「卯月」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「卯月」について
【表記】卯月
【読み方】うづき
【ローマ字読み】uzuki
子季語・関連季語・傍題・類語など
・卯の花月(うのはなづき:unohanazuki)
・花残月(はなのこりづき:hananokorizuki)
・夏初月(なつはづき:natsuhazuki)
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季節による分類
・「う」で始まる夏の季語
・「夏の時候」を表す季語
・「初夏」に分類される季語
月ごとの分類
卯月を含む俳句例
歌枕卯月曇に松ななめ/木村蕪城
水底の草も花さく卯月かな/梅室
溜池に蛙闘ふ卯月かな/夏目漱石
卯月寒生涯湖の蜆掻く/西本一都
立山の卯月の谺返しくる/萩原麦草
引くときの滅法愉し卯月波/辻桃子
一壷あり卯月曇の空映し/若林北窗
大鳴門卯月曇の渦を見ず/桑田青虎
門々に卯月八日の花を挿す/瀧春一
酒置いて畳はなやぐ卯月かな/林徹
蝋涙や卯月曇の女人堂/櫛原希伊子
茫々と湖上卯月の青曇り/野澤節子
尼寺や卯月八日の白躑躅/飯田蛇笏
良寛堂卯月半ばの雀来て/高澤良一
艇おろす卯月曇の水の上/和田祥子
水底は卯月明りや鴎の死/中村苑子
生涯の佳き日給はる苑卯月/高木晴子
牛蒡たく匂ひに卯月曇かな/青木月斗
烏賊干して卯月曇の船隠し/石本秋翠
吉野葛ときてふたりの卯月寒/築城京
俳句例:21句目~
母似の子卯月曇りの蹠して/栗林千津
御番衆の交代したる卯月哉/中川四明
妹の忌の濤音高き卯月かな/角川春樹
決めかねし卯の花月の旅衣/山田閏子
鑑真像帰る卯月の月明に/冨田みのる
卯月はや筍固くなりにけり/野村喜舟
卯月住むや楓の花と妹ぎり/渡邊水巴
卯月曇ペンキを厚く霧笛室/堀野信子
草刈の帯の赤きも卯月かな/野村喜舟
卯月潮午後を高まる流刑島/大橋敦子
いとど谷に青筋青き卯月かな/野村喜舟
いま見しは大魚か人か卯月波/中村苑子
満ち潮に藻の立つ卯月曇かな/船越淑子
潜戸のわづかな軋み卯月尽/徳田千鶴子
父につよく呼ばれし夢の卯月浪/竹中宏
たそがれの草花売も卯月かな/富田木歩
たまゆらの月の曇りに卯月星/石塚友二
虚無僧の四五人卯月曇りかな/渡辺町子
豆腐佳し今宵卯月の月ありや/斎藤空華
骨肉の情うとく読む卯月かな/西島麦南
俳句例:41句目~
三姉妹卯月の宵を少女めき/佐々木美乎
仏さま杖つき来ませ卯月の夜/村越化石
鶏のはるかを呼べる卯月かな/山本洋子
卯月波白磁のごとく砕けたり/皆川盤水
卯月浪白磁のごとく砕けたり/皆川盤水
卯月野に笑つて沈む明日の陽/佐藤鬼房
卯月野の法隆寺なり詣でけり/尾崎迷堂
卯月野や茜消えなば母も消ゆ/中村苑子
浮灯台ゆらりと卯月波の上/村田豊三郎
大釜に卯月八日の蕎麦滾る/蓬田紀枝子
島近し卯月ぐもりの日は殊に/稲畑汀子
影沼に吾が影寄れる卯月かな/飯島晴子
過去帳に卯月の仏殖えにけり/野村喜舟
淡海にも立ちて卯月の波かしら/飴山實
日はながし卯月の空もきのふけふ/千代尼
越の田個々卯月青空みな容れて/河野南畦
濁り川突きささりゐる卯月浪/中戸川朝人
椎茸の山へ卯月の水を引く/阿部みどり女
卯月浪父の老いざま見ておくぞ/藤田湘子
み名の山卯月の雲のたもとほり/林原耒井
俳句例:61句目~
磧はしる水筋多き卯月かな/長谷川かな女
卯月野やげんげん褪せて水光る/青木月斗
枯山水卯月あかりの木々やさし/河野南畦
山落ちて野を行く水の卯月かな/尾崎迷堂
汐入りの汐さす卯月ぐもりかな/石原八束
松影は卯月こよなきしづけさよ/右城暮石
卯月波父の老いざま見ておくぞ/藤田湘子
卯月野にうち捨てられし手塩皿/柿本多映
卯月紀伊国日中/仮寝寝耳に水/高柳重信
卯月浪この子を抱き飽きにけり/遠山陽子
生まれ家の柱のとよむ卯月かな/柿本多映
文弱のそしりに堪ふる卯月かな/西島麦南
遙かなる国を訪ひ得し卯月かな/高木晴子
酒のあと蕎麦の冷たき卯月かな/野村喜舟
卯月の夜夢見むための身の眠り/村越化石
酢を提げて卯月の山の陰をゆく/橋石和栲
卯の花や誰が卯月より此の曇り/立花北枝
横川まで卯月曇の尾根づたひ/中井余花朗
彼方なる卯月の浪となりにけり/清水基吉
水虎鳴く卯の花月の夜明けかな/飯田蛇笏
俳句例:81句目~
切花に飽いたるひとの卯月かな/安東次男
卯月来ぬましろき紙に書くことば/三橋鷹女
すぐやみしことも卯月の蝉らしさ/市場基巳
はやり来る羽織みじかき卯月かな/立花北枝
弥生卯月と遅遅たり籠に白よもぎ/金子兜太
国境に雪を降らせし卯月かな/長谷川かな女
時しも卯月潮の早瀬の矢の如し/水原秋櫻子
卯月風まるた飛ばぬもかなしけれ/林原耒井
潮に濡れし肩の乾がたう卯月の日/林原耒井
卯月野のほとけの親にあひに来し/西島麦南
くばりあふ卯月八日のよもぎ餅/長谷川素逝
卯月来ぬ吾にてのひらほどの幸/ほんだゆき
仕入れたる茄子の小さき卯月かな/鈴木真砂女
師をしたふこゝろに生くる卯月かな/飯田蛇笏
虫退治の紙切れ貼りし卯月古家/長谷川かな女
蚊の居るとつぶやきそめし卯月かな/高浜虚子
雨つややか卯月あかりの野に出でし/河野南畦
火を焚いて依りどころなき卯月かな/橋石和栲
つやつやと卯月野へもの捨てに行く/永末恵子
この空につづくみちのく卯月晴/阿部みどり女