「甘茶」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「甘茶」について
【表記】甘茶
【読み方】あまちゃ
【ローマ字読み】amacha
子季語・関連季語・傍題・類語など
・五香水(ごこうすい:gokosui)
・五色の水(ごしきのみず:goshikinomizu)
・仏の産湯(ほとけのうぶゆ:hotokenobuyu)
・甘茶仏(あまちゃぶつ:amachabutsu)
・甘茶寺(あまちゃでら:amachadera)
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季節による分類
・「あ」で始まる春の季語
・「春の行事」を表す季語
・「晩春」に分類される季語
月ごとの分類
甘茶を含む俳句例
山寺や蝶が受取る甘茶水/一茶
潮騒を背山に蔵し甘茶寺/辻桃子
御前に濡洋傘や甘茶仏/堀口星眠
御槽の鎌倉彫や甘茶仏/河野静雲
丈六の見下し給ふ甘茶仏/大野林火
雨降れば雨金色に甘茶仏/福原紫朗
主病みたり漆黒の甘茶仏/小林昭子
山寺や花さく竹に甘茶仏/飯田蛇笏
国宝展一隅に置く甘茶仏/有賀玲子
甘茶佛虹は海棠より淡く/西島麥南
甘茶仏虹は海棠より淡く/西島麦南
情なく濡れて金色甘茶佛/清水径子
五香水仏の臍をみつけたり/麦/光
娘の髪のお煙草盆や御甘茶/河野静雲
満願となりし甘茶を頂きぬ/新井恵子
甘茶仏若狭の海を見給へる/大石悦子
子どもらも頭に浴びる甘茶かな/一茶
甘茶佛肌すみずみまでぬぐふ/小澤實
甘茶仏甘茶光のやすけしや/大橋敦子
甘茶仏浪華の天を指し給ふ/浅野政夫
俳句例:21句目~
甘茶寺番野鴨にあひしのみ/堀口星眠
こしごろも今道心の甘茶番/河野静雲
甘茶番して新発意の嫁美人/河野静雲
山高く登りて小さき甘茶佛/松村蒼石
甘茶仏旅人に笑み見せたまふ/森田峠
疾風に甘茶の杓の逆立てる/石田勝彦
石段を下りる片手に甘茶かな/原月舟
紅毛の指透き甘茶灌ぎけり/松村蒼石
草庵の甘茶の花を誰か知る/尾崎政治
草葺の門を這入りぬ甘茶寺/松藤夏山
甘茶仏天指す御手ぬれ給ふ/高見孝子
里の子の爪先立ちて甘茶佛/高澤良一
甘茶仏天の仏母を指でさす/園部龍子
鎌倉に京の末寺の甘茶寺/松原地蔵尊
門前に露店の地割り甘茶寺/吉村馬洗
甘茶仏乾き易きを淋しめり/高澤良一
一杓の甘茶分け飲む母と吾/品川鈴子
雀らがざぶざぶ浴びる甘茶かな/一茶
灌ぐ子におん胸ひろげ甘茶仏/下田稔
人々の顔の映れる甘茶汲む/岸本尚毅
俳句例:41句目~
人の世の櫛の落ちたる甘茶かな/有風
濡れ給ひ乾き給へり甘茶仏/堀/晴子
体温のあるかに乾く甘茶仏/坂下笑子
合掌の片手は甘茶かけ申し/大森保子
満山に雨けむらせて甘茶仏/堀口星眠
欠け給ふ腕より雫甘茶仏/戸井田/厚
灌仏会冷たい甘茶詫びながら/瀧春一
木堂の縁に出でます甘茶仏/藤沢典子
夕風のゆくてに雨の甘茶寺/長谷川双
うらうらと杖忘らるる甘茶寺/袴田君子
浮浪児の嘗めて離さず甘茶杓/吉屋信子
かくてこそ甘茶仏は莞爾せり/高濱年尾
くろがねの丹田ひかる甘茶仏/野澤節子
こぼしつつ園児嬉しき甘茶番/都筑智子
甘茶仏指す地に芭蕉遺髪古り/西田/誠
甘茶仏恍惚として古りにけり/石原舟月
甘茶仏幾世経にけむ減り給ふ/山口青邨
形なき水ゆるやかに甘茶佛/加藤三七子
念珠買ふ甘茶を口に含みゐて/楠崎止子
やや荒く濁世の甘茶灌ぎけり/羽田貞雄
俳句例:61句目~
甘茶仏去りゆく我の映るべし/依光陽子
ビキニの灰ふると指す甘茶仏/萩原麦草
一杓はひかりに似たり甘茶仏/西川織子
大空に田がひらめけり甘茶仏/永田耕衣
甘茶懸く女の肱のすっと伸び/高澤良一
甘茶杓誰もが同じ箇所にぎる/品川鈴子
甘茶汲む鶏鳴かくも遠きかな/松村蒼石
堂縁に甘茶の薬鑵汲めとこそ/高澤良一
疣々のおん頭にと甘茶かな/加藤三七子
大釜の甘茶をのぞく童子かな/松村蒼石
白毫の甘茶にぬれし灯影かな/会津八一
女らや甘茶そそぐに声しなひ/綾部仁喜
空瓶の甘茶を帰路に少し飲む/細見綾子
甘茶仏男のしるしをさなくて/草村素子
胸広に立たしたまへり甘茶仏/下村槐太
甘茶仏背すぢ真直ぐ濡れ給ふ/服部高明
甘茶かけ仏身厚む不信の徒/川島万千代
裏返りては花了ふる甘茶かな/手塚美佐
進み出て虚子忌と思ふ甘茶仏/古舘曹人
道づれの甘茶もらひの童かな/松藤夏山
俳句例:81句目~
甘茶ぬる瞼くぼめる女かな/三宅清三郎
里人に蹴きて甘茶を灌ぎけり/永方裕子
銅柄杓ずしりと重き甘茶かな/河野石嶺
甘茶佛の小さき魔羅よ合掌す/國島十雨
園児らの数だけ濡れて甘茶仏/大東晶子
門前の小店うれしや甘茶寺/楠目橙黄子
濡れたまひいよよ金色甘茶仏/野村慧二
雨だれも甘茶も楽し増上寺/阿波野青畝
雨にぬれ甘茶の花は眠るごと/田中冬二
指さして破る宙あり甘茶佛/赤松ケイ子
手際よく傘をあづかる甘茶番/高澤良一
浴仏に妙なるものを降り注ぐ/高澤良一
あかがねの身をしなやかに甘茶仏/檜紀代
おん手より鬱金のしづく甘茶仏/佐藤和枝
おん臍のもつとも濡れて甘茶仏/荒井正隆
おん見目の滂沱のやまず甘茶仏/皆吉爽雨
この谷戸のもつとも奥の甘茶寺/星野立子
さへずりに十余り甘茶茶碗伏せ/高澤良一
だぶ~と浴びせかけたる甘茶哉/石井露月
ちよぼ口で灌ぐ母と子甘茶仏/平井さち子