「涼風」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「涼風」について
【表記】涼風
【読み方】すずかぜ
【ローマ字読み】suzukaze
子季語・関連季語・傍題・類語など
・風涼し(かぜすずし:kazesuzushi)
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季節による分類
・「す」で始まる夏の季語
・「夏の天文」を表す季語
・「晩夏」に分類される季語
月ごとの分類
涼風を含む俳句例
涼風や青田の上の雲の影/許六
涼風に月をも添て五文哉/一茶
涼風や力一ぱいきり~す/一茶
涼風を通す柱の黒光り/桂信子
涼風の吹木へ縛る我子哉/一茶
すず風や与市を招く女なし/全
甲子園一瞬燕と涼風と/有馬朗人
涼風や秋月城址蒼天に/沼田夕虹
涼風を落すや雨後の檜山/中勘助
涼風や剣士一団田安門/平野無石
涼風に蓮の飯喰ふ別れかな/史邦
一生の今涼風の仏かな/笹目翠風
涼風に薬をさがす旅鞄/飯田龍太
涼風や障子にのこる指の穴/鶴声
涼風や何喰はせても二人前/一茶
涼風や峠に足をふみかける/許六
洞穴や涼風暗く水の音/正岡子規
涼風の窓あり我は図書頭/森田峠
涼風の鷺の巣映す行潦/大熊輝一
谷五つ渡る涼風麦屋節/伊藤京子
俳句例:21句目~
涼風に飯食ふ主黄昏るゝ/尾崎紅葉
大沢の池の涼風来る写経/大橋敦子
天然の涼風窓より浅草線/高澤良一
心静かにあれば涼風自ら/星野立子
涼風や湧水のある寺の庭/加藤正子
摩天楼涼風とゆく女かな/仙田洋子
涼風や机上に白き貝一つ/吉野義子
木の家や涼風に肩叩く音/中山純子
お岩木の涼風徹る忠魂碑/高澤良一
涼風や押され合たる草と草/千代尼
涼風や左手の石の沈みつつ/岸田稚
涼風の一塊として男来る/飯田龍太
涼風に痩せ細りをる柱かな/上野泰
熟睡子を置く涼風の青畳/佐野美智
涼風の一枚となり野を渡る/押谷隆
涼風の一楽章を眠りたり/矢島渚男
涼風に紙片の如く我吹かれ/上野泰
涼風を輪にして廻る車哉/正岡子規
涼風の出処なるや夏木立/正岡子規
涼風や三蓋松の寺の紋/中戸川朝人
俳句例:41句目~
涼風の這入りて見えぬ紅畑/千代尼
涼風と土間の凸凹昔より/高木晴子
涼風の我眉太し佐渡ケ嶋/尾崎紅葉
吹きぬける涼風前も後にも/星野椿
涼風を入れて細身の百済仏/南恵子
涼風によき計画の又生れ/星野立子
蔀戸をあげ涼風を奉る/吉田花宰相
舟板に涼風吹けどひだるさよ/一茶
涼風の植所なき住ゐかな涼風/千代尼
涼風の自在吾よりも若僧に/野澤節子
涼風の過ぐる終りの風に逢ふ/桂信子
涼風やしづかに消ゆる宿篝/大坂邦子
なほ海天濤声涼風ある限り/香西照雄
涼風やほの三日月の羽黒山/松尾芭蕉
涼風やわれを山から吹下す/正岡子規
涼風や余所の鉦鼓になむあみだ/園女
涼風や太宰生家の通し土間/島田ヤス
涼風や寝起の心よみがへる/寺田寅彦
涼風や愚庵の門は破れたり/正岡子規
涼風や籬の上なる五剣山/鈴鹿野風呂
俳句例:61句目~
涼風や翼のやうに腕ひろげ/矢島渚男
吾子たのし涼風をけり母をけり/篠原
涼風や虚空に満ちて松の声/上島鬼貫
涼風や袂にしめて寝入るまで/千代女
岩を攀ぢ立つ涼風の天狗岳/岡田日郎
涼風や髪の白さを嗤ひあふ/岸風三樓
涼風をいひ秋風をいふ頃ぞ/矢島渚男
日が遠ければ涼風に山揃ふ/飯田龍太
涼風をはやせば蛭が降りにけり/一茶
涼風を腹一ぱいの仁王かな/永井荷風
湯上りや涼風吹て眠うなる/正岡子規
水引の紅の一すぢ涼風忌/赤澤千鶴子
目覚めては涼風をける足まろし/篠原
睾丸に須磨のすゞ風吹送れ/正岡子規
絵馬堂に涼風遊ぶ島の午後/山田弘子
涼風が昔語りをくりかへす/高木晴子
胸元に涼風あつめ峠茶屋/小林ミヨ子
魚板二打涼風よぎる翁堂/三好たけし
すず風の袂に入りし小蝉かな/中勘助
涼風と共に山門くぐりけり/福田勝男
俳句例:81句目~
涼風と思ひゐし間の夕冷も/稲畑汀子
涼風に積古る蚕笊二十枚/八木林之介
涼風に臍吹かれつつ東道す/木村蕪城
涼風に集はれよ道遠くとも/高木晴子
涼風の上野吹くらん杉動く/正岡子規
涼風の中で団扇を使ふかな/高木晴子
涼風の妻に槌目の鍋ひとつ/友岡子郷
涼風の来てゐる燕通しかな/増成栗人
涼風の来て屑籠の転がれり/村越化石
云はむとす事ふと忘れ涼風に/翁長恭子
こつと高き墳の涼風広田より/大熊輝一
涼風や橋のかたちに灯の点り/志村宗明
涼風の裂くばかりなる頁読む/中村汀女
涼風の一日夫を母にかへす/上野さち子
もの思ふほどの涼風立ちにけり/神崎忠
涼風のとどく木賊の前の石/神尾久美子
幼き問ひと涼風にむせぶ日ぞ/友岡子郷
涼風やいのち競へる波頭/鍵和田ゆう子
涼風をあびる木の間の床几哉/正岡子規
信濃びとわれに信濃の涼風よ/相馬遷子