「燕の巣」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「燕の巣」について
【表記】燕の巣
【読み方】つばめのす
【ローマ字読み】tsubamenosu
子季語・関連季語・傍題・類語など
・巣燕(すつばめ:sutsubame)
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季節による分類
・「つ」で始まる春の季語
・「春の動物」を表す季語
・「三春」に分類される季語
月ごとの分類
燕の巣を含む俳句例
巣燕が五つ顔出す宵祭/森澄雄
巣燕に天井高き消防署/長田等
巣燕に雑巾かけし柱かな/白雄
巣燕や交番只今巡回中/福川悠子
燕の巣覗きて菖蒲ふきにけり/篠原
夜は灯る螢光灯に燕の巣/右城暮石
燕の巣大黒柱古りにけり/籾山柑子
道元の深まなざしに燕の巣/上村占
通学時だけ列車くる燕の巣/井上宗雄
白樺の雨に燕の巣がにほふ/飯田龍太
燕の巣雑函積みし中の職/米沢吾亦紅
燕の巣長子その母を酷使せり/安住敦
休店の軒にはかどる燕の巣/塩川祐子
巣燕にわりなき柱時計かな/高濱虚子
巣燕の開口朝刊すべりこむ/香西照雄
燕の巣年経るままに本門寺/高澤良一
巣燕の隣合ひ居て仲あしき/西山泊雲
燕の巣に雀住みつき暑苦し/西東三鬼
巣燕に外は鏡のごとき照り/山口誓子
巣燕に昼のラヂオが楽送る/中村汀女
俳句例:21句目~
本堅田町一丁目燕の巣/沢井/山帰来
巣燕仰ぐ金髪汝も日本の子/古沢太穂
木蝋で富みしこの町燕の巣/岡本春人
庵室や竹のたる木に燕の巣/松瀬青々
大土間は今もでこぼこ燕の巣/大森積翠
山の土啣へ来て塗る燕の巣/猪俣千代子
巣燕に障子のうちの人静か/高橋淡路女
巣燕の寝る時は皆寝るらしく/細見綾子
巣燕やつられて買へる蕪の紅/石川桂郎
巣燕の城の高さをまだ知らず/八染藍子
巣燕や老婆に暗き寝部屋あり/千田一路
店じまひしたる米屋の燕の巣/塩谷康子
燕の巣盗れり少女に信ぜられ/寺山修司
髪高く結はれて嫁ぐ巣燕に/百合山羽公
燕の巣見上げて掏摸を警戒す/山口青邨
見えぬ沖見て巣燕の嘴そろう/石崎素秋
親鳥とおもふ頭が見え燕の巣/高澤良一
今つけし泥濡れてをり燕の巣/棚山波朗
枯れ廃るもののひとつに燕の巣/平井照敏
巣燕に不機嫌な顔見られしや/片山由美子
俳句例:41句目~
子燕の巣よりのり出す電波の日/池田秀水
巣燕を誰もゐぬ炉の火が照らす/西村公鳳
燕の巣見えて調帯まはりをり/米沢吾亦紅
トラックの激しき出入り燕の巣/右城暮石
トタン濡らす雨音こまか巣燕に/古沢太穂
燕の巣能登のやさ土練り混へ/加倉井秋を
巣燕や胸の中なるひとりごと/石田あき子
巣燕や旅にはあれど書肆に寄る/大島民郎
阿寒湖のホテルの軒の燕の巣/荒巻/大愚
飛騨の土もてしつかりと燕の巣/伊藤敬子
目つむりて聞く幼なごゑ燕の巣/松村蒼石
燕の巣みどりのかげのさしゐたり/大野林火
巣燕や夜逃げもならぬくらしむき/村上杏史
うつろなる燕の巣あり古壺のごと/前田普羅
ありていに言へば下手なり燕の巣/松野苑子
巣燕のはみこぼすもの生きてをり/森薫花壇
巣燕に荷をとり入るゝ大雨かな/長谷川零餘子
何を見てもつまらぬ燕の巣を仰ぐ/加倉井秋を
巣燕見るおしくらまんぢうの押され役/加藤楸邨
夕照り静かなる障子に巣燕がこぼすもの/大橋裸木