「田打」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「田打」について
【表記】田打
【読み方】たうち
【ローマ字読み】tauchi
子季語・関連季語・傍題・類語など
・春田打(はるたうち:harutauchi)
・田を打つ(たをうつ:taotsu)
・田を返す(たをかえす:taokaesu)
・小田かえす(おだかえす:odakaesu)
・田を鋤く(たをすく:taosuku)
・田掻(たがき:tagaki)
・田掻牛(たがきうし:tagakiushi)
・田掻馬(たがきうま:tagakiuma)
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季節による分類
・「た」で始まる春の季語
・「春の生活」を表す季語
・「晩春」に分類される季語
月ごとの分類
田打を含む俳句例
クルス下げ天草娘春田打つ/筍吉
金星を眦にして春田打ち/宮坂静生
春田打つかそかな音の海士郡/楸邨
荒鋤の田に鋤き込めり山桜/小島健
桐の花大和の国が田を鋤けば/澄雄
掌に拳一と打ち田起しへ/成田千空
掌に拳一と打ち田起しへ/成田千空
畑打つや屯田兵の裔いまも/東天紅
ふるさとの憶えは田打姿のみ/爽雨
梳る田打女の鍬ふと倒れ/牧野春駒
田を打つて弥々空の浅黄かな/一茶
ゆく雲の北は会津や春田打/岡本眸
減反は百も承知の春田打つ/大沢南渓
春田打つ鶴女房の村はづれ/有馬朗人
代数のきらひな末の春田打/金子雄山
象潟や媼霞みて荒田打つ/加藤知世子
烏来る田打弁当置きしあと/高野素十
山の上に円空佛や春田打/鈴木しげを
荒鋤田紫雲英残りて畔に咲く/村岡悠
田に田打常平倉の屋根に鶏/石井露月
俳句例:21句目~
扇骨を干すその先に春田打/大東晶子
一山の田打櫻のけさひらく/黒田杏子
田掻終ふ水の流れに農夫の瞳/中拓夫
田打鍬一人洗ふや一人待ち/高野素十
亀石の居眠る荒鋤田の真昼/野澤節子
梅林の中の一枚田を打てり/茂里正治
梅林の今日ヘだたりて荒田打/斎藤玄
田起しの日和の遊行柳かな/太田土男
惜春の虚しく鋤田ばかりなる/瀧春一
双肘に岳の日躍る峡田打/木下ふみ子
生涯の農かをとめも田掻する/及川貞
叱られて島の鼻まで鋤田牛/石川桂郎
田を鋤くを鴉がほめて安房の国/中拓夫
黒牛が鋤きて丹波の神の御田/茂里正治
耕牛の足短くてれんげ田鋤く/茨木和生
荒鋤きの田に煌々と波打てり/松村蒼石
どの家も田を打ちかけて春祭/白井爽風
荒鋤きや田へ引く水の朧にて/石川桂郎
ひねもすに春の石田を田打哉/松瀬青々
荒鋤田の残る一枚濡れとほす/野澤節子
俳句例:41句目~
藤原の祭も荒田鋤きゐたり/佐藤八百子
一人田を打つ音顔へ響くかな/今瀬剛一
鋤く乙女見渡す湖へ田はつゞく/及川貞
鋤眠る春の棄田のあおみたり/牧野桂一
遠く居し田打の人も雨に消え/松岡悠風
墓山の墓の見下ろす田打かな/阿部子峡
大涛に沈む日も見ず田打かな/渡辺水巴
鍬折々怒ひらめき峡田打つ/加藤知世子
千曲川くねりて春田打と会ふ/毛塚静枝
尼寺の隣の春田打たれけり/星野麦丘人
麹屋の蔵の裾より春田打ち/小島千架子
朝南風に立山近き田打かな/金尾梅の門
春田打つ胸に来信さしはさみ/友岡子郷
橋に下りし鷺に日弱り田打人/久米正雄
湖風の耳につめたき春田打/片山由美子
水流れきて流れゆく田打かな/芝不器男
烈風に畦をたのみの春田打/能村登四郎
流れ来し雲の中なる田打かな/白井爽風
血の滲む二足の草鞋春田打つ/武田和郎
遠きほど面輪は白し春田打/神尾久美子
俳句例:61句目~
深谷の花にはじまる田打かな/後長耕浦
鶺鴒のしづく光りて春田打つ/木村敏男
田掻波をさまり巡る源五郎/藤原たかを
ひろびろと田起しの雨近江なり/森澄雄
ほこほこと田起す方に岩手山/高澤良一
田打つ果燈台と知る小さき白/宮津昭彦
田起しに一と声かけて山の風/成田千空
田起しのいづこにをるも大没日/原田喬
田を鋤ける牛や角より行きちがふ/誓子
田ひばりや荒鋤の田の明るさに/堀文子
田を鋤くや橘寺の真下より/小澤満佐子
げん~を打ち起したる痩田かな/子規句集
茂吉忌の光背を持つ春田打ち/鳥居おさむ
窯焚いて春田は打たぬ君なれや/堀口星眠
山彦を引き寄せてゐる春田打/小泉八重子
本降りとなるまで山の春田打つ/後藤浩子
田を鋤くに雪形仔馬も歩み来よ/野澤節子
一人田を打ち暗き目をしてゐたり/大串章
田を鋤いて牛の伏目の日昏れまで/桂信子
田起しのひとりに越の梅あかり/橋本榮治
俳句例:81句目~
四角い田打つげんげ田の女かな/萩原麦草
田起しの土躍り出て蓮如の忌/鷲谷七菜子
打ちし田の広々とある夕かな/外島和香女
田打女について来る子も腰に泥/高野素十
目の奥にゐし春田打ゐずなりぬ/関戸靖子
東大寺普請に後れ田打かな/菅原師竹句集
泥田鋤きかくれの掟守り継ぐ/下村ひろし
母の忌や田を深く鋤き帰り来し/津田清子
深欲と言はれて田打つ素足われ/影島智子
枯色のまゝの春田を打ちはじむ/清崎敏郎
父の世に家業廃れて打つ田かな/野村泊月
田起しの小田の畦草なまなまと/高澤良一
でこぼこと鴉つきゆく春田打/藤井寿江子
田を打てり午前追叉手網の蜑/中戸川朝人
田打人みる~風に巻かれけり/大場白水郎
げんげ田を鋤く帰らざる人のごと/森澄雄
田打女に撫でてもらひに孕み猫/西本一都
今ははや目もなつかしき春田打/石塚友二
田打女の腰かけてゐる田舟かな/斎藤雨意
中共勝つ荒鋤の田にみつる土塊/古沢太穂