「鳥雲に入る」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「鳥雲に入る」について
【表記】鳥雲に入る
【読み方】とりくもにいる
【ローマ字読み】torikumoniiru
子季語・関連季語・傍題・類語など
・鳥雲に(とりくもに:torikumoni)
・雲に入る鳥(くもにいるとり:kumoniirutori)
–
季節による分類
・「と」で始まる春の季語
・「春の動物」を表す季語
・「仲春」に分類される季語
月ごとの分類
鳥雲に入るを含む俳句例
鳥雲に入る放心の峠越/沢聰
鳥雲に長野は水の一重帯/裕
特攻の碑遺し鳥雲に/小林三郎
鳥雲にゑさし独の行方哉/其角
鳥雲に城主紅顔にて遺ゆ/原裕
鳥雲に入て松見る渚かな/白雄
鳥雲に入る熊谷の堤かな/士朗
長へに江流西す鳥雲に/橙黄子
此秋は何で年よる雲に鳥/芭蕉
鳥雲にまだ二三艘篷被り/子郷
海道に赤き給油所鳥雲に/羽公
風葬の骨片残し鳥雲に/細川朝子
鳥雲に砂利採りの咳遠きこゆ/稚
鳥雲に灣照る船隠し/下村ひろし
近影の即ち遺影鳥雲に/森田智子
鳥雲に入るや見の花庇/会津八一
鳥雲に舷を寄せ話しをり/里見梢
口中に飴の鈍角鳥雲に/逆井和夫
埋骨す近江北摂鳥雲に/大橋敦子
鳥雲に入りて松見る渚かな/白雄
俳句例:21句目~
夕かけて埴輪面や鳥雲に/齋藤玄
肱つきし机小さし鳥雲に/中田剛
此の秋は何で年寄る雲に鳥/芭蕉
鳥雲に茶柱二つ立つ湯呑/太田嗟
観音を在所々々や鳥雲に/飴山實
鳥雲に箸すててある厨口/中田剛
点眼の泪の乾く鳥雲に/宮崎向陽
鳥雲に石人厚き裳裾曳き/大橋敦子
鳥雲に肇はいまも独り者/草間時彦
鳥雲に転居表札なほ紙片/皆吉爽雨
鳥雲に辞令一本一生過ぐ/近藤一鴻
鳥雲に隣の家の宗旨かな/高澤良一
未婚汝の主婦めく重み鳥雲に/林翔
鳥雲に韓信股をくゞりけり/龍岡晋
鳥雲に餌さし独の行衛哉/榎本其角
鳥雲にちちははもまた雲の奥/原裕
鳥雲にとり残されし喉仏/角谷昌子
おん像遥かの雲に鳥渡る/中川宋淵
偸安のいくつ顔ある雲に鳥/飴山實
遠ざかる師の忌妻の忌雲に鳥/舟月
俳句例:41句目~
鳥雲に一升瓶の枕かな/佐々木六戈
渾身の天地返しや鳥雲に/小出秋光
鳥雲に人の多くも雲に入る/秋澤猛
わが楽器一鼓一琴鳥雲に/後藤綾子
鳥雲に人の子育てては放し/樋笠文
猿石は姫の墓守鳥雲に/長谷川史郊
鳥雲に仕へて使ふ厨井戸/岡井省二
雲に鳥湧き神の塔傾き来/石原舟月
鳥雲に入りて草木の光りかな/闌更
鳥雲に入るおほかたは常の景/原裕
皆晩年の旅なれや鳥雲に/近藤一鴻
二上は日の沈む山鳥雲に/小早川恒
鳥雲に入るここよりは日本海/耕二
鳥雲に入るより男萎えしかな/原裕
鳥雲に入る白日の湖残し/野田公也
鳥雲に加速のきかぬ三輪車/仁平勝
米櫃の米揉みてみる鳥雲に/中田剛
鳥雲に吾は一把の薪提げて/岸田稚
鳥雲に壁の中より泣羅漢/古館曹人
鳥雲に夫婦顔して石二つ/藤岡筑邨
俳句例:61句目~
鳥雲に帰る国なき鴉かな/庄司瓦全
勝海舟とその室の墓鳥雲に/林美江
涯なきを空と呼ぶなり鳥雲に/火童
落丁のごとき一日鳥雲に/山川安人
声若く男を叱る鳥雲に/鈴木六林男
虚子御像往事茫々鳥雲に/桑田青虎
鳥雲に李白千里を歩みたる/下田稔
豊頬の古仏忘れめ鳥雲に/河野南畦
鳥雲に殺生界は海に溺る/松村蒼石
足型に三種類あり鳥雲に/高澤良一
妻恋ひの杜氏槽頭鳥雲に/石川桂郎
鳥雲に水うつくしき城下町/山崎中
鳥雲に水の近江を故郷とし/桜坡子
鳥雲に水位異なり湖二つ/伊藤京子
富士川の鉄橋五つ鳥雲に/影島智子
鳥雲に渋民村はなほ遠し/倉田絋文
鳥雲に湾岸道路運河越ゆ/上島顕司
鳥雲に物言へば口やさしかり/原裕
鳥雲に玉の綿屑髪に挿す/古舘曹人
長へに江流西す鳥雲に/楠目橙黄子
俳句例:81句目~
雑売の銭こぼしけり鳥雲に/飴山實
鳥雲に男は伊勢に旅寝哉/松瀬青々
鳥雲に直武描きし人體圖/高澤良一
頬杖や鳥雲にまた鳥雲に/細川加賀
鳥雲に入り着ざらしの盲縞/長谷川双
神木の根に二つ燈や鳥雲に/古舘曹人
鳥雲に止まる円周上の電車/齊藤夏風
鳥雲に一言語より雫かな/河原枇杷男
鳥雲に微笑を唇にすれ違ふ/仙田洋子
鳥雲にその一巌を廟とせよ/古舘曹人
胸の上聖書は重し鳥雲に/野見山朱鳥
腰掛けてゐる石も墓鳥雲に/飯田龍太
雲に鳥子の消息は妻を経て/荒井正隆
鳥雲に天守の階のかくも急/藤田湘子
鳥雲になべて西向く兵馬俑/石野冬青
鳥雲に交はり淡く深かりし/川村紫陽
鳥雲にふと船旅を約しをり/野澤節子
この秋は何で年よる雲に鳥/松尾芭蕉
鳥雲に厚き来信母郷より/神尾久美子
わが内の何かを咥へ鳥雲に/有地紫芳