「夕凪」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「夕凪」について
【表記】夕凪
【読み方】ゆうなぎ
【ローマ字読み】yunagi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・夕凪ぐ(ゆうなぐ:yunagu)
–
季節による分類
・「ゆ」で始まる夏の季語
・「夏の天文」を表す季語
・「晩夏」に分類される季語
月ごとの分類
夕凪を含む俳句例
夕凪や仏勤めも真つ裸/寸七翁
夕凪の瀬尻は水の性つよし/龍太
夕凪の雲美しく寒の果て/原石鼎
夕凪や菊畑の人ものをいふ/有風
夕凪に油槽つむあつさかな/几董
夕凪やのこぎりでひく大鮪/盤水
草屋根の丹波夕凪蜆蝶/斉藤夏風
夕凪や使はねば水流れ過ぐ/耕衣
播州の夕凪桃を見て来たり/魚目
どの家もいま夕凪の伊予簾/つる女
夕凪の茄子一鉢の艀に老ゆ/中拓夫
夕凪や赤錆しるき帰港船/松本幹雄
夕凪や推理小説あと一行/油井和子
夕凪や裸をあぶる火の匂ひ/瀧春一
夕凪に乳啣ませてゐたるかな/正雄
夕凪や抜け道多く漁師町/松本末生
夕凪やとぶ鯔とわが櫂の音と/柳芽
夕凪に鎌倉垣の厚さかな/久米正雄
夕凪や瘤太りだす駱駝像/加藤三陽
夕凪や歩いて渡る神の島/磯野充伯
俳句例:21句目~
夕凪や母とありにし真桑瓜/森澄雄
白扇や筑紫の海の夕凪に/野村喜舟
旅三日夕凪地獄三日かな/草間時彦
夕凪の海を踊の国に来し/西本一都
夕凪や髯美しき機関長/今井杏太郎
夕凪や釣舟去れば涼み舟/杉田久女
夕凪や舟屋に舟の一つづつ/上森成子
夕凪や船客すべて甲板に/五十嵐播水
夕凪や蟷螂鎌を嘗むる也/島村元句集
夕凪や風帆十九までかぞへ/鷹羽狩行
夕凪村赤松がまづ赤くなり/桜井博道
夕凪にわれは嘴もちてをり/飯島晴子
大阪の夕凪に馴れ簾捲く/大橋越央子
夕凪に癩船重く離れけり/八木三日女
暖かやとく夕凪げる杉の幹/中島月笠
海夕凪海に氓びしものの墓/内藤吐天
夕凪に鼻先そろふうからたち/松澤昭
夕凪のあとたゝ白し秋の海/尾崎紅葉
錦鯉の背すじ透りて夕凪す/松村蒼石
青蜜柑はたと夕凪の村となり/中拓夫
俳句例:41句目~
夕凪の垣沿ひに尨犬毛を垂れて/槐太
夕凪の豊後に豊後風土記あり/藤小葩
夕凪はしづか帰山の僧一列/松村蒼石
夕凪や三日月見ゆる船の窓/子規句集
夕凪や入江に舟の舫ひせる/田中冬二
夕凪や坐りて暗き漁夫の母/谷野予志
夕凪や独語ひとつに砂うごく/岸田稚
夕凪や弥撒の戻りの小買物/野中亮介
夕凪や浜蜻蛉につつまれて/臼田亞浪
夕凪や湧水靄を生みやまず/高濱年尾
夕凪や畳に塩をこぼしたる/岸本尚毅
夕凪や磯山紅葉日を溶かす/幸田露伴
夕凪の海岸道路出来つゝあり/高浜年尾
夕凪の椅子引き上げる椅子の塔/竹中宏
夕凪ぎて原子禍の町音絶えし/石原八束
夕凪や旅の小荷物手にさげて/村山古郷
桟橋に出て夕凪の団扇かな/水原秋桜子
夕凪に月も照り添ふ波頭かな/久米正雄
汗涌くや夕凪の稲すく~と/佐野青陽人
夕凪に菩提樹の実の飛行せり/永田耕衣
俳句例:61句目~
夕凪のいま西へ行く舟ばかり/下村梅子
夕凪やまどかに浮ける大海月/日野草城
夕凪や人は故郷を捨てて佇つ/小澤克己
夕凪や寄居虫穴を出てあそぶ/甲賀山村
夕凪の黐木斛にきはまりぬ/渡邊千枝子
夕凪や菰に包みしもの抱へ/白石喜久子
夕凪や渡れば橋の長きこと/佐々木六戈
夕凪の人泣きにゆく墓の前/宇佐美魚目
夕凪の遂に女類となるを得ず/永田耕衣
夕凪の草に寐に来る蜻蛉かな/寺田寅彦
夕凪のますほの小貝見当らず/清水基吉
夕凪や宇宙にいくつ水の星/松山ひろし
夕凪を客にわびつつ簾捲く/五十嵐播水
夕凪や烏賊の胎児の瞳は緑/奥野曼荼羅
夕凪や島にとろりと灯のつきぬ/きくほ
夕凪の汐汲みあげて舟洗ふ/広瀬河太郎
ふくらんで夕凪となる酵母かな/和田悟朗
夕凪ぎて荒布いろなる家の中/福田甲子雄
夕凪にもう電飾のトラック部隊/横山白虹
夕凪に脛まで濡らし桶あらふ/ほんだゆき
俳句例:81句目~
夕凪や行つたり来たり撒水車/田中田士英
夕凪の濃さに息づくカンナかな/久米正雄
怠惰また身を守るすべか夕凪す/草間時彦
神楽師を訪ふ夕凪のひとり舟/能村登四郎
空梅雨の夕凪ぐ漁家の竃火かな/西島麦南
箒木に夕凪ぎて月出でにけり/岡本癖三酔
毛虫焼くいくさの暇の夕凪に/殿村莵絲子
夕凪や舟に目出たきあふり烏賊/榎本好宏
夕凪のおもさ病者が死を待つとき/松村蒼石
夕凪や垂乳あらはにゆきかへる/吉岡禅寺洞
夕凪強しわが身はわが手で洗はねば/北野民夫
はたと夕凪さまざまの恩胸に沁む/榎本冬一郎
高野夕凪ほたるぶくろを吹いて来よ/村越化石