「五月闇」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「五月闇」について
【表記】五月闇
【読み方】さつきやみ
【ローマ字読み】satsukiyami
子季語・関連季語・傍題・類語など
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季節による分類
・「さ」で始まる夏の季語
・「夏の天文」を表す季語
・「仲夏」に分類される季語
月ごとの分類
五月闇を含む俳句例
掌に包む心音五月闇/島田妙子
纜の沈める水や五月闇/橙黄子
娘三人昆蟲館の五月闇/田中裕明
かくれ里猫の鳴音や五月闇/洞雨
大黄の広葉にたまる五月闇/普羅
五月闇青銅厚き地獄門/有馬朗人
桃色に教会灯る五月闇/いさ桜子
一灯の端島灯台五月闇/森山抱石
竹の屁を折節聞くや五月闇/其角
高原の天鼓の蛙五月闇/皆吉爽雨
人の面を流るゝ涙五月闇/前田普羅
五月闇蓑に火のつく鵜舟かな/許六
おしあうて蛙啼くなり五月闇/蓼太
塩だけのおむすび結ぶ五月闇/照敏
五月闇部品満載して通る/森田智子
金剛の杖が先ゆく五月闇/大西昌枝
浜名湖や五月闇なるいさり船/野人
五月闇上げ潮匂ふ船溜り/前島勢津
万丈の杉の深さや五月闇/稲畑汀子
二三日蚊屋のにほひや五月闇/浪化
俳句例:21句目~
建仁寺垣も今宵は五月闇/京極杞陽
五月闇母は眠りて父を待つ/皆吉司
奔放な鞍馬の走り根五月闇/檜紀代
蠣殻の浦々かけて五月闇/前田普羅
鑑真の船出の浜の五月闇/那須和子
峰の灯は王子跡なり五月闇/岡村紀洋
五月闇朝夕ベのわきがたく/鈴木花蓑
大通り空車溢れて五月闇/稲畑廣太郎
半跏坐の内なる吾や五月闇/佐藤鬼房
はらはらと椎の雫や五月闇/村上鬼城
五月闇物干台にはじまれる/京極杞陽
寺門しめ幾重もつくる五月闇/桂信子
子を葬りし縄文大甕五月闇/藤岡筑邨
五月闇秘仏の闇は別にあり/井沢正江
五月闇組紐の色まかせけり/飯島晴子
五月闇腓返りも死後のこと/杉本雷造
潮引くと地蔵囁く五月闇/鈴木真砂女
猫の目の奥の金色五月闇/宇多喜代子
刀身に五月闇来し己が顔/伊藤いと子
縦横に光る木の根や五月闇/西山泊雲
俳句例:41句目~
五月闇躓くことは淫らなり/出口善子
能面の笑みの妖しき五月闇/尾形柿園
芝居見て疲れて戻る五月闇/田中王城
五月闇ここは小浜の小松原/京極杞陽
野良疲れ五月闇より深眠る/影島智子
釣鐘の真下恐ろし五月闇/高橋千恵子
鍵盤に触れし残響五月闇/徳田千鶴子
山姥の大き目と会ふ五月闇/大高千代
面つけて女匂へり五月闇/観世真希子
五月闇匂ふは椎かはた汝か/桑原月穂
髪切りて明るくなりぬ五月闇/平田子
夏闇に梵字ただよふ風葬趾/丸山哲郎
漁火やあまりに高く五月闇/楠目橙黄子
夜の船やあたかも八嶋五月闇/尾崎迷堂
巨き犬立ち迎へたる五月闇/水原秋櫻子
揺るゝ燈に梵字の女体五月闇/宮武寒々
早池峰の五月闇濃し神楽笛/文挟夫佐恵
明るさをまとふ暗さの五月闇/築山能波
津島家の提灯が来る五月闇/文挟夫佐恵
消灯の茶屋吸込みし五月闇/古野四方白
俳句例:61句目~
D51の汽笛若やぐ五月闇/加藤知世子
あつき湯で畳拭かすや五月闇/青木月斗
用多き日なりし戻る五月闇/波多野爽波
男にも素肌のありて五月闇/宇多喜代子
おしらさま装ひ派手に五月闇/有馬籌子
おろおろと夫を探しぬ五月闇/石川文子
かすかにも顔明りあり五月闇/鈴木花蓑
みほとけの千手犇く五月闇/能村登四郎
五月闇より石神井の流れかな/石田波郷
蝶のごと火星はためく五月闇/石松弄涯
五月闇押し拡げゆく出船の灯/芝山吉宣
五月闇汽罐車一台ゆくごとし/山口誓子
五月闇煙吐き休む木曽の汽車/野沢節子
五月闇疲れては声大きくす/古賀まり子
五月闇船の白浪目をあざむく/太田鴻村
五月闇隠岐の漁り火かも知れず/森田峠
人声をともなひ来る灯五月闇/田上斗潮
供華をいつどこへ捨てしや五月闇/槐太
句の友に歩みおくれて五月闇/北村桂子
梅雨闇の野風呂や狐顔ひとり/加藤房子
俳句例:81句目~
句碑のうら木賊のうらの五月闇/京極杞陽
懸垂の頭を持ち上ぐる五月闇/荒井千佐代
戞つと落ちし柏古葉や五月闇/島村元句集
二三歩に地をうしなへり五月闇/井沢正江
仏の火絶てばおそろし五月闇/津田汀々子
五月闇蓬髪にはかに櫛折れて/成瀬桜桃子
五月闇日清サラダ油揺れに揺れ/坪内稔典
森てらしすぐる汽車の灯五月闇/西山泊雲
死者のため樹下昼ながら五月闇/鷹羽狩行
五月闇祀るにあらぬ人麿像/長谷川かな女
ははそはのははと呼べども五月闇/江藤淳
海鳥のこゑ洩らしけり五月闇/神尾久美子
黄泉路いま五月闇なり燭を耒る/三条羽村
ねむらねば手術を明日の五月闇/影島智子
五月闇ほのと弥勒のおはします/清田阿賀人
供花をいつどこへ捨てしや五月闇/下村槐太
海老網によき夜といへり五月闇/八木林之介
とある梅雨闇箒先のみ現れて消ゆ/香西照雄
やはらかきものはくちびる五月闇/日野草城
鍬先減り旧知の梅雨闇そこここに/香西照雄