「桑」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「桑」について
【表記】桑
【読み方】くわ
【ローマ字読み】kuwa
子季語・関連季語・傍題・類語など
・桑の芽(くわのめ:kuwanome)
・桑畑(くわばたけ:kuwabatake)
–
季節による分類
・「く」で始まる春の季語
・「春の植物」を表す季語
・「晩春」に分類される季語
月ごとの分類
桑を含む俳句例
桑畑に人の足音夜明星/龍太
門前の大桑畑寺富めり/上村占
山桑や一棚の蚕の作り徳/船山
桑の花新入社員整列す/本井英
桑畑に無人踏切初筑波/富安風生
長良川少し遡れば桑畑/京極杞陽
桑畑や女蓑着て頬被り/高浜虚子
桑畑に父出て深くなりし冬/原裕
下萌や春まだ浅き桑畑/渡部穀雨
川透きて十一月の桑畑/斎藤道子
蝉殻をぬぐや信濃の桑畑/樋笠文
山桑の花咲く頃の岩狩/高野素十
麦蒔や雉の飛び出し桑畑/藤井紫影
桑畑に喰ひつぶしの毛虫かな/五律
三月の桑畑のぼる男下駄/桜井博道
信濃路は鶏もなかず桑畑/巌谷小波
桑畑の闇を風過ぐ夜の秋/河野南畦
山桑の花白ければ水応ふ/臼田亞浪
凩に桑畑柿の畑も無し/百合山羽公
山桑のひそかの熟れも翁径/有働亨
俳句例:21句目~
桑畑に綿の白さの秋の雲/細見綾子
山桑の淡淡と花盛りなる/高野素十
秋の川桑畑の色を遠ざくる/瀧春一
山鳥の羽音つつぬけ桑畑/皆川盤水
桑畑や枝黄に春の雨上り/滝井孝作
黒牛にかつと夏来て桑畑/臼井千鶴
父在りし日の晩秋の桑畑/倉田絋文
秋の星遠くしづみぬ桑畑/飯田蛇笏
緋桃さく水車の裏の桑畑/寺田寅彦
餅搗の息をどりをり桑畑/中澤康人
ひぐらしや妙義影おく桑畑/河野南畦
桑畑を山風通ふ昼寝かな/松本たかし
山桑黄葉藁雀の鈴が届いた/金子皆子
山桑は花垂らしをり切通/阿波野青畝
冬空や峡にくひ入る桑畑/金尾梅の門
日本の名ある部落や桑の花/橋本晴波
早春の火を焚いてゐる桑畑/永方裕子
山桑の花の風鳴る土用かな/萩原麦草
近道を迷はず抜けて桑の花/稲畑汀子
山桑の花ひたにぬれ春驟雨/飯田蛇笏
俳句例:41句目~
桑畑の闇がしたしく訪れし/木村蕪城
門松のみどり目立つや桑畑/滝井孝作
顧みる人もなけれど桑の花/天沼茗水
桑畑に霧ふる二十三夜月/田口土之子
桑畑のかぎりのはての利根堤/上村占
でこぼこの道の長くて桑の花/小林一行
ほほえんであなたが沈む桑畑/五島高資
七党の地の桑畑や吹きながし/巌谷小波
桑畑を過ぎ行く時に春を待つ/細見綾子
山刀ありやすがあり桑の花/大峯あきら
山桑の家の主婦来る斑猫連れ/金子兜太
山桑は芒の中にゐてむしる/廣江八重櫻
桑畑に幣鍬はじめしたるらし/皆吉爽雨
羽抜鶏山桑畑に来て追はる/石橋辰之助
桑の花信濃乙女のつつましく/平沢桂二
桑の花奥に大きな藁屋あり/石井とし夫
道別れして多摩や民権桑の花/古田/海
桑畑に出て十六夜の月を見し/細見綾子
桑畑の木の間を来たる鶲かな/皆川盤水
桑畑に水音かよふ暮春かな/成瀬桜桃子
俳句例:61句目~
桑畑の径湖へ出づ魂まつり/大峯あきら
桑畑の暗さを秋のはじめかな/椎名/彰
桑畑へあがる渡舟や春寒し/大場白水郎
桑の花そちらまはりて友覗く/八木林之助
桑畑の煙るが如く芽ぶきをり/柴山つや子
冬ふかき日の吹かれをり桑畑/金尾梅の門
色糸のひと日に減りぬ桑の花/神尾久美子
桑畑がぬれるほど降る寒の雨/廣江八重櫻
桑畑を萌黄の雨のとほりけり/岡本まち子
やゝ淋しことありし日の桑の花/帖地津木
桑畑を削ぎ落したる雪崩かな/大橋櫻坡子
雹降りて桑畑はたと無かりけり/高濱虚子
山畑のいよいよ荒れて桑の花/青柳志解樹
桑畑に摘みし蓬のやはらかし/穴井/まき
泳ぎ子のしぶきはや立つ桑の花/米谷静二
桑畑にしづみて村はまだねむる/長谷川素逝
山桑の実をふくみつつ熔岩の道/大久保幸子
桑の花芽に先んじて咲きにけり/細木芒角星
桑の花さみどりに芽は出そろはず/北原白秋
見上げたる老木に垂れし桑の花/水原秋桜子
俳句例:81句目~
桑畑へ不二の尾きゆる寒さかな/久保田万太郎