「花衣」を使用した俳句についてまとめてみました。
季語「花衣」について
【表記】花衣
【読み方】はなごろも
【ローマ字読み】hanagoromo
子季語・関連季語・傍題・類語など
・花見衣(はなみごろも:hanamigoromo)
・花の袖(はなのそで:hananosode)
・花見小袖(はなみこそで:hanamikosode)
・花の袂(はなのたもと:hananotamoto)
・花見衣裳(はなみいしょう:hanamiisho)
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季節による分類
・「は」で始まる春の季語
・「春の生活」を表す季語
・「晩春」に分類される季語
月ごとの分類
花衣を含む俳句例
旅衣はた花衣恋衣/落合水尾
筏士の蓑やあらしの花衣/蕪村
落日のに袖なし花衣/上島鬼貫
袴著や寒紅梅の花衣/岡本癖三酔
胸もとに鍵の鈴鳴る花衣/井上雪
嬉野の雨を拒まず花衣/松村幸子
いとことは一つ違ひや花衣/星野椿
花衣脱ぎ影の世より還る/齋藤愼爾
従姉妹とは一つ違ひや花衣/星野椿
文机に凭れねむりし花衣/山本洋子
その頃の空の色なる花衣/岩田由美
花衣女がさぐるうしろ帯/筑紫磐井
花衣脱いでいそ~夕支度/清原枴童
旅衣花衣ともなりながら/星野立子
旅鞄ほどけばあふれ花衣/稲畑汀子
沢蟹に花ひとひらの花衣/矢島渚男
留守の戸の鍵を袂や花衣/皆吉爽雨
顔見せや老い椀久が花衣/松瀬青々
雨の樹の下には紅の花衣/横光利一
鎌倉の遠忌に罷る花衣/深見けん二
俳句例:21句目~
一本の紐あればよし花衣/黒田杏子
蓑虫の萩の花衣濡らす雨/山田弘子
蓑虫の此奴は萩の花衣/阿波野青畝
夕風と言ふには強し花衣/青山克子
きてもみよ甚平が羽織花衣/松尾芭蕉
花衣着て三鬼以下雲を漕ぐ/平畑静塔
しぐるるや花衣句碑朱を放つ/穴井太
花衣縫ひつゝ涙こらえつゝ/吉村敏子
じやんけんの白き拳や花衣/日野草城
花衣脱ぎて三児の母となる/西浦一滴
なほ花の見えゐる窓に花衣/岩田由美
花衣解くかにほぐれ寒牡丹/水原春郎
蔵王堂よりぞろぞろと花衣/黒田杏子
阿国の忌なりしと思ふ花衣/有馬朗人
鱗粉をこぼしつつ花衣かな/櫂未知子
人妻の姉と連れ立つ花衣/山口波津女
実家の名の畳紙に残る花衣/有馬籌子
川筋にくはしきひとの花衣/綾部仁喜
旅疲れさらりと捨てん花衣/稲畑汀子
百歳を越ゆるどなたも花衣/黒田杏子
俳句例:41句目~
花衣いらぬところに足入れて/辻桃子
ぬぎすてし人の温みや花衣/飯田蛇笏
花衣すとんと体より落ちる/大石雄鬼
花衣たたむ座敷に風入れて/上住和子
花衣つめたき酒を好みけり/黒田杏子
きのふ近江けふは吉野の花衣/福永耕二
みのむしの此奴は萩の花衣/阿波野青畝
つれだちていづれ劣らじ花衣/吉田小幸
紀の善の二階に座あリ花衣/深見けん二
花衣たたむ恋せし日のごとく/中村初枝
花衣ぬぐやみだるゝ恋に似て/千原叡子
花衣脱ぎもかへずに芝居かな/高浜虚子
花衣著るよろこびを妻あらは/下村槐太
花衣かけつらねたる織子部屋/滝沢鶯衣
花衣乱しうなじに酔ひふかめ/雨宮抱星
千の私語のみこんで脱ぐ花衣/水沼幸子
胸あはぬ日もありつらん花衣/松岡青蘿
花衣朱の濃かりけり古りにけり/辻桃子
ネクタイを肩に回して花衣/木暮陶句郎
花衣ぬぐやまつはる紐いろ~/杉田久女
俳句例:61句目~
やや派手を母にすすめて花衣/中村明子
しどけなく帯ゆるみ来ぬ花衣/高橋淡路女
ぬぎ捨てて一夜明けにき花衣/山口波津女
ひとり来てひとりの冷えの花衣/杉本雷造
まだぬくき殺意をたたむ花衣/岸本マチ子
まつろわぬ者として負う花衣/宇多喜代子
花衣ひきずりはなす電話かな/大橋櫻坡子
花衣二の腕あたり冷えてきし/神尾久美子
花衣たたみ終へたる日の重さ/吉野のぶ子
花衣縫ひし熱かも知れず咳く/神尾久美子
花衣そのままに夜を読み書きす/鈴木栄子
待ち合すフラミンゴのまえ花衣/田畑益弘
借らねどもそこに夫の手花衣/赤松けい子
花衣ぬぎてたゝみてトランクに/星野立子
花衣そのまま睡る夜汽車ゆゑ/稲垣きくの
足袋ぬいでつかれ覚えぬ花衣/山口波津女
ゆうらりと立たるる刀自の花衣/大石悦子
草履の緒すこしかたくて花衣/山口波津女
花衣脱ぎて夜勤の看護婦に/阿久津渓音子
花衣足袋をよごしてかへりけり/山口波津女
俳句例:81句目~
花衣脱ぐもう一枚のはなごろも/木村せゑじ
花衣無残なものまで脱いでしまう/岸本マチ子
花衣よごれ去来と見ゆる也/一茶/年次不詳