「桜貝」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「桜貝」について
【表記】桜貝
【読み方】さくらがい
【ローマ字読み】sakuragai
子季語・関連季語・傍題・類語など
・紅貝(べにがい:benigai)
・花貝(はながい:hanagai)
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季節による分類
・「さ」で始まる春の季語
・「春の動物」を表す季語
・「三春」に分類される季語
月ごとの分類
桜貝を含む俳句例
石原や鮠の腸ぬく萩の花/貝寿
桜貝長き翼の海の星/波多野爽波
貝細工その花弁の桜貝/福田蓼汀
桜貝帝は水にあり今も/須原和男
現し世の今美しや桜貝/後藤夜半
一二三四五六七八桜貝/角田竹冷
砂も亦美しきかな桜貝/高濱虚子
櫻貝片方忘じ易く候/佐々木六戈
学海に餘滴てふもの櫻貝/田中裕明
熱高き子の耳たぶと桜貝/仙田洋子
心うちしめりて拾ふ桜貝/後藤夜半
現し世のいま美しや桜貝/後藤夜半
真珠より大切な日を桜貝/能美澄江
拾はれて海遠くなる桜貝/松田美子
秘めてよき女の色の桜貝/後藤夜半
胸の内に崩るる濤よ桜貝/野村喜舟
春寒や貝の中なる櫻貝/松本たかし
貝よせやちりしく許り桜貝/車/庸
身の上の相似て親し桜貝/杉田久女
遠浅の水清ければ桜貝/上田五千石
俳句例:21句目~
桜貝の如き耳してお初釜/青野きみ
別に子細なき信心の櫻貝/田中裕明
さくら貝透きて生命線の上/長田等
桜貝は遺骨八月十五日/櫛原希伊子
桜貝包まうとする紙に風/上野章子
ひく波の跡美しや櫻貝/松本たかし
鳴き砂の中より拾ふ桜貝/瀬並久子
桜貝拾ひしことも昔かな/高濱年尾
桜貝月に育ちし紅濃ゆし/橋本鶏二
桜貝波打ち際は程遠し/高橋淡路女
二三枚重ねて薄し櫻貝/松本たかし
桜貝海の蓮華と拾ひけり/大橋敦子
桜貝耳に当つれば囁けり/永田市平
桜貝耳に忘れてゆく故郷/二村典子
櫻貝母と拾ひし夢に見し/羽野蕗村
原発を見て桜貝拾ひけり/先野信子
櫻貝過去の人ほど鮮かに/古舘曹人
浜の砂まだ冷たけれ桜貝/中村汀女
海の傷もたぬものなし櫻貝/檜紀代
海蝕の桜貝寄す岸を往く/対馬康子
俳句例:41句目~
桜貝熟寝子の手に波ひびき/池松昌子
空青すぎて桜貝こはれさう/黛まどか
掌に享けて掌と同色の桜貝/伊藤夜鴨
いづれかを選べ馬鹿貝桜貝/櫂未知子
桜貝おけば机上に風生まれ/今瀬剛一
桜貝かざせば空の広さかな/山本歩禅
若き日は手紙もいのち桜貝/中嶋秀子
桜貝西風に和泉の海荒れて/茨木和生
波の秀のかたみか淡き桜貝/栗原政子
波去れば波に想ひや桜貝/田中松陽子
桜貝一握の砂とはかなけれ/福田蓼汀
桜貝ゆら~波が打ち上げし/細見綾子
桜貝妻の歯端も透くごとく/香西照雄
桜貝ひろひ考へ出稼ぎ女/加藤知世子
波ひきし砂金の中の桜貝/野見山朱鳥
桜貝小さき波にくつがへり/西村和子
われもゐし妻の若き日桜貝/大屋達治
ルナールの言葉を探す桜貝/岩崎照子
桜貝波にものいひ拾ひ居る/高浜虚子
二枚貝なりし閉ざせる桜貝/後藤夜半
俳句例:61句目~
淡路島手にとる近さ桜貝/田畑美穂女
初凪やかがめばありし桜貝/山本歩禅
桜貝島の女として果てむ/村中/美代
桜貝二枚の羽を合せけり/阿波野青畝
背の高き彼が見つけぬ桜貝/岩崎照子
桜貝灯台のガラス緑濃く/田川飛旅子
桜貝大和島根のあるかぎり/川崎展宏
引く波の引くたび残し桜貝/鷹羽狩行
砂よりもはやく乾いて桜貝/今瀬剛一
あざやかに沖荒れそめぬ桜貝/藤木倶子
桜貝ひとつ拾ひてひとつきり/三村純也
いつの世の乙女白歯そ桜貝/佐藤惣之助
うすき~ふところ紙に桜貝/高田つや女
うすべにはもの想へとや桜貝/山田弘子
さくら貝拾ひあつめて色湧けり/上村占
櫻貝恋の座おもひ拾ひけり/加藤三七子
桜貝踏みつつ実朝忌とおもふ/須川洋子
波足のゆるきときあり桜貝/鈴木美根子
さくら貝恋路が浜に拾ひけり/吉田冬葉
紀の海の波より生れし桜貝/田畑美穂女
俳句例:81句目~
膳の上にくへぬものあり桜貝/正岡子規
さびしさに桜貝舐め紅濃くす/山口青邨
わだつみの詩片なるべし桜貝/大谷長平
桜貝映画のやうな恋は無く/真田/清見
汐干よしその桜貝玉藻かな/岡本癖三酔
抽出しの中にさざなみ桜貝/ほんだゆき
夜が明けてまた夜が明けて桜貝/有働亨
夜が開けてまた夜が明けて桜貝/有働亨
女一途に産まんとするや桜貝/作間正雄
雪あれのあとやより来し櫻貝/松瀬青々
桜貝手に巻貝はポケットに/橋本美代子
拾はれてよりの仕合せ桜貝/後藤比奈夫
掌に乗せてまぎるゝ色の桜貝/堀川錦星
桜貝さびしくなれば沖を見る/福田蓼汀
桜貝見尽くしたれば磯に戻す/浦野芳南
おなじ波おなじ日は来ず桜貝/小橋千夏花
うらがへしてもつぶやかぬ桜貝/近藤七代
さくら貝黙うつくしく恋しあふ/仙田洋子
乾し上げし海蘿に小さき桜貝/高野あや子
初さくら貝むらさきに山きゆる/角川春樹