「雛祭」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「雛祭」について
【表記】雛祭
【読み方】ひなまつり
【ローマ字読み】hinamatsuri
子季語・関連季語・傍題・類語など
・雛遊び(ひなあそび:hinaasobi)
・雛段(ひなだん:hinadan)
・雛人形(ひなにんぎょう:hinaningyo)
・親王雛(しんのうびな:shinnobina)
・内裏雛(だいりびな:dairibina)
・官女雛(かんじょびな:kanjobina)
・五人囃(ごにんばやし:gonimbayashi)
・矢大臣(やだいじん:yadaijin)
・三人使丁(さんにんしちょう:sanninshicho)
・雛の調度(ひなのちょうど:hinanochodo)
・雛の貝(ひなのかい:hinanokai)
・雛(ひな:hina)
・坐雛(すわりびな:suwaribina)
・室町雛(むろまちびな:muromachibina)
・寛永雛(かんえいびな:kaneibina)
・元禄雛(げんろくびな:genrokubina)
・享保雛(きょうほびな:kyohobina)
・京雛(きょうびな:kyobina)
・木彫雛(きぼりびな:kiboribina)
・菜の花雛(なのはなびな:nanohanabina)
・立雛(たちびな:tachibina)
・糸雛(いとびな:itobina)
・紙雛(かみびな:kamibina)
・折雛(おりびな:oribina)
・粉河雛(こかわびな:kokawabina)
・変り雛(かわりびな:kawaribina)
・雛荒し(ひなあらし:hinaarashi)
・雛合(ひなあわせ:hinaawase)
・ひいな(ひいな:hiina)
・雛の間(ひなのま:hinanoma)
・雛箱(ひなばこ:hinabako)
・雛の櫃(ひなのひつ:hinanohitsu)
・雛葛籠(ひなつづら:hinatsuzura)
・雛の膳(ひなのぜん:hinanozen)
・雛椀(ひなわん:hinawan)
・雛の酒(ひなのさけ:hinanosake)
・雛の宴(ひなのえん:hinanoen)
・初雛(はつびな:hatsubina)
・古雛(ふるびな:furubina)
・譲り雛(ゆずりびな:yuzuribina)
・雛の宿(ひなのやど:hinanoyado)
・雛の客(ひなのきゃく:hinanokyaku)
・雛の燭(ひなのしょく:hinanoshoku)
・桃の酒(もものさけ:momonosake)
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季節による分類
・「ひ」で始まる春の季語
・「春の行事」を表す季語
・「仲春」に分類される季語
月ごとの分類
雛祭を含む俳句例
紙雛目鼻は人の胸の中/林翔
欅あり雛祭の夜の靄/森澄雄
軒ぞ錦深窓の八重后雛/調泉
雛祭る都はづれや桃の月/蕪村
雛祭一年生もすぐ終り/上野泰
白酒を富士の詠や公家雛/露言
手道具や蒔絵の林雛の桃/調泉
冠の紐の細さよ京雛/田畑比古
雛の間へ幾唐紙や開通し/篠原
相おもふ酢貝や祝ふ雛遊/幸女
雛の前母語り居る外の事/篠原
道中雛後姿の道中す/大橋敦子
月光は川原伝ひに雛の家/直人
娘の心吾が心雛飾らばや/汀子
雪信が屏風も見えつ雛祭り/几董
或夜雛娶りけり白い酒/夏目漱石
巡見使迎へし館有職雛/田中英子
後の雛濤音ひびく床柱/田中英子
はつ雛や老の波よる娘の子/左繍
水中に結ぶ藻のかげ雛日和/原裕
俳句例:21句目~
浅草に曳き船の音雛祭/皆川盤水
雛段に置き忘れたる貝釦/飴山實
古雛やむかしの人の袖几帳/蕪村
雛飾る薄草いろの海の面/中拓夫
年の頃十六七の雛かな/京極杞陽
馳走する身も我なれや雛の客/梅
紙雛笏も扇も紙を持つ/村井桂子
古代雛今に伝へて大館/高濱年尾
雛立てる局になるや娘の子/りん
文筆を愛す机に貝雛/高橋淡路女
移り来て旧の暦に雛祭/福田蓼汀
夕刊が早く来てゐる雛の日/綾子
雛まつる壁裏昼の物音す/桂信子
蝋燭のにほふ雛の雨夜かな/白雄
大原や牛飼ふ家も雛祭/巌谷小波
雛の宴五十の内侍酔れけり/召波
略式も略式雛飾りけり/高澤良一
灘蒼き神話の国の土雛/福田蓼汀
雛の前今誰もゐず坐り見る/立子
面影を雛に映し偲びけり/稲岡長
俳句例:41句目~
雛祭無口の童女輝けり/秋山好見
古雛の古びは桜橘にも/大橋敦子
怖かりし山姥雛懐しや/松藤夏山
一対の雛一対の雛の燭/後藤夜半
娘多き真宗寺の雛かな/会津八一
雛すむや女の声の南より/原石鼎
家鼠懸想ばみたる雛かな/小澤實
男っ気世帯大内雛飾る/高澤良一
身のうちに紅の階雛飾る/辻桃子
箱書に父の筆跡雛飾り/加藤耕子
桃桜白髪の雛もあらまほし/蓼太
衣手は露の光りや紙雛/蕪村遺稿
箱を出る顔わすれめや雛二対/蕪村
笏あてし檜扇あてし裸雛/後藤夜半
童唄母がうたひて雛飾る/福田蓼汀
雪洞の火の過ちの雛かな/野村喜舟
雪の底眼を病む母や雛祭/沢木欣一
雛飾る闇にうかべり厳島/森本芳枝
水の音山に放てり雛の家/酒井和子
十字紋なり天草の雛道具/品川鈴子
俳句例:61句目~
印刷代突然騰り雛過ぎぬ/渡邊水巴
白髪の人の出で来し雛の家/上村占
双親の陶榻にあり雛の日/後藤夜半
雛飾る診察室に安らぎぬ/土屋孝子
雛頭百一様に雪降れり/猪俣千代子
古妻の面はなやぐ雛の酒/沢木欣一
沖かけて白波さわぐ雛かな/飴山實
美しき厄を山積み雛の舟/鷹羽狩行
雛酒や汐干を語る国家老/高井几董
恋すてふ一刀彫の立雛/加藤三七子
雛買うて杣雪山へ帰りけり/原石鼎
恐龍の名を諳んじて雛の客/日原傳
古雛の身退きたる端居哉/尾崎紅葉
古雛の錦の屑や箱の底/戸沢撲天鵬
海に降る雪美しや雛飾る/小林康治
古雛を今めかしくぞ飾りける/虚子
海匂ふや面かくされし雛頭/樋笠文
古雛松の日ざしの及びけり/松林慧
雛祭浅蜊は管を足にして/高澤良一
戸をくれば襖の奥の雛かな/上村占
俳句例:81句目~
とぼし灯の用意や雛の台所/千代尼
淡島の守雛とは音に聞く/後藤夜半
淡雪や女雛は袂うち重ね/臼田亞浪
どの橋もみな日当りて雛祭/大牧広
深川や風が戸叩く雛の家/加藤耕子
雛殿も語らせ給へ宵の雨/夏目漱石
土に木に深き爪痕雛の雪/森ちづる
雛段の高きへ登る紅き階/山口誓子
土牢の影さす雛の緋を飾る/紀音夫
雛段に女盛りの雛ばかり/三好潤子
皿沈む水のあかるさ雛の家/井上雪
火の滝の雛毛氈懸け垂らす/上野泰
雛段に半日おかれ母の眼鏡/桂信子
灯して母に教わる花菜雛/寺井谷子
土雛の陽気な顔の冬旱/小島千架子
掌にのせいつくしみ貝雛/福田蓼汀
雛段にあづけ忘れし小盃/後藤夜半
雛様をなぐさめ顔の蓬餅/正岡子規
土雛夕星糸のこゑ発す/大石香代子
雛壇や閏遅れに百姓家/阿波野青畝