「出代」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「出代」について
【表記】出代
【読み方】でがわり
【ローマ字読み】degawari
子季語・関連季語・傍題・類語など
・出替(でがわり:degawari_)
・居重ね(いがさね:igasane)
・居なり(いなり:inari)
・新参(しんざん:shinzan)
・古参(こさん:kosan)
・重年(ちょうねん:chonen)
・御目見得(おめみえ:omemie)
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季節による分類
・「て」で始まる春の季語
・「春の行事」を表す季語
・「仲春」に分類される季語
月ごとの分類
出代を含む俳句例
出代の畳へ落す涙かな/太祇
出替や傘提げて夕ながめ/許六
親に逢に行出代や老の坂/炭太祇
出替りや傘提げて夕ながめ/許六
出代や貝殻捨つる胼薬/水野柿園
出代や人浮雲の二日月/横井也有
出代やこなたの雨もけふ斗/りん
出代や箱膳正に棚の上/野村喜舟
出代女眉墨長に粧へる/松藤夏山
出替や哀れすすむる奉賀帳/許六
出代や春さめざめと古葛籠/蕪村
出替に都司王丸の葛籠かな/粛山
出替りや幼ごころに物あはれ/嵐雪
出替や朝飯すはる胸ふくれ/炭太祇
出代や始めて渡る日本橋/喜谷六花
出替りや其門に誰辰の市/服部嵐雪
出代や鉱毒を説く國訛り/寺田寅彦
出代の跡濁さじやぬか袋/高井几董
出代へ餞け妻の客よりも/鈴木花蓑
出代やかはる箒のかけどころ/也有
俳句例:21句目~
学僕や出代わる時の白袴/佐藤滴泉
出代や厩は馬にいとまごひ/炭太祇
出替や幼ごゝろに物あはれ/服部嵐雪
出代りて戻れる里や吉野葛/尾崎迷堂
初恋を秘めて女の出代りぬ/岡本綺堂
出代や乗合ふ安房の通ひ船/羅蘇山人
出代や頭のものを貰ひため/野村喜舟
出代の更に醜きが来りけり/高濱虚子
出代の造り損ねし柚味噌哉/寺田寅彦
出代りて暖簾はづせば東山/中川四明
出代や柳の雨に傘さして/岡本癖三酔
出代を明日といふなる雨籠/芝不器男
出代のおのが膳ふく名残哉/松瀬青々
出替りを頭巾で行や花の比/斯波園女
出代のからし菜辛き別れかな/野村喜舟
出代の傘返し来す親の馬子/石島雉子郎
出代の国に著きたる葉書かな/相島虚吼
出代の小銭ためたる財布かな/石井露月
出代や養子になりし丁稚あり/正岡子規
出代りて店の空気の変りをり/白石峰子
俳句例:41句目~
出代の酒しゐられて泣にけり/加舎白雄
出代りの友との電話楽しけれ/北里信子
出代りの来て居る広き厨かな/前田普羅
出代りの英語をつかふ別れ哉/正岡子規
出代りの髪梳き合ふや二階窓/中川四明
出代女粟津の祭明日といふ/岡本癖三酔
出替や雛とこねたるやつこ宿/浜田酒堂
出替りの畳へおとすなみだかな/炭太祇
出替りや乳の目利きが一の筆/斯波園女
出替の笑にふくむなみだかな/松岡青蘿
一丁の庖丁を持ち出代りぬ/米田双葉子
新参の明るき性を愛さるゝ/田代杉雨堂
新参の織娘が少し花に酔ひ/小林ながお
水車まで帰るといひぬ出代女/廣江八重櫻
馬の癖こま~いふて出代りぬ/石島雉子郎
出代の伊達やこゝろの浅黄うら/横井也有
出代のひと日にせまるまこと哉/加舎白雄
出代のそれもなりけり会者定離/尾崎迷堂
出代のおとなしくして哀れなり/高浜虚子
出代のいとけなくして眉目悲し/植田浜子
俳句例:61句目~
出替や酒の使ひの名のはじめ/越中-路健
出代りの髪結ひ合うて鶏を聴く/吉田冬葉
モスリンに若さを包み出代りぬ/右城暮石
出代や橋越してより足早やみ/廣江八重櫻
新参のふるさと遠く寝入りけり/石原舟月
出代やのろまの女中あはれなり/滝井孝作
新参の眼鼻立ちよくはんべりぬ/飯田蛇笏
出代やきのふからいふいとまごひ/炭太祇
泣きほくろ大きくなりて出代りぬ/内藤吐天
出代の下女あはれなる荷物かな/河東碧梧桐
出代りの泣くも笑ふもめづらしや/飯田蛇笏
われの手と足となりしに出代りぬ/大塚郁子
出代りの年端もゆかず色面皰/阿部みどり女
新参のみめかはゆしと思ひけり/山口波津女
新参のよき子我が子にせまほしく/鈴木花蓑
新参の湯をつかい居る火かげかな/芥川龍之介
新参の身にあかあかと灯りけり/久保田万太郎
出代の市にさらすや五十顔/一茶/文政二年己卯
出代や迹の汁の実蒔ておく/一茶/文政六年癸未
江戸口やまめで出代る小諸節/一茶/文政五年壬午
俳句例:81句目~
越後衆が哥で出代こざとかな/一茶/文化十二年乙亥