸れしひとつも海に入る/谷野予志
夏川へ茂吉となり切るまで坐る/奈良文夫
夏河を電車はためき越ゆるなり/石田波郷
夏の川さんだらぼつち流れゆき/猪俣千代子
夏川のほとりの土となるも近し/廣江八重櫻
負傷者のしずかなる眼に夏の河/鈴木六林男
夏の川小橋たわゝに水を打つ/正岡子規/寒川鼠骨編
夏川や砂みがきする樽二つ/蘇子句集/木下蘇子、吉田冬葉/松本翠影編