「卒業」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「卒業」について
【表記】卒業
【読み方】そつぎょう
【ローマ字読み】sotsugyo
子季語・関連季語・傍題・類語など
・卒業式(そつぎょうしき:sotsugyoshiki)
・卒業生(そつぎょうせい:sotsugyosei)
・卒業期(そつぎょうき:sotsugyoki)
・卒業歌(そつぎょうか:sotsugyoka)
・卒業証書(そつぎょうしょうしょ:sotsugyoshosho)
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季節による分類
・「そ」で始まる春の季語
・「春の生活」を表す季語
・「仲春」に分類される季語
月ごとの分類
卒業を含む俳句例
教室の金放ちて卒業す/樋笠文
落書の先輩後輩卒業す/森田峠
卒業子大方は皆村を出る/杉艸子
卒業子散る校門に駒ケ岳/下田稔
起立礼起立礼して卒業す/蔦三郎
卒業子島発つ朝の牛磨く/築城京
婚約の成立を聞く卒業子/塙きく
専攻は悪所文学卒業す/櫂未知子
卒業す片恋少女鮮烈に/加藤楸邨
門柱を撫で振返る卒業子/林昌華
卒業の城山へ笛携へし/山本洋子
講堂は明治の柱卒業す/中村明子
石蹴つて石光らしむ卒業期/林翔
切り株は森の演壇卒業す/皆吉司
留学の子の卒業期今年竹/及川貞
牛を曳く卒業の唇一文字に/原裕
沖をゆく流氷窓に卒業歌/伊藤彩雪
水音の四辺よごさず卒業す/松澤昭
卒業や丘は斜めに櫟立ち/中村汀女
母が購ふ菫一瞥卒業す/文挟夫佐恵
俳句例:21句目~
校長と初めて握手卒業す/赤澤新子
校庭の沈丁の香に卒業す/吉屋信子
黒き瞳の乙女幾列卒業す/中島斌雄
才色の母に及ばず卒業す/清瀬代山
鵞鳥三羽逆立一人卒業す/山口青邨
卒業歌木造校舎燥ききる/津田清子
雪嶺に面をあげて卒業歌/岩崎健一
學園の犬巨いなり卒業す/横山白虹
階落ちて音なきボール卒業後/林翔
卒業の大靴ずかと青荒地/西東三鬼
鉛筆に残りし歯形卒業す/古屋/元
鉛筆で指す海青し卒業歌/寺山修司
天井を見て卒業の歌うたふ/本井英
講堂は真昼の昏さ卒業式/津田清子
大学生今年は卒業初燈明/池上京子
卒業子等身鏡より出発す/能村研三
演劇にかけし青春卒業す/山崎和代
講堂に卒業の歌始まりぬ/千原草之
卒業生退場青き椅子の波/中尾杏子
流れ合ふ卒業式の心かな/京極杞陽
俳句例:41句目~
一葉の卒業証書小鳥来る/中山芳文
卒業歌海峡遠く濤立ちて/吉田鴻司
三四人親友ありて卒業す/滝井孝作
卒業の帽子百千空へ空へ/松山足羽
船橋に立つ日憧れ卒業す/高林蘇城
卒業歌沖に真白き船一つ/濱永育治
腕白も卒業子とて畏まり/伊東白楊
卒業子厠をいでて方違へ/長谷川双
卒業子去れり窓辺に教師暮れ/林翔
二十一世紀へ大志卒業す/谷口八星
而して以下同文と卒業す/福神規子
群鴎卒業航海挙手に発つ/西村梛子
紀の山河校歌に讃へ卒業す/堀康代
硝子戸に雪原あふる卒業歌/有働亨
卒業の盲学生ら握手せり/小室風詩
偸安のいくつ顔ある雲に鳥/飴山實
卒業の金髪少女日本の名/沢木欣一
先生に渾名残して卒業す/白根純子
直角に曲り卒業証書受く/真下耕月
卒業期紅葉裡に並む檜笛/香西照雄
俳句例:61句目~
卒業す眼鏡はづして幼き顔/中拓夫
制服の釦つぶれて卒業す/玉田年春
沖を過ぐ時間の青し卒業す/寺井治
焼肉の口がけぶれり卒業歌/中拓夫
劇中に銀の斧あり卒業す/中村和弘
勝修羅の能仕り卒業す/文挟夫佐恵
卒業の巾着をみな異にせり/松村幸一
あのせがれ父より伸びて卒業す/啓文
卒業の日の病棟に在る患者/山口誓子
卒業の暁といふことばかな/京極杞陽
卒業の校歌に和せる老教授/高浜年尾
卒業の胴上げ軽き教師かな/森本綾女
卒業の酔歌を許し眼鏡ふく/桂樟蹊子
ががんぼの一肢が栞卒業す/齋藤愼爾
卒業の青き山また山なりし/山本洋子
卒業や畳しづけく思ほゆる/山口誓子
卒業や高野聖となる日なり/北澤瑞史
卒業即浪人の子と野に遊ぶ/細川加賀
卒業子巌かすかに動きたる/宮坂静生
卒業子校門を出て川のぞく/中村明子
俳句例:81句目~
卒業子線路伝ひに帰り来る/津田清子
つまだちて卒業式の歌歌ふ/清崎敏郎
卒業子龍馬の海へ石を投ぐ/森藤千鶴
卒業式すゝむ拳を膝に置き/岸風三樓
卒業式劇の仕種に似て寒し/宮坂静生
ひらき見す卒業証書墨匂ふ/西村和子
紅白の幕のふくれて卒業す/田中英子
卒業歌えよ励めよとピアノ鳴り/原裕
卒業歌教師を酔はす麻薬なり/楠節子
卒業歌瞼とづれば暗かりし/落合水尾
卒業歌胸いたきまで髪匂ふ/寺山修司
君に降り吾に降る雪卒業す/北澤瑞史
夢のたね文集に蒔き卒業す/吉原文音
大きな絵抱へて美校卒業す/深田久彌
大学のからの馬小屋卒業す/宮坂静生
学帽を天に投げ上げ卒業す/上崎暮潮
寝ころべば靴青空へ卒業期/香西照雄
廃校式次に控へて卒業す/藤田美智子
思い出を紙筒に入れ卒業す/斉藤浩美
愚かなる顔せあげて卒業子/橋本鶏二