「蜂」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「蜂」について
【表記】蜂
【読み方】はち
【ローマ字読み】hachi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・花蜂(はなばち:hanabachi)
・小花蜂(こばなばち:kobanabachi)
・蜜蜂(みつばち:mitsubachi)
・熊蜂(くまばち:kumabachi)
・足長蜂(あしながばち:ashinagabachi)
・姫蜂(ひめばち:himebachi)
・黄蜂(きばち:kibachi)
・雀蜂(すずめばち:suzumebachi)
・山蜂(やまばち:yamabachi)
・似我蜂(じがばち:jigabachi)
・黒雀蜂(くろすずめばち:kurosuzumebachi)
・地蜂(じばち:jibachi)
・土蜂(つちばち:tsuchibachi)
・穴蜂(あなばち:anabachi)
・徳利蜂(とくりばち:tokuribachi)
・女王蜂(じょおうばち:joubachi)
・雄蜂(おばち:obachi)
・働蜂(はたらきばち:hatarakibachi)
・蜂飼う(はちかう:hachikau)
・蜂の剣(はちのけん:hachinoken)
・蜂の針(はちのはり:hachinohari)
・蜂の子(はちのこ:hachinoko)
・蜂の王(はちのおう:hachinou)
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季節による分類
・「は」で始まる春の季語
・「春の動物」を表す季語
・「三春」に分類される季語
月ごとの分類
蜂を含む俳句例
甘干へ東山から雀蜂/飴山實
更衣爬虫のいろに蜂腰/蛇笏
腹立て水呑蜂や手水鉢/炭太祇
縄電車蜂一匹に脱線す/柊愁生
落丁や翅のみだれ春の雁/一蜂
蜂光る琉球王の石畳/細川加賀
灯心よあいたいの隈を朧月/一蜂
濁流を一直線に熊ん蜂/沢木欣一
白藤や黒き漆の蜂一つ/後藤夜半
ひとりゐて蜂にさされた/山頭火
文化祭紋章の蜂青天に/平畑静塔
朝涼し巣を離れ飛ぶ蜂一つ/宋淵
塊に蜂歩み居て地震かな/原月舟
声立て居代る蜂や花の蝶/炭太祇
熊ん蜂夏期大学の窓に入る/篠原
夕露に蜂這入たる垣根哉/炭太祇
養蜂の林を裾に春祭/中戸川朝人
青畳足長蜂を先づ招ず/細川加賀
縫箔屋嫉しや花に四方の山/一蜂
夫に吾灸花には熊ん蜂/依光陽子
俳句例:21句目~
蜂行くや嵐蠢く松の梢/石塚友二
実山椒の蜂の分封過ぎ/北原白秋
出舟や蜂うち払ふみなれ棹/蕪村
瀧の水青空へ蜂吹きはらひ/中田剛
洗ひ飯蜂の機嫌を悪くせり/中拓夫
山の蜂見て混浴の二青年/高澤良一
熊蜂の光礫の出入りかな/都筑智子
戸袋へ足長蜂と戸が入る/大石雄鬼
花柿へ高く上りぬ合歓の蜂/原月舟
菩提樹の花の樹海へ蜂放つ/石昌子
山蜂や木丸殿の雨のゝき/蕪村遺稿
水に来し蜂足長く下りにけり/篠原
菊日和虻の饗宴蜂の饗宴/高浜虚子
植ゑるより金蜂花に紅椿/飯田蛇笏
草原や蜂を恐るる狐の子/正岡子規
草むらへ傾く軒や蜂の箱/高田蝶衣
茸汁替ふ蜂の子は蓋伏せて/及川貞
窓近き目覚めに蜂の全き屍/桂信子
端近く蜂のぶらつく残暑かな/青畝
蜂の貌して妻が帰る日暮時/石寒太
俳句例:41句目~
実椿や立つるによわき蜂の針/野坡
手がたきや桜は花に近衛よう/一蜂
夏の蜂石燈籠にとまりけり/原石鼎
打水の一塊となり蜂溺る/右城暮石
濃山吹蝶蜂よぎるものは消ゆ/青邨
濃度増す鹹水槽に蜂溺れ/津田清子
髪に蜂触れし炎昼の憤り/野澤節子
茶屋の昼柱時計を蜂が打つ/桂信子
蜂が蟻はこぶ八月十五日/土屋巴浪
曠野かな朝より蜂の針光る/徳弘純
蛾と蜂の一戦二戦夕永き/堀口星眠
蜂の来て知る楠の帰り花/依光陽子
花冷や翅なきごとく蜂あゆむ/林翔
面々の蜂を払ふや花の春/服部嵐雪
春潮や働き蜂は余恋なく/永井龍男
患者食相似て蜂の一巡す/中嶋秀子
下刈に蜂の巣多し蜂多し/穴井研石
鏘々と藤房鳴りて蜂迷ふ/津田清子
醜男の蜂子皇子の山涼し/細川加賀
赤蜂よこの夏は水塩辛き/依光陽子
俳句例:61句目~
蜂飛翔少年の肉重かりき/新関岳雄
天高し老蜂に又痩蝶に/相生垣瓜人
日影行苑の胡蝶やのらでつち/一蜂
老農夫熊蜂叱り飛ばしけり/大串章
昼月や蜂飼に貸す遊び畑/影島智子
紙袋の蜂の巣誰か流したる/泉斜汀
蜂飛んで野葡萄多き径哉/寺田寅彦
名月や更て来日の蜂高き/松岡青蘿
蜂死して十月の峰天聳る/山口誓子
蜂容れし螢袋は一行詩/小檜山繁子
六尺の人追ふ蜂のこゝろかな/闌更
白河の関の躑躅に熊ん蜂/岸本尚毅
簾突く強蜂三方原の蜂/百合山羽公
花は蜂吹く八人童子の嵐かな/林桂
蜂を飼ふ隣は蜂を憎む哉/正岡子規
蜂窩垂れ天体昏きこと久し/河合凱夫
蜂舐ぶる舌やすめずに蟷螂/山口誓子
蜂飛来して眼圧といふ言葉/高澤良一
蜂飼いの赤髭強き火を焚けり/山口伸
蜂の巣の大きく育ち無人駅/矢部宮居
俳句例:81句目~
蜂の巣の千の暗室母の情事/齋藤愼爾
蜂飼の瞳にあかしやの花ざかり/原裕
蜂飼の磯へ外れゆく金盞花/岡田貞峰
かり~と蟷螂蜂の貌を食む/山口誓子
蜜を吸ふ度に蕊打つ蜂の尻/徳重怜子
蝶とんぼ蜂みな友や露の庭/高木晴子
蝶去って其時早く蜂の来る/寺田寅彦
蝶蜂に牡丹まばゆき山家かな/原石鼎
蝶蜂も死にて花野の終る時/細見綾子
ころぶすや蜂腰なる夏痩女/芝不器男
蜂の巣に虻のとびよる落葉かな/九湖
さはらねば赤蜂美しき故郷/永田耕衣
蜂の巣に爰源八の宮居かな/高井几董
足垂らす蜂と親しき時しばし/桂信子
軒裏の蜂の古巣や枇杷の花/会津八一
返り花蝶蜂を呼ぶ賢治の碑/津田清子
蜂の子をのがれて蝶の育ちかな/丈草
野の蜂や夢に夢継ぐ羽の色/永田耕衣
篁や蜂の羽音をかくさざる/石川桂郎
鉢々と留主の間めぐる田植かな/示蜂