「蜆汁」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「蜆汁」について
【表記】蜆汁
【読み方】しじみじる
【ローマ字読み】shijimijiru
子季語・関連季語・傍題・類語など
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季節による分類
・「し」で始まる春の季語
・「春の生活」を表す季語
・「三春」に分類される季語
月ごとの分類
蜆汁を含む俳句例
少しさめ薄紫の蜆汁/中嶋秀子
牛島や桜に早き蜆汁/正岡子規
鶯の根岸の里や蜆汁/正岡子規
蜆汁父の大きな椀剥げて/林徹
黒松を出る日一髪蜆汁/齋藤玄
蜆汁/話上手の妻が居て/八木實
十三湖濁る大景蜆汁/蓬田紀枝子
叡山の裏側冷えし蜆汁/萩原麦草
庭先の山吹黄なる蜆汁/遠藤梧逸
快々と熱に昏めり蜆汁/目迫秩父
母方は近江の血筋蜆汁/高木秀慈
蜆汁終の栖の定まらず/木村速子
七十の母の煮炊の蜆汁/柳沢洸洋
戦争の砂漠が写り蜆汁/沢木欣一
蜆汁煮ゆるや夢に藤の花/松瀬青々
いい人に少し疲れて蜆汁/幸村睦子
蜆汁離るるひとは忘らるる/辻桃子
近江の子近江に帰り蜆汁/岩本周熈
遠き恩返せぬままや蜆汁/中村啓子
亡びたる国の光や蜆汁/高野ムツオ
俳句例:21句目~
還俗の膝にこぼすや蜆汁/会津八一
八重桜咲きけり芋に蜆汁/正岡子規
吹き晴れて硯の水と蜆汁/攝津幸彦
啜るとき真顔の夫や蜆汁/松村多美
金婚も常のごと過ぐ蜆汁/石野冬青
をさなさを馳走に寒の蜆汁/飴山實
高波を見つつ土用の蜆汁/桜田宗平
宍道湖の今朝の濁りや蜆汁/辻桃子
蜆汁花ちる頃の寒さかな/小杉余子
暗黒の黒まじるなり蜆汁/攝津幸彦
東京の暮しはじまる蜆汁/山田弘子
江戸詰モ已ニ久シヤ蜆汁/正岡子規
癇性の母でありしよ蜆汁/清水基吉
蜆汁一病もまた神の寵/藤村多加夫
蜆汁人の死と壁一重かな/小林康治
蜆汁殊に小粒や諏訪泊り/三上秋翠
ほんの少し家賃下りぬ蜆汁/渡邊水巴
いまのまにやみし吹雪や蜆汁/龍岡晋
弟のひとりは無口しじみ汁/恒任愛子
からし菜の薹立つ頃や蜆汁/正岡子規
俳句例:41句目~
末伏の眼鏡くもらす蜆汁/稲垣きくの
これといふ人なき家系蜆汁/岡本久一
われなりの養生訓や蜆汁/深見けん二
戀といへど上澄あをき蜆汁/塚本邦雄
稿了の手のくぼみたり蜆汁/星野紗一
しじみ汁菊枯れし宿の蔀越/室生犀星
蜆汁粒を揃えて出されけり/松下敞子
夫がゐる日の早灯し蜆汁/柴田白葉女
蜆汁妻の雀斑が病めりけり/小林康治
蜆汁すすり叡山明けて来し/萩原麦草
水変り焚く火も変り蜆汁/百合山羽公
欲捨てて今も生きをり蜆汁/村越化石
蜆汁母在りし世を夢かとも/三森鉄治
妻われを凡夫といへり蜆汁/辻田克巳
れんこん屋の急な階段蜆汁/田中冬二
喪の明けて更に淋しや蜆汁/古川淳子
金澤にかかる繊月しじみ汁/田中裕明
日曜やひとりに余す蜆汁/山田みづえ
ひとりにはひとりの音の蜆汁/石田勝彦
ふるさとに旅籠住ひや蜆汁/楠目橙黄子
俳句例:61句目~
まつくらな雨降りにけり蜆汁/石田郷子
ゆくゆくは出雲に栖みて蜆汁/松本雨生
わが作のラジオ洩る夜の蜆汁/石川桂郎
下々の下の客と興じて蜆汁/石島雉子郎
蜆汁はなし八雲に及びけり/望月由紀子
修羅越えて余後の土用の蜆汁/西明更風
堅田の灯またたきやまず蜆汁/山田春生
蜆汁はや子も揃ふことまれに/中村汀女
蜆汁よくなる世とも思はれず/福森妙子
止めどなき流転舌やく蜆汁/稲垣きくの
蜆汁深空のなかはさだまらず/飯島晴子
蜆汁用なき人となつてをり/佐々木六戈
蜆汁病みても母を哭かすかに/小林康治
大風に閉ざす障子や蜆汁/阿部みどり女
椅子四つ空いて居るなり蜆汁/柏木/博
しじみ汁いのちの限り母の恩/角川春樹
音たてて組む卓袱台や蜆汁/堀井より子
帰国子に先ずたつぷりと蜆汁/蒲沢康利
蜆汁朝のカナリヤ鈴を振る/小原菁々子
蜆汁家計荒るゝにまかせをり/小林康治
俳句例:81句目~
喪のあけてまた喪に入るや蜆汁/川上梨屋
にぎやかな音の立ちけり蜆汁/大住日呂姿
世のつねの浮き沈みとや蜆汁/鈴木真砂女
こころざし立てしことなし蜆汁/清水基吉
見たくなき芝居ばかりや蜆汁/大場白水郎
なみなみとけかちの国の蜆汁/伊佐山春愁
あぢさゐやしみじみうまき蜆汁/小川軽舟
花にまた早き京都や蜆汁後の月/酒井黙禪
蜆汁母の世消えてひさしきかな/松村蒼石
めそめそと雨の降る日や蜆汁/広江八重桜
蜆汁の身を剥し食いヒロシマ忌/橋本夢道
蜆汁きのふ大火のありしかな/久保田万太郎
離婚と決めし夫へ食べさす蜆汁/清水美津枝
のれん入れて風すさぶ夜の蜆汁/鈴木真砂女
しじみ汁煮つまる枇杷いろの夕灯/柴田白葉女
かちやかちやとかなしかりけり蜆汁/山口青邨
しじみ汁おかはりをして子は発てり/田邊えりな