「茶摘」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「茶摘」について
【表記】茶摘
【読み方】ちゃつみ
【ローマ字読み】chatsumi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・手始(てはじめ:tehajime)
・一番茶(いちばんちゃ:ichibancha)
・二番茶(にばんちゃ:nibancha)
・三番茶(さんばんちゃ:sambancha)
・四番茶(よばんちゃ:yobancha)
・茶摘女(ちゃつみめ:chatsumime)
・茶摘籠(ちゃつみかご:chatsumikago)
・茶摘唄(ちゃつみうた:chatsumiuta)
・茶山(ちゃやま:chayama)
・茶山時(ちゃやまどき:chayamadoki)
・茶摘時(ちゃつみどき:chatsumidoki)
・茶摘笠(ちゃつみがさ:chatsumigasa)
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季節による分類
・「ち」で始まる春の季語
・「春の生活」を表す季語
・「晩春」に分類される季語
月ごとの分類
茶摘を含む俳句例
茶畑に隣の桐の一葉哉/寺田寅彦
屋根低き声の籠るや茶摘唄/太祇
草臥て平たくなりぬ茶摘歌/蓼太
茶摘唄桃の桃山女かな/菅原師竹
我庭に歌なき妹の茶摘かな/子規
笹鳴や茶山へ運ぶ古き藁/下田稔
藤の花さすや茶摘の荷ひ籠/許六
其中に妹も交りて茶摘哉/寺田寅彦
茶摘女の話つやめく小昼時/飯島愛
茶の花や茶畑多き王寺村/羅蘇山人
一番茶すみし日焼の女衆/澤木欣一
存へて一槍二旗の初茶摘/羽部洞然
鶯の老に入りたる茶山かな/森澄雄
香のごと享け掌の一番茶/荒井正隆
茶摘山連珠となつて雀飛ぶ/中拓夫
対の鈴つけて姉妹の茶摘籠/長田等
低き丘かけて茶摘の笠うごく/秩父
女居て見えぬ茶摘と話しをり/京童
茶畑の奥に日当る雛の家/山本洋子
山門の内や茶摘みの話声/小澤碧童
俳句例:21句目~
茶畑の傾斜に立てて魔法壜/長田等
茶摘唄流れ特攻基地の址/吉岡孝三
海光を指先に摘む一番茶/増田富子
八十の母が采配大茶摘/衛藤きく女
一番茶終り日焼けの女衆/沢木欣一
茶摘籠腰に弾ませ結仲間/高澤良一
囀りに心動かず大茶山/百合山羽公
鍔広し茶摘帽子を茶にかぶせ/静塔
茶畑のその畝々の朝の虫/高澤良一
茶畑に螢袋の白ともる/瀧澤伊代次
茶畑の月夜にはかに夏隣/小巻豆城
百姓も麦に取つく茶摘歌/向井去来
天ざかる茶屋新七や茶摘唄/平井照敏
うら若き声のみ多き茶摘哉/正岡子規
茶畑に川靄やさし奥三河/文挾夫佐恵
山門を出れば日本ぞ茶摘唄/田上菊舎
茶の畝を山に千段茶摘笠/百合山羽公
茶覆の中の暗さに馴れて摘む/鈴木弘
茶を摘むやまだ山影の母の里/中拓夫
茶摘女の十五六人唄もなく/柿原一路
俳句例:41句目~
二番茶を摘みて茶山は丸き山/杉本寛
摘まるべき茶畑天に至りけり/森田峠
一とせの茶も摘みにけり父と母/蕪村
折々は腰たたきつつ摘む茶かな/一茶
茶摘あと麦刈までの夜の河鹿/中拓夫
青空へふくれあがりて茶山なる/風生
雨の夜の千鳥茶山に鳴きにけり/舟月
摘み~て人あらはなる茶園かな/闌更
人も見ず山の凹みの茶摘歌/正岡子規
花何ぞ八十八夜の茶山過ぐ/巌谷小波
茶摘女も家に帰りぬ窓灯る/高木晴子
茶摘女の手拭咥へ犬白し/大橋櫻坡子
近道を行くや茶摘の唄遠し/島田青峰
丸刈の茶畑に降る小雨かな/宮澤和俊
深き海高き茶山の幟どき/百合山羽公
樟山の中の茶山や咲き揃ふ/林原耒井
関守が恋唄はるゝ茶山かな/高田蝶衣
百姓の剛髭二番茶も迫る/百合山羽公
海道を芭蕉や愚庵茶摘笠/百合山羽公
二番茶を摘みて茶山は丸き山/杉本寛
俳句例:61句目~
茶畑の空はるかより鰤起し/飯田龍太
茶畑の波濤が生みし冬の蝶/富安風生
茶摘みせし絣もんぺの膝ついて/綾子
茶摘唄木枕に聞く湯治客/穐好樹菟男
茶畑の影ひき出づる秋の蛇/山本洋子
二番茶の畝老鶯の声の透く/木下千鶴子
二番茶の真昼や蔓の手が驕る/古舘曹人
二番茶の筵干しなる不破の関/細見綾子
知覧茶の一番茶出て武家屋敷/掘越鈴子
邂逅の眼が二番茶に抜んずる/古舘曹人
野を丸く二番茶刈の今朝の丘/吉良蘇月
つく~と茶を摘む音のしてゐたり/青邨
摘みや終へし旦の茶畑光失ふ/原田種茅
羽拍子よどむ茶畑や雉子の恋/水田正秀
茶畑に帽子忘れて日を忘る/八木三日女
茶畑に施肥の人去り遠かすみ/吉良蘇月
茶畑に日は炎えはじむ墓一基/野澤節子
世々嗣ぎて山肌荒き茶を摘めり/白鳥峻
何番の茶摘日和かうとうとゝ/高橋睦郎
吉野なる檜山の裾は茶摘時/岡本差知子
俳句例:81句目~
茶畑に鶏はぐれをり昼の火事/神田/岩
夕づきて励み仕舞ひの茶摘歌/宮津昭彦
茶畑のうねりも八十八夜かな/森田虚逸
夫婦相和し茶摘機の響くなり/蒔田/晋
茶畑のうねりも秋の声とかな/石川桂郎
茶畑の丘まろやかに冬ぬくし/道山昭爾
茶畑の風に押されて春の人/大峯あきら
春光やさゞなみのごと茶畑あり/森田峠
優曇華の銀糸指さす茶山にて/野澤節子
年金に寧んじ子を守る茶摘季/関森勝夫
家康忌大き茶山の押し並ぶ/百合山羽公
日短か茶山へのびる築地塀/藤田あけ烏
朝鶏も伏せて茶山へ急ぎけり/高田蝶衣
西行の日の朝日さす茶山より/岡井省二
摘める茶の籠に溢れて海を見る/中拓夫
日の中に浮き沈みして茶摘笠/畠山譲二
暗転し都をどりは茶を摘める/亀井糸游
汽車過ぎて煙の中の茶摘かな/千原叡子
茶を摘むや煙霞の中の東大寺/野本淡月
茶摘けふ終り祭はあしたより/岸風三樓